ヴォイテク大活躍-橋が架かる-
7日かかる予定だった伐採は3日で終わった。その立役者は勿論、巨大熊ヴォイテクの活躍だ。
誰よりも勤勉に働いたヴォイテクに対して村人は徐々に態度を軟化させた。
「ヴォイテクのお陰でほんと助かってる。後はみんながもっと馴染んでくれたらいいけど」
ヴォイテクを撫でるヤスミン嬢。ヴォイテクは気持ちよさそうに頭を擦り付けてくる。
「まだ橋の建築で働きを見せる機会があるさ。大丈夫だろ」
伐採した木材は一度川岸に移動し現地で組立準備が進められている。まずは川に骨組みとなる支柱を埋め込み、支柱と支柱に木材を差し込む形だ。支柱を作った後に、その上に木材を敷き橋を架ける予定だ。
◇ ◇ ◇ ◇
建設を開始したが、お世辞にも順調とは言い難い。ハンマーで支柱をうまく差し込めずにいる。川底の地盤が砂利を大量に含んでいるため固くなっているらしい。
「何かいい方法ないかしら」
困り顔で傍にいるヴォイテクを撫でる。ヴォイテクはじーっと村人がハンマーを振り下ろす様子を眺めている。
「ヴォイテクにやらせてみたら案外上手くいくんじゃないか?」
「ちょっと無理がありませんか?」
「木材の伐採は出来てるし、ヤスミン嬢の言うことも分かっている。だったらやれるんじゃないか?会った時はタバコ吸ってたし」
「・・・確かに。ちょっと試してみますか」
集積所にある予備のハンマーをよろよろと持ってくる。ヴォイテクの傍に持ってくる。
そのままハンマーを持つ仕草を教え込む。
「ヴォイテク、あなたもやってみなさい」
『ヴォッ』と低く唸ると器用にハンマーを握る。悠々と持っている。
ハンマーを持ったまま歩かせると周りも嬌声を上げる。
「あの熊・・・、ヴォイテクだったか。すげぇ芸達者だな」
ハンマーを持ったまま辺りをぐるぐると回るヴォイテク。
支柱に目線を向けた後にヤスミン嬢をじっと見つめる。ヤスミン嬢が少し考え込んだ後にこちらに視線を向けてくる。
「いいんじゃないのか?」
「ですよね! ヴォイテクついてきなさい」
少し体を強張らせながらやや早足で支柱へ足を向ける。その後ろをのっしのっしとハンマー抱えながらついてゆく。
必死にハンマーを振り続けていた男が二人に気付く。
「ヤスミンちゃん、ん?、んん??」
「おじさん、ヴォイテクにもやらせて。この子がやりたいだってさ」
「いや、まぁ、構わねぇけどよ・・・」
ヴォイテクを見上げる。肩を竦めながら支柱から離れる。
「ヴォイテク、やっちゃって」
『ヴォッ』と返事をするとハンマーをゆっくりと振り上げて、素早く、力強く振り下ろす。
『ゴンッ!』と今までと異なる異質な音が響き渡る。
今までめり込まなかった支柱が地面にめり込む。叩けば叩いた分だけ地面にめり込む。
ヴォイテクも楽しくなってきたのかその勢いはどんどん増してゆく
「ストップ!ストップストップ。ヴォイテクもういいよ。 おじさん、この位でいいでしょ?」
「あっ、ああ。勿論だ。他の支柱もよろしく頼む」
結局、ヴォイテクが全ての支柱を埋め込み基礎工事が完了した。
ヴォイテクに敵意がないこと、むしろ率先して参加したいことが伝わると徐々にではあるがヤスミン嬢を通して交流が生まれた。その後は順調の一言でそのまま橋は完成を迎えた。




