閑話 【神話】呪われた斧
「安息日たる本日、この教会を訪れた皆様に神の御加護がありますように。本日は聖典の中から、『呪われた斧』を音読することと致しましょう」
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『呪われた斧』
タンダラスという国に、英雄と呼ばれる男がいた。タンダラスの周囲には小さな国が沢山あり、日々争いが絶えなかったが、男が戦場に出れば連戦連勝、瞬く間にその地方は統一されていった。
ある日、タンダラスの隣国の一つが、その男を何とかしたいと考え、悪魔を呼び出した。悪魔は商人を装い、男に近づき大斧を差し出してこう言った。
これは、神の力を宿す魔法の斧です。この斧があればもっと早く平和な国を作ることができましょう。
男がその斧を手に取ると、斧は男に狂気を与えた。その斧は、男の憎悪を増幅させ、魔力が尽きるまで暴れ続ける狂人に仕立て上げたのである。男は、三日三晩暴れ続け,タンダラスの首都は壊滅した。
この騒ぎを聞きつけ、天使が男を滅したため、それ以上被害が拡大することは無かったが、タンダラスは滅ぶことになった。再び、戦乱の世となることを懸念した天使は、こう言い残した。
この土地で戦をしてはならない。いずれこの斧を扱うことができる者が現れよう。その者こそが、この地を治める王となるだろう。
それ以来、神を畏れてその地方で戦を起こす者はいなくなった。また、王を名乗る者もいなくなった。王を騙る者は、その斧を持たされ、命を吸われてしまうからである。こうして、その地には預言の王を待つ国と称して、共和国が生まれた。
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「さて、悪魔も実は嘘をつかなかったのではないかという話でありますが、この土地の舞台は、御存じのとおりアキシユ共和国であります。古くからあるバースリオ大聖堂の園庭には、この話の題材となったとされる斧が岩に刺さっており、観光名所となっております。
この斧を岩から抜こうとすると、魔力を吸われてしまうので誰も引き抜くことができません。過去には、罪人に斧を抜かせるという処刑方法がとられていたこともありました。
地元のアキシユ教団は、いつか王が現れることを信じ、斧を管理していると聞きます。魔力が尽きる前に手を離せば、命を失うことはありませんので御自分が王であるか確かめてみることができます。
このアキシユという言葉は、英雄と訳されますが、現地の言葉で「斧を扱う者」という意味であり、王を指す言葉であります。アキシユ教団と当教会の関係は――――」
次回、「英雄と斧」




