ライナ、独り立ちする
修道院に入って1年が経過した。
朝のお勤めを終えて朝食を食べ終えた頃、私は院長に呼ばれた。
「シスターライナ、本日を持って見習い期間は終了です、1人のシスターとして独り立ちを認めます」
「ありがとうございます、これも院長や先輩方の指導と神のお導きのおかげです、これからも精進して参ります」
私はそう言って頭を下げた。
「慣れない下働きから始まって朝昼晩の神へのお祈り、聖書の写生、食事の準備、貴族令嬢でしたら途中で心が折れる所でしたが貴女は文句も言わず毎日過ごしていました、貴女の信仰心が本気である事を感じました」
「はい、私は過去を捨てて修道女として生きていくと決心しましたので」
「そうですか……、実はご実家から手紙が届いていたんですが読まなくても大丈夫ですね」
え、実家から?
「あの、因みに内容は?」
「戻ってきてほしい、という嘆願の手紙でした。 実際に公爵は訪ねてらっしゃった事もありましたよ」
えっ、お父様がっ!?
「どうやらこの1年でご実家は財政難になっているみたいですよ、どうも大掛かりな詐欺に引っかかったそうです」
私は頭を抱えた。
よく考えてみればお父様は書類にサインを書くだけだから元実家の事業に関してはノータッチだった。
「それに再婚相手とその娘も評判は良くないみたいですし……、公爵家は『先行きが良くない』と貴族社会から噂されているみたいですよ」
たった1年で評判を落とすなんて……。
でも、私には関係無いわね。
……一応、手紙は出しておいた方がいいか。
「さて、シスターライナ、実は貴女に大事な話があります」
「はい、なんでしょうか?」
「貴女には辺境にある修道院に行ってもらいます」
……はい?




