20:果たし状
「『果たし状、悪魔ナキアとその下僕へ 明日の朝、アビ校内校庭で待っている。MOJより』」
と書かれていた。
テータは先程の少女を探そうとあちこちを見渡すが下校のため周りに人が多すぎず、見当たらなかった。
ナキアは手紙を見つめながら、その場に立ち尽くしてしまい不安そうな表情へ段々と変わっていくのが見える。
終わったと思っていた争いは終わっていなかったのだ。
「大丈夫か?」
心配そうにナキアに声をかけるテータの声もナキアには届いてないような曖昧な答えをする。
「あ、ごめん。」
ハッとした顔で思い出したようにナキアはぐるぐるさせてた目を戻し、テータへと目線を移した。
「一旦帰って、会議をしようか。」
そういうテータの目も少し曇ってるように見えた。
―ナキアの部屋
2人は家に着くまで、無言を貫きあっていたせいか、部屋についてもシンッと静まり返った雰囲気だった。
そんな静かな空間に耐え切れなくなったテータは口を開けた。
「なぁ、MOJの件 どうするよ。」
テータはナキアの方を向いた。
ナキアは俯いたまま、表情を強ばらせていた。
それもそのはずMOJの件で友達は生き返って助かったものの1度死んでしまっている、ナキア自身は何があったかが曖昧になっており、転校生狩りから始まったこの戦いに終わりが迎え、日常を迎え始めたと思った矢先の出来事だったからだ。
「僕は、この果たし状行かない方がいいと思う。」
そう言いテータはナキアから果たし状を奪い捨てようとする。
「ダメっ!」
それがナキアの果たし状を貰ってから、初めての発言だった。
ナキアは身体を震わせながら、果たし状をテータの手から奪い返した。
テータにとってナキアの行動は謎そのものだ。
自分達を襲った者との約束を果たそうとしているその事が ナキア自身本当は怖いはずなのに、約束を守る理由なんてないはずなのにナキアはテータに訴えかけるような目で見つめる。
テータ自身も本当はわかっている。逃げたり約束を破ったら、自分たちを信じてくれたクラスメイトを裏切るような行為なってしまう事を、そのことを心配してナキアも守ろうとしているんだ。
「ナキア、みんなとの約束を守るのも大事だ。だけどな自分達の身も守ることも大事なんだ。わかってくれ」
テータの発言にナキアはキッと睨めつけ
「私のことなんかどうでもいいの!!あんたのことを心配してんのよ!」
と怒号をあげた。
「前回は助かったものの、今回こそ死んでしまうかもしれないじゃ無い…。」
そういうナキアは自分の部屋に飾ってある一枚の写真の方へ1度視線を移し、クッションへと座り込んだ。
テータは1度移した目線の方を見るとそこには
『大人の男女二人と小さい白髪の少女の写真』が飾ってあった。
多分この二人はナキアの親で白髪の少女はナキア自身だろう。
ナキアは親を亡くした、それは永遠に戻ってこないこと出来事だ。
テータは永遠に戻らない出来事という物を知っている。その事を思い出した瞬間1つの発言が脳をよぎった。
「『お前は、どこの誰だ。』」
聞きたくもない、聞かれたくもない奥に塞ぎ込んだ記憶だ。
テータはナキアが座っている隣のクッションに座り込んだ。
「そうだよな。ナキアの身体が大切なのと同じように、僕自身の身体も大切だよな」
テータはしみじみ思う。
自分の能力は危険で到底扱いずらいものということをナキアと出会い使う度に、薄れていってたのかもしれない。
「ごめんなさい。」
テータはナキアに対して深々と頭を下げた。
ありくらげ。です
感想、ご質問受け付けております。
ストーリーに干渉しない程度の質問にはお答えします。
ではまた。




