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TS転生巫女は今日もてんやわんや。それでも勇者を助けて世界を救います。  作者: 無限飛行


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第8話 建国神話と次期王様?

◆タコマリウス王城

謁見の間

ケイ(敬)視点



なるほど。

宰相の建国神話で、この世界の大体の事情が見えてきた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇魔王は500年前の戦いで異界の門ごと封印されていて、それを成したのは当時の勇者を助けた巫女の力によるものだという事。


◇勇者は巫女と心を通わせる事でより強い力を得る事が出来る。

力の発動条件はまだ不明。

取り敢えず接吻が分かっている唯一の手段。


◇魔王はまだ生きていて、異界の門の封印が解かれるのを待っている。


◇魔王は人の魂を喰らう。

喰らう為には名前を知らなければならない。

だから世界リアースでは名前を明かす事は禁忌とされ、家族と親しい間柄の者としか名前を明かす事は出来ないとされている。

これを犯す者は魔族と同義とされ、犯罪者として処罰される。

それは王侯貴族であっても許されない。


◇異界の門は封印されたが既にこの世界に入ったモンスターや魔族は一掃されずに残っていた。

それが今だに戦乱の火種になっている。


◇結婚も初夜も勇者と巫女を出来るだけ早く親しく、愛し愛される関係をつくる為に行ったものだった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


と、これ迄に分かっている事は以上だ。


だけどオレの役目が魔王討伐なら、やたらにハードルが高いな。

王子と愛し愛されってオリンピック並みか?

完全に無理ゲーなんだが!



「そうだ?!あの、王子は今何処に?」

「第一王子は現在、国境守備に出ております。サラマンダーが現れましたので」

「サラマンダー?」

「火竜の下位じゃよ、巫女どの。王子から聞いておらんのか?」

「す、すみません。その、目が覚めたら王子は居なかったので……」

「「ああ激しかったからか。ですかな」」


おいぃ!?

王様と宰相で声を揃えて何を言い出すんだ!

そこに話しを持っていくのか?!

ヤメレ!!


だけど王子自らがモンスターの討伐に行ったのか。

ああ、真の勇者に目覚めて国内最強になってるからか。

下手に能力見せるもんじゃないな。

いいように使われちゃう。

オレの勤めてたブラック会社を思い出すな。

嫌だ嫌だ。


だけど王子の場合は国民を守る義務がある、か。

ノブレスオブリージュって言葉があったな。

仕方ないか。



『しかしおかしいのぉ。少なくとも身体の関係を持ったのであろう?』

『そのはずですな』

『それにしては国境に向かう王子はいつもと変わらんかったぞい?』

『それは不思議な話しですな』


宰相と王様が耳打ちして話してるが、全部聞こえているからな?!

何の話しをしてんだ!

何の話しを!!

王子の今の状態と《身体の関係》に、どんな意味があるっていうんだ!?

いい加減その話題から離れてくれ。



「む?これは失礼した。巫女どのの前でしたな。失礼、失礼」

「すまぬな、巫女どの。今、宰相と重要な話しをしていたところじゃったのだぞい」



だーかーらーっ、全部聞こえてるだっちゅうに、このドラキュラ宰相とチビっ子長ヒゲ王様が!

ぞい、ぞいって、どっかのゲームキャラか。


しかし何だろう?

二人から感じる王子に対する妙な雰囲気は?

まるで王子にはあまり期待してない、みたいな?

何か嫌な気分だ。


あれ?

オレは何で嫌な気分になってんだ??



「それでね、巫女どの」フッ

「うぎゃ!?」


また後ろから宰相がぁ!?

そんで耳に息かけられた!

セクハラはヤメレ!!



「結婚したばかりですみませんが、貴女にはもう一人の勇者とパートナーになって欲しいのですよ」

「は?」



いきなり何を言ってるんだ、宰相は?

もう一人の勇者とパートナーになれって??

どういう意味!?

あまりの事に開いた口が塞がらない。



「宰相よ。巫女が固まっているぞい。ちゃんと説明してやれだぞい」

「これは失礼しました。そうですな。巫女どのはこの国の教養教育がまだでしたな。単刀直入に言いましょう。貴女に王子は相応しくないと我らは思っているのです」

「相応しくない……?」



はああぁ!?

強制結婚させといて今更相応しくないとか、一体何考えてんだ、この国の首脳陣は??

そもそもオレからしたら王子も含め、男は全部願い下げなんだが?



「第一王子は勇者としては人気が今一でのう。巫女がどんな理由で第一王子を選んだのか知らんが、国民から不満の声が出とるのだぞい」

「まったくです。アレは勇者という柄じゃないですからな」



おい、何だよ?

王子に人気がないからオレに別の勇者を宛がうっていうのかよ!?

意味が分からん。

そもそも勇者に人気が関係するのか?


それにチビっ子長ヒゲ王様、王子は第一王子でアンタの息子だよな?

そんで次期王様じゃないのかよ。

宰相も次期上司予定者にその対応は世渡り的に間違ってないか?

それでいいのか、二人とも!?



「ふむ、宰相よ。巫女は今のワシの決定に納得がいかないようだぞい?」

「ほう、巫女から何か話しがあるのですかな?聞きますぞ」



あう、また顔に出てたの!?

何だよ?着ぐるみメイドに続き、ぽやぽやした苦労知らずで生きてきたみたいなチビっ子長ヒゲ王様にまで読まれちゃうの?

オレって世の中生き辛くない?


うう、だけど振られたからには言うべき事は言っておくか。



「あの、王子は第一王子ですよね?ならば次期王様という事かと思います。ならば今のお話はどうかと思いますが」

「次期王?第一王子がかぞい?」

「ほう。巫女どのは面白い方だ」

「は?」


何かオレ、笑われてる?

オレ間違った事言ってないよね?

宰相、面白いってなんだよ!



「次期王は王女がなる事に最初から決まっておるぞい」

「さようです。王女は女性でありながら芸術的レベルの美しさ。流石はキンニクメリーです」



は?

王女が次期王様で決まってる?

普通は第一王子じゃないの?

第一なんだからさ。

第一の意味は?


それと宰相、王子も前にサラッと言ってたけど、キンニクメリーって名前呼びして禁忌は大丈夫なの?

うーん、情報が足らない。

先生(宰相)、教えて!



「はい!宰相さん、質問いいですか?」

「どうぞ、巫女どの」

「お姫様の名前、喋っていていいんですか」

「姫の名前?」



は?

宰相、何で其処で首を捻る?

チビっ子長ヒゲ王様も同じ方向に首を捻る?


お前ら何か仲いいな。


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