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白の転生譚  作者: 優音 乙菜
第一章 教会
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武装解除

遅れました。

色々描き方とか考えながら工夫しながらだと、手が止まってしまいます…。

最初に比べると、進化している…と、思いたい…。

 サクが色々と叫んで落ち着いたのを見計らい、山椒魚さんと僕達の間柄について軽く説明します。


 人の言語を喋るか喋らないかはさて置き。この世界において、人と魔物が共に暮らしている光景はさほど珍しくはありません。

 

 魔物と契約を結び使役する術を持つ従魔師テイマーという専門職の方や、魔物を家畜として飼育している畜産農家。大森林を通る行商人の方の馬車を引いているのだって騎獣と呼ばれる種類の比較的大人しく力の強い魔物が大半です。


 世の中には、インテリジェンスモンスターや、永い時を生きて人の言葉を操るようになった特殊な魔物やドラゴンが守護している土地や国だってあるそうですから、山椒魚さんが教会を守護しているのも、メイドさんが山椒魚さんの上に跨って居るのも別段珍しいと言う訳ではありあません。


 サクが驚いたのは、そういう類の魔物ではない危険な魔物が出たのだと思ったからです。皆して『落ち着いて』と宥めた時こそ、人生の終わりを悟ったかのような顔をして居たサクですが、事情さえ分かってしまえば彼女の恐怖と不安は解消さます。


「なる程な~驚いて損したわー!良く見てみれば案外可愛い?見た目しとるやん」


 サクはペチペチと山椒魚さんを叩きながら言います。


「ふむ…疑問系なのは気になるが、まぁ、褒め言葉として受け取っておこう。して妖精の小娘よ」


「ウチは小娘ちゃうで…って。そういえば自己紹介がまだやったな。ウチは咲奈=フェン。流れの行商人をやっとります。ちなみに、こう見えても25の立派なレディやで…ドヤ!」


 サクは、所々ボロが来た服でボディーラインを強調するようなセクシーポーズ(?)をしながら、自己をアピールします。

 それがいけなかったのでしょう。その無理なポーズが、彼女の着ていた服に最期のトドメをさしました。


 サクの服は、元よりダメージが蓄積して居たでしょう。背中の部分からの『ビリッ』という布の繊維が破れる鈍い音と『バチッ』という糸が切れた様な音を残し、無残な最期を迎えました。

 その音の刹那、サクの着ていた服であった物は、サクの身体から滑り落ち、パサリ。と虚しい音を立てて地面に落下したのでした。


「「「「………………」」」」


 不意に武装解除したサクは生まれたままの姿…ではありませんが。パンツだけの状態になってしまい、寄る辺もなくタダタダ虚空に視線を彷徨わせ。耳まで真っ赤になってフルフルと振るえます。


 僕達は僕達で、何と声を掛けてよいものか。と、とりあえず視線を逸らして思考する時間を稼ぎます。

 まさか、このタイミングで武装解除状態になるとは誰が予想した事でしょう。せめて、彼女が着ていたのがワンピースタイプの服では無く、上下別々の服だったら。とか。何でブラを付けていないの?とか思うところは色々と有りますが、今はただこのいたたまれない状況が哀れで為りません。


 そして、彼女の心情を考えるとフォローの言葉も出てきません。


 そんな永遠に続くかと思われた気まずい静寂を打ち砕いたのは、ハーシェの何気ない気遣いの一言でした。


「サク…お服大丈夫?」


 そうハーシェが言った途端、サクは足元に落ちている元は服であった物の残骸を見て顔を青くします。


「あ…あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛…ウチの服が…高かったのに…受け取ってからまだ半月経ってないのに…」


 どうやら、自分が半裸状態である事よりも。服がダメに為ってしまった事の方がショックだった様です。


「…サク?」


「エルディアリリーのオーダーメイド品やったのに…予約から2年、やっとウチの順番が来て作って貰えた服なのに……ははは…ハハハハハハッ」


「サクー」


 地に手足を付いて打ちひしがれながら何か呟いているサクに声を掛けますが、サクはブツブツと言いながらハイライトの消えた瞳で元は服だった物の残骸を見つめるだけで、呼びかけに対する反応は返ってきません。


「うーちのー2-ねんーがー…」


 そして遂には、良く分からない抑揚の無い歌を歌い始める始末。


「重症だね…」


「…重症じゃな」


「そうですね…どうします彼女?」


「服が問題なんでしょ?メイドさん何とか出来ないのー?」


 沢山の古着がある教会にも、流石に妖精用の服はありません。それに妖精用の服と言うのは特殊な生地で作られていて、普通の場所では売っていません。なにせ、手乗りサイズから人間サイズになる妖精です、服の素材もそれに対応できるものでないと大変な事になってしまいます。


「無理ですねー出来たら2人にも教えてますって。出来るのは古くなったタオルを使って雑巾を縫うぐらいなものです」


「え!?」


 まさかの小学生レベル!?冬休みの宿題で出る課題ですよ。


「リディアも服は修繕しか出来ないぞ。シルバは…頑張ってはいた!」


 シルバは針仕事はあまり得意ではありませんからね。別に細かい作業が不得意と言う訳では無いのですが、針仕事はどうやら苦手な様でボタン付けぐらいしかしている所を見たことがありません。


「じゃあ僕が作るよ、サクが気に入る服があればいいんでしょ?」


 教会には色々な布生地、レースやらボタンやらの装飾。それに裁縫道具の一式も有りました。それにサクは小さいので服を作るのにも必要な素材が少なくて済みます。

 装飾も無く簡単な構造の服で良いのなら即座にご用意いたしましょう。朱里ちゃん程早くは作れませんが、完成度なら負けません。その辺りは得意分野ですから。


「「「「………」」」」


 何故でしょうか?皆からの視線が冷たい…。


「千歳ちゃん。服を作るのって意外と難しいんですよ?と言うか千歳ちゃんお裁縫した事ありますか?ハサミとか針とか使うんですよ!無理でしょ!」


「そうだよ、ハサミ使うんだよ千歳絶対怪我するよ!」


「やめとけって、な。危ないから…な」


「チビよ、悪い事は言わんから止めておけ。もう少し大きくなってからにした方が良いぞ」


 炊事場の件といいメイドさんによる監視の件と言い信頼が無いです。本当に得意なのに…。

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