14:悪魔導書
「DevilsPath…?」
解読した文字をテータは小さく呟くと、古い辞典は宙に50cm程浮き、空中に飛びながらそこで留まった。
「なに…それ」
聞き覚えのない言語にナキアは動揺を隠せない。
あの透明なうさぎに最初は驚いていた少女ももう本が浮くという非日常にはもう慣れたように驚くこともなかった。
浮いている時点は少しだけ紫色に光り、1ページだけを風に吹かれたようにめくった。
テータはすかさずめくれたページの解読を始めた。
「『悪魔との契約について。』」
その場にいる2人の空気は静まりかえり
ナキアの唾を飲み込む音がテータに聞こえた。
その場所は些細なことも理解してしまう程の緊張が走った。
「『悪魔との契約は、色んな条件が存在する。この本、DevilsPathは、その契約とこの世に存在する悪魔、そして悪魔の所持品、悪魔道具を記すモノである。』」
テータはひと段落読み終えると、小さく息を吐いて、自分を落ち着かせた。その後次を読もうと手を宙に浮いたままのDevilsPathへと近づけた時
「バチンッ!」
紫色に光る電流なようなものが触れようとするのを拒むように弾いた。
ヒリヒリと痺れる手をテータは優しく撫でながら手を膝の近くへと引っ込んだ。
ゆっくりとDevilsPathは1ページをめくり出した。
出てきた、また新たなるページを読み解こうとテータは近づき音読を始めた。
「『悪魔との契約に必要なのは主に、魂を交換条件とします。』」
ふたりは目を合わせた。魂の交換などをしたら、死んでしまう事だとふたりは理解したからである。
「あんた、幽霊…?」
テータは恐る恐るとナキアに指さしながら普通なら1度も言わなそうな質問をした。
「私、死んで…ないよ?」
ナキアもこれから一生言わないであろう返答をした。
二人はまだ続きがあると思い、もう一度DevilsPathへと目線を戻した。
テータは光り続けている文字の続きを再び読み始めた。
「『魂の交換は、悪魔との上下関係を示すものであり、悪魔は魂を捧げたものを主と認める習性がある。』」
文字を読み終えたテータの頭には薄れている記憶の中に1つ、ぼんやりとした情景を思い浮かべていた。
それは風を切るようなスピードで街中を走り抜ける音と自分を主と呼ぶ、聞きなれない女性の声。
あれは死ぬ前に見た走馬灯か何かだと勘違いしたテータだが、この文字を読みといて1つの回答に辿り着いた。
「死んだのは…僕、なのか?」
その発言にナキアはリトとの戦闘時、急に血を口から大量に吐き出すテータを思い出した。
「そう、だね…。多分死因は」
「言わなくていい、自分でも理解してる。出血死…だろう。」
つまり、テータがリトとの戦闘で最後に使った技
【ABNOETERNALITY】(永久的でランダム的な異常)で発動した異常化は恐らく
【HEMORRHAGE《へモラジック》】(出血する。)
その異常を永久的に続くように発動したための大量出血死。
しかし、なぜ生き返ったのか。ナキアがなにかしたのかテータの頭には疑問が浮かび上がった。
「ナキア。僕が死んだあとのこと覚えてるか?」
ナキアは思い出そうと頭をねじり、少し戸惑いを見せるような表情になった後、血まみれになった服を着たテータを見て口を開いた。
「私、これを着けたのは覚えてる。」
そう言ってナキアはテーブルにカタっととある物を置いた。
「GOAT…か。」
テータの反応にナキアは小さく頷いた。
GOATを見つめるテータの目には他にも無数の情報が入り込んできた。
恐らく【DECIPHER】の能力のおかげだろう。
能力の力でテータはある情報に辿り着いた。
「ナキア…。、真剣に聞いてほしい。」
そう言いながらテータはエメラルド色に光る眼を閉じ、再びを目を開いた時には元の目に戻したあと、ナキアを見つめた。
「な、なに…?」
目線を合わせるのが恥ずかしいのか、はたまた別の感情があるのかナキアは少し頬を赤らめながら返答をした。
「このGOATを使うと、ナキアはナキアじゃなくなるんだ。」




