衝突-餌やり厳禁-
事情を聞いて現地に向かうと『森の外に』巨大熊がいた。確実に活動領域を広げている。村に直接襲撃を仕掛けてくるのも時間の問題かも知れない。
話には聞いていたけどデカイ。全身筋肉隆々でゴツイ。肩周りなんて俺の胴体並にあるんじゃないか。あの腕で殴られたらタダでは済まないだろう。
でも、それ以上に特異点がある。
「わたしの知ってる熊じゃない」
「だから人間の荷物を襲ってたのね」
巨大熊はハチミツを舐め、酒を飲み、タバコを吸っていた。
どうやって火をつけたんかと我が目を疑うと周囲に転がる火打ち石。芸達者な熊さんだ。幸せそうにラリっている。
ヤバイ。巨大熊と目線が合う。ガン見してくる。俺も目を離せない。
巨大熊おもむろに立ち上がり・・・突っ込んできた!
「散開!」
俺、ウルフ、オウルは前衛として正面に立つ。イリア、ヤスミン嬢は左右に散る。
巨大熊、そのまま俺に肉薄して爪を振り上げる。
爪を剣で受け止める。『キィィン!』と甲高い音が響き渡る。
重い。チートスキル補正があっても手を持ってかれそうになる。まともに打ち合いなんてしてたらこっちがもたない。
<<システムメッセージ 第六感を使用しますか?>>
唐突に脳内に流れるお知らせ。知るか。こっちは忙しいんだ。使うよ。
すると体に電流が走るような感覚。巨大熊の動きが『何となく』分かる。
知覚する前に自然と体を逸らす。爪が目の前を通り過ぎてゆく。心臓に悪い。
集中。集中。集中。ビビらない。ビビらない。
巨大熊の爪が空振る。空振る。空振る。
剣で腕を斬りつける。
「ガァァァァァ!」
攻撃が当たらないこと、手傷を負わされたことで巨大熊がイライラを爆発させたかのように咆哮を上げる。
俺の鼓膜を破らんばかりビリビリする。
『パンッ』乾いた音を耳で拾う。ヤスミン嬢が放った矢が巨大熊の肩に命中する。
熊の顔が歪む。熊が俺から顔を逸らす。ヤスミン嬢に向ける。
俺から反転してヤスミン嬢に突っ込んでゆく。ヤバイ!
ヤスミン嬢が慌てて逃げるが巨大熊の進路から外れることが出来ない。
「えっ、嘘でしょ!」
ウルフとオウルが追撃。ウルフが足に食らいつき、オウルが頭部をひっかくが巨大熊は止まらない。
イリアのノーム(下級土魔法)が完成。巨大熊を滅多打ちにする。やっと足が止まり棒立ちになる。
棒立ちになった熊に剣を構えダッシュで体ごと突っ込む。直撃。剣が深々と胸板に突き刺さる。地響きを立てながら巨大熊が倒れる。
巨大熊が倒れるのを見届けてヤスミン嬢、ヘナヘナと尻もちをついた。




