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謁見

「もう少し先の所にトンネルがあります。そこで休みましょう」

「賛成だ。新手の雪男が来ても面白くない。一旦身を隠した方がいい」

「分かりました。少し急ぎましょう」


 早々に撤収する俺達。ダコタさんにトンネルを開けてもらいやっと一息つく。全員が弛緩する。


「皆様、お疲れ様です」

「お疲れ」

「おつかれ、さま」


 ダコタさんが持参した石炭に火を付けて早々に休憩の準備をしてくれる。


「設営の準備は私がやりますから二人はなるべく休んでください」

「お言葉に甘えさせていただきます」

「ありがとう、ございます」


 なるべくイリアを休ませるために率先してダコタさんのご厚意に甘えさせてもらう。

 それとなくイリアの様子を伺うと、消耗している。疲労が溜まってる感じがする。雪男を一掃する程の精霊魔法を使ったわけだ。そりゃ消耗するわな。やはり休憩を挟んで正解だった。


「イリア、調子はどうだ?」

「んー、少し体がダルい。でも暫くすれば大丈夫だと思う」

「ゆっくり休んでくれ。無理はしなくていい。またサラマンダー(下級火の精霊)の力を借りるかも知れない。頼りにしてる」

「ん、分かった」


 イリアが横になって休む。暫くすると『すぅーすぅー』と寝息が聞こえてくる。やっぱり疲れていたのかも知れない。


「こんなに可愛らしいお嬢さんが雪男を倒したんですよね」


 ダコタさんがイリアをしみじみと見つめる。


「可愛い顔はしてるけど、立派な冒険者ですよ」


 イリアは旅によくついて来てくれていると思う。───イリアが横になっている内に雪の女王について聞いておくか。


「そういえば、雪の女王ってどんな人なんですか?」

「山岳部を根城にしていて私が生まれる前から変わらぬ姿でいます。薄着で平気おりますからモンスターの類ではないかと考えられています」

「モンスターなのに襲ってこないという話ですよね」

「はい、我々のことを認識しているようですが襲ってくることはありません。ずっとそうです。時折山岳部以外でも見かけます。彼女なら何か天候不順について知っているかも知れません───後、天候不順が始まってから雪の女王を見かけておりません。そういう意味でも彼女を確認する必要があります」


 天候不順の片鱗を味わった身としては確かに死活問題だ。吹雪の最中に漁業なんてやってられないだろう。体力は奪われるし、足を掬われて海中に落ちることを想像するとゾッとする。

 それと、後半の情報も聞き捨てならない。・・・場合によっては雪の女王と一戦交えることになるかも知れない。その場合は、今寝息を立てているイリアが鍵になってくるのではないだろうか。


◇ ◇ ◇ ◇


 結局、天候が回復するまで翌日までかかったが、俺達も十分に休息をとれたので結果的によかったかも知れない。

 再出発後は何事もなく行進し無事に雪の女王の住処に到着した。

 住処は金属の塔だった。雪の女王って言う位だから氷の城にでも住んでいるかと思ったらそんなことはなかった。

 塔の入り口は休憩で使ったトンネルと同じ金属で出来ている。横にスライドするタイプの扉らしく取っ手はないどうやって入ったものか・・・。

 どうしたものか思案していると、ダコタさんが扉の前に出る。


「雪の女王様、北の民のダコタです。本日はお願いがあり参りました。どうか扉を開けてください」


 頭を垂れながら口上を述べるダコタさん。

 一応、俺達も頭下げとくか。

 雪の女王からの反応はない。駄目かと諦めかけた所で扉が開く。扉が開いただけでそれ以上の反応はない。


「これは入っていいってことですかね?」

「恐らくそういうことでしょう・・・」

「ここにいても、しょうがないよね?中に入った方がいいと思う」


 イリアの意見に賛成だ。ここで躊躇しても何も解決しない。ここは冒険するタイミングだ。


「俺もイリアの意見に賛成です。どうしますか?ダコタさん」

「・・・そうですね、中に入りましょう。───雪の女王様、寛大な御意感謝いたします」


 中に入ると扉が閉まる。こうなったら先に進むしかないよな。雪の女王を拝んでやろうじゃないか。

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