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ライナ、修道女になる

 父親から新しい母と義妹を紹介され、私レイラ・ルーストンは『仲良くなれそうに無い』と直感的に思った。


 我が家はクリース王国の筆頭公爵家として由緒正しい家である。


 私も公爵令嬢として幼い頃からマナーや知識を学び将来的には王族と結ばれる事が義務だと思っていた。


 しかし1年前に母親が体調崩し寝たきりになってしまってから疑問に思うようになった。


 母親は寝たきりになってから後悔を口にする様になった。


『私の人生、これで良かったのかしら?』


『ずっと周囲の目を気にして自分の意志で決定した事が無かった』


『もっと自由に生きたかった』


 そして、私にこう言った。


『ライナ、貴女は縛られずに生きなさい、死ぬ時に後悔だけは残してはダメよ』


 闘病の末、母は天国に召されたのは1か月前、そして現在お父様は私に新しい母親と娘を紹介したのだ。


(あぁ、お母様が本当に後悔していたのはお父様と結婚した事なのね)


 つまり、お父様はお母様や私をずっと裏切っていたのだ。


 お母様は裏切りに気づいていたけど強く出る事が出来なかった。


 貴族にとって愛人がいるのは当たり前、と聞いた事がある。


『そんな物なのかしら?』と他人事の様に思っていたけど自分の身に降りかかると思うのは嫌悪感である。


 勿論、表情には出さない、時に感情を殺す事も貴族のコミュニケーションの1つだ。


 それに『もしかしたら歩み寄れるかも』とも思っていたけど私を見下した視線を見て『あ、無理』と判断した。


 敵意丸出しの人達と仲良くなんて出来る訳が無い。


 そうなるとこのままこの家にいても良い事なんて無い。


 だったら選択肢は1つしかない。


「これからお父様の事をよろしくお願いします、私はお母様の魂が静かに眠れる様に修道院に行かせていただきます」


 そう言って私は自分の部屋に戻り荷物をバックに積み込みさっさと家を出て行き、その足で修道院の門を叩いた。


 修道院と言えば問題のある貴族令嬢が収容されるイメージがあるけど、それは『更生施設』としての修道院で、本来は家に居場所が無かったり人間関係に悩みがあったりと悩める人々の『保護施設』という面もある。


 私は院長に事情を話した所、快く私を引き取ってくれて実家との交渉もしてくれて私は無事に実家から籍を抜く事が出来た。


 これが例えば婚約とかが決まっていたら複雑になっていただろうけどまだ決まっていなかった為、特に問題は無かった。


 父親も何か言うんじゃないか、と思っていたけど特に言ってくる事は無かった。


 院長は『あの目は全く興味が無い目だった、あんな目をする人間は大体ろくでもないので公爵家もどうなるかわからないわね』と言っていた。


 こうして私は見習い修道女として先輩に付いて修道院でのしきたりを学びながら1年を過ごした。


 

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