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瞑想迷走 蛙よ走れ  作者: らいのべーる
5/10

固定概念

「蛇、蛇、、、ヘビ、へび、、、」


風呂敷を抱えて、誰かに問いかけるようにブツブツと言葉をついては、思うように歩が進まず、焦りに不安を消しては怒りを作りあげていく。


「いやいや、まったく」


思うように蛇には着けず、抱える風呂敷に支える腕は痺れを始め、握る手には汗をも掴んでくる。


思い描く主観意識と曖昧な感情記憶の狭間に、知識と言う武器は鳴りを潜めるように姿を消し、感覚と言う刺客が我此処にと、目の前に膝まつく。


純粋なまでに描く起こり得る想像をしてみたところで、そのまま来るとは思えない。かといって、想像を越えて来るのならそれはまた、はた迷惑なものにもなる。


そのまま来るか。逸れて来るか。


人によっては捉え方は違う。けれど得る経験は味わったことしか知り得ないことである。


正に経験である。


経験に勝るものは無いとは言えど、人に話せるほどのモノは持ってはいない。しかし、人からしたら素晴らしいと手を叩き、どれどれと足を組んでは話を聞きにくる酒のつまみぐらいにはなる程度なモノは持っている。それは私には知り得たものであり、人からしたら知り得ないことでもある。


こっちの水は、甘いぞ

そっちの水は、苦いぞ


迷い立ち止まることにより、不安と言う彼らは内から外からと話しかけてくる。惑わすかのように投げ掛けてくる。それらに、わからないと手を振り歩き去ることも出来るが、両手を持って握り返すこともできる。どちらが正解で、どちらが不正解かは話を聞いてみなければ知り得ないことであり、味わうことをしなければ、その味を知ることも無いということである。


曖昧な感情と言う刺客は、姿、形を変化させて近づいてくる。惑わす声に踊らされるモノほど、辛いものはない。けれど自ら踊るというのなら楽しい宴になるであろう。


曖昧な感情に主観をつけては踊り明かす。踊らされているのではなく、踊るのである。しかし、感情を消し主観だけで踊るのは些か大変なモノである。


ならばどう踊る


主観を捉えながら感情をも握る。言葉では、さぞ小難しいことではあるが実際は簡単なことである。


同じ阿呆なら踊らな損損である。




「どれどれ」


たどり着けぬ蛇に、苛立ちを作り出しては息を吐き、ゆっくりと瞳を閉じては心を落ち着かせ起こり得る物事に凝らして目を見開いた。


湯気が立ち込めていた廻廊は、見た目は変わらずも心なしか遠くまで見通せるよになった。


鼠に牛、虎に兎と。二度三度と見通る廻廊を一つ一つ声に出しては歩き出す。湯気の中に踊るまやかしの刺客は、声を出せずにうずくまり、やがてそれらは消え失せていく。


一歩一歩と歩を進めては湯気の隙間に文字を眺め、漸く進むと蛇の文字が浮かび上がってくる。


「ふー。ようやく蛇か」


抱える風呂敷を支え直すように上にあげては、腰を伸ばすように背を伸ばした。


蛇の湯


門の上に掲げられる看板は、書いてあったのだろう文字がうっすらとは見えてはいるが、湯気の煙に見えなくなっている。


一息ついては蛇の門をくぐろうと足を踏み入れると、門下に蛇と書かれた看板が立て掛けられているのを目についた。


「そうかそうか、これはこれは」


あげる足を下ろしては立て掛けられる看板に目を向けては笑いが溢れる。


鼠に牛、虎に兎と、通り見た部屋の門に全て同じと勝手に想像を作ってしまっては、固定させて見ていたのである。


「これでは、、そうだな。一本とられたわ」


想像と固定をも覆す当たり前のことに、主観に頼りきってしまったと、まだまだ未熟。曖昧な感情に笑いを作っては内へと入っていく。


「いざ行かん、どんなモノがある」


蛇の彫り絵が飾られた門をくぐり、脱衣部屋へと体を向ける。


部屋に入って行くのを確認するかのように彫り絵の蛇から一枚の掛け軸が下がりおりる。


使用中


そう書かれた掛け軸を見ずに内へと入っていく。


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