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誰かの思惑に巻き込まれた話(異世界転移編)  作者: 近江守
第2章 第2編ⅲ 古代遺跡
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洞窟へ

「今度は俺が行く」


 カントは、駆け寄る結晶クリスタルゴーレムを正面に捕らえ、騎士の剣を構えた。

 勢いに任せ殴りかかるゴーレムの拳を剣で叩き落とすと、そのまま太刀筋を切り返して掬い上げるように臀部に切りかかる。

 金属で鉱物を叩いたような高い音が辺りに響き渡った。

 ゴーレムの体に傷はつかなかったようだ。

 【アクセル】で加速していることも考慮すれば、内部が土でできているとは思えない相当な硬さである。


「やっぱり普通の剣じゃ駄目だな。さっき欠けたところも、いつの間にか治ってるようだし」


 ゴーレムの腹部は、里長の攻撃で土が表出していたはずだが、再び透明な質感に戻っていた。


「崩れたところが再び透明に見えるようになっただけじゃ。落ちたものが戻って再生したわけではない」


 つまり里長がやって見せたことを繰り返せば、原理的にはあのゴーレムをいつか倒せるということになるが、それではきりがなさそうだ。


「【ファイア・インフォース】!」


 赤いオーラがカントの剣を包み込んだ。

 ゴーレムが勢いをつけてジャンプし、とび蹴りを繰り出してきた。

 これに照準を合わせて流し切ると今度は先程の硬さが嘘だったように剣が通った。

 ゴーレムの胴は二つに切断され、地面へと崩れ落ちる。

 ガラス様だった表面は急速に濁り、ただの土塊へと変化した。

 ゴーレムとしての活動が停止した証である。


「あっさり終わったな」


「あえて魔法が弱点になるように作られているように思えるほどの効果ですね」


「あえて弱点を、か。言われてみればそうじゃのう」


 いまだゴーレムが透明でなければならない理由は不明だが、そんなことができるなら弱点の補強もできたはずである。

 魔法という弱点はわざと残されている。

 アローラの言うこともあながち的外れではないようだ。


「火属性が有効で良かった」


「五属性とも有効なようじゃぞ」


 カントが得意とする火属性が効かなかったらという心配はあったが、それも無用だった。

 属性によって効果に差があるのが普通のため、全属性効果があるというのも珍しい。


「これ、自然発生したものじゃないですよね。明らかに人為的なものというか」


「うむ。件の洞窟も調べてみないといけないのう」


「おばば!まだいるぞ!」


 村の奥から様子を窺っていた若い衆が叫んだ。

 集落の入口の方を見ると十体以上の結晶クリスタルゴーレムが、倒されたゴーレムの残骸の山をよじ登ってわらわらとこちらに向かってくるのが見えた。


「馬鹿な!まだあんなにいたのか!」


 里長が驚愕の声を上げた。

 再び危機が訪れたかのように思われたが、それは間髪入れず解消された。


「【ミネラル・スパイク】二重詠唱ダブレット!」


 地面から鋭利な金属の突起が何本も飛び出し、結晶クリスタルゴーレムをことごとく串刺しにしたのであった。

 機能を停止したゴーレムは次々とただの土塊に戻り、残骸の山の一部となった。


「カント、アローラ無事でしたか!」


「お、鬼!」


 カントとアローラの姿を見て駆け寄ってきたアイリスとエリザべスであったが、一緒にいた幼女が鬼であることに気が付き身構えた。

 そもそも鬼は危険な存在として認知されており、両人ともこれまで鬼と出会って戦闘以外の展開になった経験がないため当然の反応である。

 これを見て里長も反射的に身構えた。


「大丈夫。さっき和解したところだ」


「そ、そうなの」


 大丈夫と言われてもすぐには信用できないというような態度だった。


「儂がこの里の長じゃ。儂の娘がお仲間に乱暴したようで失礼した。今回の件は何卒許して欲しい」


 この空気を読んで、里長の方から話を切り出した。


「長?娘?貴女一体いくつなのですか?」


「うーんどうじゃろうな。二百を超えた時点で数えるのをやめてしもうたからの」


「まさかこんなところにも伏兵が……」


 エリザベスは何かブツブツと呟いていた。


「まあ、今は好んで争いたいわけでもないし、そういうことにしておきましょう。それでこのゴーレムは何なのですか」


「この近くにある洞窟から来ていることはわかっておる。これまでこんな大群で押し寄せることはなかったのじゃが、今日はこの有様じゃ」


「先ほども、その洞窟を調べないといけないと話をしていたところですよ」


「それじゃあそこまで案内して貰えますか」


 カントはあまり気が進まなかったが、この状況では何とかしないわけにはいかないだろう。


「儂も先ほどまではそう思っていたのじゃが、あの透明なのが何体も村に来るようになったというのであればここを離れるわけにもいかん」


 確かにそれも一理あるのだが、根源を断たなければゴレームはこれからも際限なく襲ってくるかもしれないし、村も防衛戦も消耗戦になりかねない。


「それでは、俺達のうち二人はこの村に残って防衛することにしましょう。その間に長が洞窟の入口まで残りの二人を案内して村に戻る。これなら村の安全も確保できます」


「なるほど。それならなんとかなりそうじゃな」


 他の三人も静かに首肯した。



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