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TS転生巫女は今日もてんやわんや。それでも勇者を助けて世界を救います。  作者: 無限飛行


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第28話

◆北世界神教会併設王立孤児院の裏庭

ケイ(敬)視点


翌日は雲一つない晴天となる。


朝方、やや気温が下がったが、壊れた孤児院から持ち出した寝具類と、お互いに肌を寄せ合い集まって休んだのでどうにかなったようだ。

ただ、オレが目を覚ましたら、オレの回りが孤児院男子でひしめき合いハチャメチャになっていた。

ラーラさんのところが孤児院女子でキレイに川の字になっていたのに、この差は一体何なんだ!?

暑苦しいからあんまり引っ付くんじゃねぇ!オレはお前らの抱き枕になった覚えはないんだがな?!

と、いうような事があったが、まあ交通事故みたいなもんだ。



それで街の様子はというと、正直いって厳しい状態だ。

沢山の家屋が倒壊し、あちこちで兵士や勇者候補とみられる筋肉連中が救出活動をしている。


ラーラさんとオレも救出活動に加わるべきなんだが、孤児院も被災した側だ。

しかも幼い子供達を抱えて、むしろ人手が足りてない。

もちろんオレの立場では分け隔てなく全ての民を助けるべきなんだが、正直これだけ広範囲に被災した状態では何の力もない一市民に過ぎない。

タコマリウス王都は100万都市。

町だけで100町はあり、地震被災はその三割にも及んだからだ。




「北町の役場に被災登録をしてきたから、これで支援物資を受け取れるわ」

「ラーラさん、オレも行きます。あと、コイツらも手伝うって言ってるんで」



7才から10才の孤児が手を上げている。

普段からラーラさんの手伝いをしてる女子チームと、逆に普段から迷惑をかけているヤンチャ男子チームだ。

まあ、こんな時は猫の手も借りたいわけで、孤児達もラーラさんの力になりたい気持ちが強くて有り難い。


当面、孤児達に必要なものは雨風を凌ぐテント。孤児院が倒壊してるのでそれが一番に必要だ。

こうして孤児達は2班に別れ、幼い子達の面倒を見るチームと支援物資の調達チームに別れる事になった。

それでオレとラーラさんは調達チームを先導し、支援物資を管理する北町役場に向かう。



「ミコ、これを着て」

「ミーナさん?」

「ローブよ、ワンピースの上から着れるわ」

「何でオレに」

「役場で聞いたの。城が人を捜してるって」

「?!」

「長い髪の女の子だって。詳しい話しは秘匿されてるみたいだけど」

「………………」

「あれ、アナタね」

「ラーラさん、オレっ」

「前も言ったけど詳しくは聞かない。それよりローブはあった方がいいと思っただけ。それでいいわよね?」

「ありがとう、ラーラさん」



オレはラーラさんの言葉に甘え、素直にローブを受け取った。

何だか申し訳ない。

オレの気持ちが整理できたら、彼女に全ての真実を話そうと思う。



「なか、あったかい」

「ミーナちゃん、歩き辛いんだが?あと、お前らは入るな!抱きつくな!」



ミーナちゃんはオレのローブの中に入って、オレにべったりだ。

寝てる時も男子に混じってオレに引っ付いていて寝返りすら出来なかった。

そしてそれを見ていた男子達、同じようにオレに引っ付こうとしてきやがる。

止めろや、お前ら?!


しかし何だな。

何でオレに集まる女子はミーナちゃんだけなんだ?

解せん。




◆◇◇◇




「えっ?うちのテントが無い?!」

「どういう事だ!?」



役場に到着してテントを受け取れると思っていたら、北孤児院に確保されてるはずのテント類が無い。

事前にラーラさんが申し込んでいたのに一体どういう事?




「ラーラさん、申し訳ない。他の町の物資が想定以上に不足していてコッチに回って来なかったんだ」

「は?子供達に更に野宿を続けろっていうの?雨が降ったら風邪を引くだけじゃすまないわよ!」

「今代わりに無事な住居の住民に一時住まいの提供を呼び掛けてはいる。ただ、30人以上もの孤児に住まいを提供するには難しいのが実状だ。自宅を失ったり家族が怪我した家も多くて受け入れ先が見つからない」

「身寄りの無い孤児よりお金持ちが優先されてるって言いなさいよ。分かった、食料品は回して貰うわよ。いいわね!!」



役場職員の説明に腹立たしさを隠さないラーラさん。

何てこった。

テントが回ってこなかった。

支援物資が少ないのは被災民が多いって事なんだろうけど、シックリこない感じは否めないのは何故だろう。




「ああ、其処に用意してある」

「其処にって、まさか此だけ?これじゃあ、今まで国から受けてた援助物資の1日分よ!?」

「王都30以上の町が《動く大地》で被災したんだ。これから暫く孤児院も北町だけ物資が少ない訳しゃない。他の町にも孤児院はあるだろう?北が多くの食料を押さえれば他の孤児院が減らされる。そういう事だ」

「ウチが援助物資を増やして欲しいと言うと、何故に他の孤児院が減らされるの?援助物資が子供達の食事1日分しか無いのよ。被災したのは皆でしょ。おかしいわよ!」

「今日はそれで我慢してくれ。明日になれば援助物資がまた入るかも知れない。また来てくれ」

「…………分かった」



《動く大地》》?今回の地震の呼び名か。

何か安直な呼び名だな。


だが食料品まで足らないなんて酷い。

援助物資は本当に足りてないのか!?



ふうっ

「ミコ、皆、帰りましょう。とりあえず雨風を凌げる場所を作らないといけないわ」

「ラーラさん、オレも手伝います」

「ミーナもてつだうよ」

「「「「「私たちも手伝う!」」」」」

「「「「「僕たちも手伝い、する」」」」」

「有り難う、ミコ、ミーナ、みんな」





オレ達は配給された食料品を持ち寄り、元の孤児院に戻る事になる。


孤児院の瓦礫を片しながら使えそうな板や木材などを新たに組んで、何とか屋根付きの、小屋のような物を作る事に成功する。


大半はラーラさんの元勇者候補の力だったが、片付けはオレや子供達も参加できた。


そしてようやく一段落して一息ついた頃には、再び夕闇が迫っていた。

オレが放心して下町を眺めていると、背後に人の気配。

ラーラさんだ。



「有り難う。何とかなったのはミコのお陰よ」

「いえ、オレは大した事は」

「ミコがいたから子供達も一つにまとまってくれた。だから私は自身のすべき事に集中出来たのよ」

「………ラーラさんは偉いです。院長である牧師さん不在にも関わらず、この被災を乗り切り子供達を守れている。簡単な事ではありません」

「私に何の力もないわ。この明日の食事も足らない状況で、私は無力だわ」

「ラーラさん、そんな事ないよ!」




急にどうしたんだ、ラーラさんは?

何だか余裕がないみたいに感じる。




「それでね。無理な事だと分かってるんだけど、何とか食料品や物資を城にお願い出来ないかしら?」


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