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巨大熊 → ヴォイテク-テイミング成功-

「あああっーーーーーーー! 死ぬかと思ったーーーーー!!!」


 緊張の糸が途切れたためか、絶叫するヤスミン嬢。イリアにガバッと抱きつく。

 ちょっと驚くイリア。おずおずと抱き返す。


「間に合って、よかった」


 はにかむように笑う。


「魔法の使用タイミング、バッチリだ。ナイス」


 実際ノーム(下級土魔法)の使用タイミングが噛み合ってなかったら間に合わなかった。

 勿論、ウルフとオウルのが時間を稼いでくれたからこそ噛み合ったわけだが。

 感謝を込めて2匹を撫でてやると嬉しそうに目を細める。


「アーク・・・アークさん、本当に助けていただきありがとうござました」


 深々と頭を下げるヤスミン嬢。随分しおらしい態度してくるが、何か思う所があったらしい。


「当たり前のことをしただけだ。気にすんな」


 村長タイラーさんに俺の出来る限りのことをすると言ったしな。約束を守れて本当によかったと思う。

 そしてヤバイのは第六感シックスセンスである。

 これがなかったら俺達全員危なかった。なんせ一撃でも熊の攻撃が当たったらアウトだ。

 攻撃が当たらなかったからこそ、こうして俺達はピンピンしている。心の中でプイプイ(幽霊騒ぎのインプ)に感謝した。


 <<システムメッセージ 熊が降伏しました。テイミングしました?>>


 脳内に流れるメッセージ。仰向けに倒れて浅い息を繰り返す巨大熊。戦意は失せている・・・。

 やることは決まってるわな。テイミングするよ。


 巨大熊にローヒール(下級回復魔法)をかけて傷を癒やし始める。

 何をしているのか気づいたヤスミン嬢が慌てふためく。イリアもちょっと驚いていたけど、すぐにこちらの意図を汲み取ったようだ。


「ちょっ、ちょっとアークさん、何やってるの!? 何で助けようとしてるんですか!」

「ん?ああ、こいつ(巨大熊)に戦意はない。俺達に降伏したからな」

「えっ?」

「そういうのが分かるんだよ。危険なことはないから信じてくれ。安全だから」

「・・・アークさんが、そういうなら信じますけどね」


 納得は言っていないという表情をしながら、俺と熊を遠巻きに、不安そうに見つめてくる。

 そんなヤスミン嬢の気を紛らわせようとウルフが傍による。ヤスミン嬢、延々とウルフをわしゃわしゃしている。


 暫くして巨大熊の治療が完了する。ムクリと起き上がる。

 熊に反応して痙攣するかのように身を竦ませるヤスミン嬢。恐る恐るこちらを覗き込んでくる。


「えっ、えええええっ!」


 熊は暴れない。あろうことか俺に頭を下げている。まるで目の前の出来事が信じられないとでも言うかの如くだ。


 <<システムメッセージ STR(力)が強化されました>>

 <<システムメッセージ 名前変更しますか? 巨大熊 → ヴォイテク>>

 おっ、何か出てきた。

 名前は勿論変更する。巨大熊は俗称で名前じゃないだろ。提示された推奨名で決定。意味は分からんが。


「ヴォイテク、ヤスミン嬢に挨拶しろ」


 のしのしとヤスミン嬢の前まで歩くヴォイテク。途中『ヒャッ』と声が漏れるが片手で制止する。大丈夫だから。

 ヴォイテクがヤスミン嬢の前で跪くように体を地面につけて頭をつける。


「頭を撫でててやってみてくれ」

「わ、分かったわ」


 物凄くおっかなびっくりヴォイテクの頭を撫でるヤスミン嬢。ヴォイテクは嬉しそうにしている。


「いつの間に手懐けたんですか?」

「ついさっきだ。ヴォイテクが俺達に危害を加えるつもりがないなら、助けてやるのが道理だ」

「はぁー、もういいいです。アークさんのこと信じますから」


 何か達観したような表情している。俺は当たり前のことしか言っていないぞ。


「私も、触っていい?」

「勿論。好きなだけ撫でてやれ」


 コクリと頷くと満足げにイリアがワシャワシャとヴォイテクを撫で始める。

 ウルフとオウルも、ヴォイテクと鼻と鼻を合わせて挨拶している。


 こうしてヒヤリとはさせられたが戦闘を平和的に終えることが出来た。

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