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ギルド報告-ヒロインの街デビュー-

 破片回収の件を共有しなければならない相手がいる。そう、冒険者ギルドだ。

 そんなわけで、俺達は冒険者ギルド前にいる。


「ここが、アークの職場」

「職場、職場かぁ。そうだな間違ってないぜ」


 物珍しく周囲を見渡し続けるイリア嬢。人が沢山いる。建物がたくさんあること自体が驚きらしい。

 まぁ分からんでもない。自分の暮らしの中にないものを見つけたら嫌でもその差異は目につくもんだしな。今の所は違いに対して悪感情もってないようだし、とやかく言うつもりはない。


「んじゃ、入るか。まぁ、なんだ。ここの中にいる奴ら(冒険者)は、街の中でも特に変わったやつらだ。あんま真に受けなくていいからな」

「うん」


◇ ◇ ◇ ◇


「おかえり!アーク。 ・・・ん?その子は?」

「ハハハ・・・、色々とありまして」

「私は手紙を届けろと言った。美少女をお持ち帰りしろとは言っていない」


 ギルド受付嬢ハナさんがジト目で見つめてくる。

 イリア、顔を顔を俯かせてもじもじしている。


「とりあえず言い訳させてください。別室で話させてもらえないっすか」

「いいわよ、ペルラとケーシーが見たら何を思うか。早々に女の子ゲットしてくるとは思ってなかったわ。いいわ。上がって」


 うっ。突っ込みたいことはあるけど、魔法使いケーシーのツリ目と僧侶ペルラの悲しげな表情が一瞬よぎる。俺は何もやってないぞ。

 ハナさんがため息をついてから目線を階段に送った後にカウンターから立ち上がりスタスタと上ってゆく。


「わたし、迷惑?」

「迷惑じゃない。イリアは悪くないぞ。こっちの話だから気にするな」

「うん」


 納得はいっていない表情だが今は仕方がない。俺達もハナさんに倣って上がってゆく。


◇ ◇ ◇ ◇


 通された部屋は普段使わない最奥のVIPルームだった。

 中に入ると壁にはミノタウロスの角、ドラゴンの鱗といった希少品が並び、革張りのソファーを始めとした上等な家具で統一されている。賓客を迎えるための内装になっている。


「フィンを呼んでくるから待ってて。ソファに座ってて」

「えっ、フィンさんいるんですか?」

「勿論。この案件を持っていたのはフィンよ」


 ギルドマスターのフィン。名実共に伝説の冒険者の一人だ。多忙なようでギルドで見かけることはあまりない。フィンさんはどこまで知ってたんだろうか。そんなことを考えている内に応接室を出るハナさん。足音がパタパタと遠のく。


「綺麗な、人だね」

「ん?ああ、ハナさんはハーフエルフだからな。あれで可愛げがあれば言うことないんだがな。スパルタすぎる」


 イリア嬢の表情を伺うと緊張のためか強張っている。


「緊張しているかも知れないが安心してくれ。ハナさんもいい人だから。フィンさんも気のいいおっさんだ。みんなイリア嬢の味方だ。勿論俺もな」

「うん」


 ニカッと笑うとイリア嬢も微笑み返す。表情が幾分和らいだ気がする。

 そうこうするうちに足音が近づいてくる。気持ちを引き締め直す。さぁ、ここからが本番だ。

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