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TS転生巫女は今日もてんやわんや。それでも勇者を助けて世界を救います。  作者: 無限飛行


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第15話 手記

◆タコマリウス王城

ケイ(敬)視点


「ふっ、第一王子に第二王子。あなた方はもっと召喚された巫女の気持ちに寄り添う必要がありますな」



って、おい!?

何でコッチに振るんだ宰相?

二人の注目がオレに集まるじゃんか!?

ヤメレ!



「巫女の、気持ち」

「おい、俺は巫女の気持ちが分かってるぞ。巫女は俺と遊びたいって思ってんだ。だから十分寄り添ってる。そうだよな?巫女」



いや第一王子、そんな風にオレを真剣に見つめないでくれ。

何だか落ち着けないし逃げたくなるんだが。


それと第二王子、オレがお前と今遊びたい、なんてコレっぽっちも思ってないからな!

だいだい遊ぶって何だ?

○イザップごっこか?



「ここに前回巫女の手記があります。禁書指定で書庫に眠っていたものです。ここには当時の巫女の気持ちが全て書かれています」



前回巫女の手記!

そんなもんが有るのか。

じゃあ、ソコに王妃が召喚に消極的だった理由が書かれているのか!?



「これは貴女に預けましょう」

「はい、有り難うごさい▪▪▪うえっ!?」



おいぃっ!

何でソコでオレに渡す!??

またオレが注目されんだろが!

だけど確かにオレも読みたいけど。



「ふっ、巫女どの。後で感想をお願いしますよ。貴女自身の気持ちも合わせてお願いします。是非ともね」

「あ、うん」



感想か。

つまり感想文を書けって言われてんだよな?

ぐわあああ、感想文だぁ??

オレは感想文と400字詰め原稿用紙は英語と数学よりも嫌いなんだぁ!

なんで嫌いなんだって?

もちろん読書が嫌いだったからさ。

それで中学の時に、えらい添削に熱心な先生がいたんだ。

そんでその先生のテストで《フランダースの犬》の感想文を書かされた訳さ。

だけどオレ、メンドクサがってほとんど読まずに書いたんだ。

そしたら先生に呼び出されて

『敬君、随分と独創的な感想文だね』

って言われた。

お、これは流れ的に褒められる展開だ、と思うじゃん?

そしたら先生が

『君の感想文によると主人公が天に召された後に(幸せに暮らしました)って書いてある。どういう事かね?』

って言われたんだ。

いや、知らないよ?

だって読んでないんだから。

どういう事もこういう事もないよ?

書いてある通りだから。

だけど童話って事は聞いていたから、童話の終わりはいつも《幸せに暮らしました》じゃん?

だから(ああ前後の文が足らないのか)って思って『文を足しますね』って書き足して出し直したんだ。

そしたら先生、変な顔してオレの感想文を添削して返してきた。

で、読んでみたら、オレが足した文が全部削られていた。

なんだよ、随分頑張って書いたのにって悔しがっていたら、先生のコメントが『物語が違ってる』だ。

はあ?だって童話だろ?

童話にバッドエンドはNGだろ?

いいじゃんか。

教会の床掘ったら大判小判がザックザクで。

いいじゃんか。

犬の名前がポチに改名で。

いいじゃんか。

ネロが金持ちになって鬼ヶ島で末長く暮らしたって。

で、結局テストは惨澹たる有り様だった。



っていうトラウマがあって、オレは感想文が嫌いなんだ。

だいたい何で異世界まで来て感想文書きしなきゃならないんだ?!

オレ、召喚直前まで社会人やってたんだぞ?

今さら感想文なんてヤッてられるかぁ!



「巫女」

「びえっ!?」



第一王子が、オレが手記を持って眺めていたらその上に手を添えてきた。

な、なんだよ!?



「…………………」



黙りかーい!?

しかも眉間にシワ寄せて複雑そうな顔でオレを見下ろしてるその姿。

いや、そんでじっと見つめないでくれる?

必然的にオレも見上げなきゃなんなくなる。

絶対コレ首痛くなるバターンだろ!



「巫女、俺も!」

「は?」



いや待てや第二王子!

第一王子がオレに手を添えているところに第二王子も手を添えてきた、って何だ?

これだとチーム戦前の景気付けかファイト一発系になるだろう?!

ヤメレや!



「ふっ今世の巫女は面白い。王妃様の危惧は杞憂だったかもしれませんね」

「はあ?」



この宰相のマッチポンプ!

何勝手に感想してんだよ。

本当によく分からん。

はあ。

朝から疲れて朝飯も喉通らなくなったよ。

オレこんなに少食じゃなかったんだがなぁ。



「お前達、まだワシは言ってない事があるぞい!」



なんだあ?

すっかりカヤの外だったチビッ子が真っ赤になって今頃何か言い出した。

ハイハイ聞けばいいんでしょ聞けば。



「巫女よ、それと第二王子よ!お前達は本日を持って婚約とする。これは決定事項だ。第一王子!反論は許さぬぞい!!」

「はあ?!」

「っ!」

「オヤジ受けるぜ。やったな巫女、これでずっと一緒だぜ!」

「まあ、何て愛でたいの。しかも相思相愛で申し分ないわ」



はあああ、強制結婚の次は強制婚約かよ。

何か逆みたいだけどヤッテらんねーわ!

もう好きにしろって感じだよ。


あとキンニクメリー姫、相思相愛じゃないからな。

第二王子は遊び友達が欲しいだけのお子ちゃまだからな。


あと第一王子、何でムッとしてんだ?

ただのお遊びに付き合わされてるだけだぞ。


まさか今更の独占欲なのか?

オレはアンタのもんになった覚えはないぞ。


そりゃあ自分で言うのもなんだがオレはスーパー美少女だよ。

鏡を見るたび欲情しなくてガッカリだ。


だけどアンタとは結婚式しただけの関係で既成事実は無いからな?

初夜の日に同じ部屋で寝ただけだからな。

朝までオレ一人で寝てただけだからな。

朝は王子が先に起きて出て行ったんだけだ…………?


あれ?

それじゃオレは意識の無い時間があって先に王子が起きて出て行ったって事になる。


既成事実、無い、よな?


ケツ痛くなかったし???


…………………………………。


誰か、無いって言ってくれぇ!!!


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