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Summer Memories Reflection  作者: 大質量黒穴
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7月28日 灯台のぬいぐるみと2つの実り

昨日、類は午前中は蔵の整理に費やしていたところ、頭がピンク色なのかもしれない女の子と出会い、さらに紬という少し寂しげな、素っ気ない少女と話した後、海岸沿いで親切な男と出会い、謎の空気砲を持った、高級品を明らかに敵視する小柄な少女と出会い、ドイツ料理店でドイツ料理を食べて、その後に神社の大木に静かに寝ている少女を見た。

類は、今日は少し朝早くに目が覚めた。そのまま類は顔を洗いに行って、洗面所から帰ってくると、今日はまだ凪沙がすやすやと寝ていた。まだそこまで朝遅くもないし、起こすのも悪いと思い、類は布団に座って凪沙の寝顔をじっくりと観察していた。寝息が可愛い….やっぱりなんかいい匂いもして、どこか落ち着くような感じもした。

「…..真夏の青春の味がするな」

類はまた訳のわからないことを言っていた。類は自身の発言が少しダサかったと感じて、凪沙の布団の中に頭を埋めた。いい香りがした。

「….すー…..はー….美味」

とうとう類は3日目にして気が狂ったのか、寝ている女…それも12歳ほどであろう親戚のロリに興奮していた。ロリコン認定待ったなしの人間であった。

「…..12歳に興奮する19歳….流石にないな」

流石にそれを誰かに見られたらまずいと思ったのか、それともやっぱりそんなものに興奮しようなんて馬鹿げていると思ったのか、類は布団から顔を離し、PCから何やらレシピを取り出して、それを見ながら調理を始めた。そのレシピとは、題して「エッグフロス炒飯」である。というのも、類は大学生活にて一人暮らしをしていくにあたって、料理を上達せねばならなかった。

そのため、妙なやり方を身につけたのであった。そのやり方は至って単純だが、コツを掴むまでが非常に難しい。大量の油を高速でかき混ぜて対流を作り、その中に少しずつ卵を落とし入れて揚げていくという、妙なやり方であった。しかも、類は驚くべきことに中華鍋を揺すりながら、炒飯を宙に舞わせるという技術すらも会得していた。

そんな技術があるのであれば、もう少し文芸部のインスピレーションにそれを活かせないものなのだろうか…..否、それはない。凪沙が昨日炒飯を作っていたので、それに感化されて久々に作ってみたというわけだ。

「おーい….起きアミッ!?」

凪沙を起こしに行こうとして布団の敷いてある部屋に行って、まだ寝ていることを確認して、布団の方に近づいて、しゃがみ込み、凪沙の体をゆすろうと手を近づけたら、急に凪沙が布団から飛び出て、隠し持っていた網を類の頭から引っ掛けた。

「確保ー!やったー!」

凪沙は、類を引っ捕えることができたのがよほど嬉しいみたいで、すごく明るい顔になっていた。類は少し焦って、その網から抜け出そうとするがなかなか離れず、苦闘すること数十秒してやっと網を解いた。胸式呼吸をしていた。

凪沙は人差し指を類の方に突きつけて、確信を持って強く言葉にした。

「さっきまで私の匂い嗅いでたでしょ!」

事実である。もう一度言うが、この男は寝ている…のかどうかも怪しい12歳の親戚の女の子の匂いを嗅いで興奮していた犯罪予備軍なのだから、確保されても当然である。しかしこの男は哀れで、いい歳をしてこの後に及んでしらばっくれることを選んだ。

「え..えーなんのことかなー」

どうみても嘘とわかる表情でしらばっくれている類を見た凪沙は、さらに類の方に近寄り、額をくっつけて、もう一度強く注意をした。

「もう一度言います。そう言うことは次から….いや、これ迄もやめてください。」

凪沙は類に思わず無茶を言った。一昨日きやがれと同類の無茶である。流石に類は後半の言葉は相手にせず、次からしないように気をつけることにした。それが確認できると、凪沙はふと、居間から匂う香りに気づいて、その居間にすたすたと歩いて出てきて、卓に載っている2皿をじーっと見て、少し笑みを溢した。

「これ、類さんが作ったんですか?」

凪沙はその皿を指差しながら、類の顔を見て首をほんのわずかだけ傾げた。

「え、そうだけど….何その顔」

凪沙は少し含みのあるような表情をしたかと思えば、その次の瞬間には笑顔になってその卓の前に座り、早速食べ始めた。すごく美味しいらしく、凪沙は幸せそうな顔をしながら黙々と食べ始めた。

「(でも…なんだか…寂しい味がする)」

凪沙は心の中でそう感じたが、顔には出さなかった。

類は凪沙が幸せそうに食べている光景を見て心が温まり、一緒に食べるのが良いだろうと思って、類も凪沙の向かい側に座って、一緒に食べ始めた。

類は、こう言う朝も悪くないと思った。妹がいたらこんな感じなのかなと思ったが、妹にしては年が離れているし、それによくよく考えれば従叔父の子なのだから….再従妹だから、いや、意外といけるな。

その後、俺はまた日課をしながら、少し疲れたら休憩するということを繰り返して蔵の整理をする。

「あっ…類くん….今日も…少し重めのものを手伝ってもらってもいいかしら?」

….歳は30代であろうが、少し類のことを意識しているような感じであった。

「もちろん構いませんよ。俺は長男ですから。」

長男であっても耐えられないものは耐えられない…というかそもそも兄妹いないが。暫く作業していると、何か不思議なものを見つけた。古文書だ….酷い保存状態で、虫に食われている部分が多すぎてとても読める代物ではなかったが、その中には幾つか興味深い単語も入っていた。「ライト」だの、「不和の女神」だの…これは神話か何かかもしれないが、それにしては公式の文面で、しかもこれが書かれたのは1756年という江戸時代真っ只中のことであるから…その頃に日本で神話が新しくつくられるとも思わないし、やはり曽祖父の集めていた本は謎なものばかりだった。

それから数十分また作業して…その度に謎のものが出てきては、それを仕分けて…いや、仕分けづらいものもたくさんあった。

「美樹さーん…そろそろ休憩にしません?」

その後、類達は昼飯を食べて、類の午後はまた散歩という形で、島の地理をとりあえず全把握していく作業をしていた。とりあえず、今日は町や港側とは別の方向の道を辿って、海岸の方にいくことにした。長い坂道を降りる間にまた謎の鳥を発見した。どこか幻想的な、それでいてどこか本能的に危険と感じるようなそんな見た目をしていた。もちろん、それも慣れの問題であろうが。それを類は、その鳥が再び飛び去るまで眺めていた。

さらに坂道を下っていくと、今度は何やら純白の灯台が見えてきた。白くて丸いドーム状の構造が真ん中にあって….少し興味があったので近づいてよく見てみることにした。灯台に近づいていくと、そこに何やら人影を発見した。小柄で…140ちょっとあるかどうかぐらいの大きさの、黄色い髪の少女だった。

その少女は、何やら倍率が高そうな双眼鏡を使って、灯台の上に立ってあたりを見回していた。そして、類と目があった。すると、その女の子はしばらく双眼鏡をじっと覗き込んだ後、双眼鏡をゴトッと落とした。硬い音がして、その床に落ちたかと思ったら、その場から転がり落ちて、地面に落ちそうになった。類は咄嗟に足を踏み抜いて、灯台の真下へ行き、その双眼鏡を両手でギリギリキャッチした。普通に痛かった。

「おーい!…気をつけろよ!」

類が灯台の上まで届く声でそう呼びかけたら、その少女は見えたかどうだかわからないスピードで灯台の向こう側に移動して、身を縮めていた。しかも、何やら探し物をしているようで、震えながら辺りをキョロキョロと見回して、少しだけ視線が一点に留まった。すると、少しだけ隠れたかと思えば、何やら大きなぬいぐるみを抱えてきた。

すると、さっきまで激しかった震えはおさまって、落ち着いた様子で呼びかけてきた。

「その…双眼鏡….返してください….」

何かは言った。口は動いていた。しかし、震えた声が小さすぎて断片的にしか聞き取れなかった類はすかさず聞き返した。

「なんだってー?….もう少し大きくしゃべってくれないかー!」

命はそれに少しびっくりしたような表情を浮かべて、もう少しだけクマをしっかりと抱いて、声を絞り出した。

「…..その双眼鏡!返してください!」

今度は声は震えてはいたが、類の耳にもしっかりと伝わって、少し黙って自分と灯台の上にいる少女との距離を少し測って、今度はこういった。

「じゃあ降りてきてー! ここからじゃ届かない!」

命は少し目を泳がせてきょどったが、一回目を瞑って深呼吸を何回かした後、その下に下がるための梯子をクマのぬいぐるみを先に下ろしてから自分も降りて、灯台のランプのある場所の中に入った後、バタバタと駆け降りた。そして、急にドアを開けた。ドアの真ん前に立っていた類は、類に気づかずに命が開けた、勢いの乗ったドアに顔を打ちつけた。顔を殴られる気分が分かったような気がした。鼻っ面が顔の中で一番前にあって、ほとんどの衝撃をもろに受けるから、鼻が一番痛みが強くて、一番衝撃がかかりやすい。

「あっ….ごめんなさい!」

その女の子は頭を下げて、その後少し距離をとりながら恐る恐る近づき、双眼鏡を開いている方の手でさっと回収して…すぐにまた灯台の中へ戻ろうとして、ドアノブに指をかけたとき、扉を開く手が止まって、類の方を見て、提案した。

「助けてもらいましたから….あの….お茶とお菓子ぐらいなら…..私は命…環命っていいます」

類は、命のさっきまでの怯えように比べて随分と礼を重んじる人であると感心した。その感謝の気持ちを無碍にしてはいけないと思った類は、その申し出に応えることにした。

「じゃあ…お言葉に甘えて。あ、俺は羽依佐類っていいます。この夏休みの間、ここで滞在することになってます」

自己紹介をした類と、名前だけを言った命は一緒に灯台の中へ入った。そこには、灯台横の広い部屋の中に、テーブルと棚が置いてあって、その棚に幾つも洋菓子が並べられていた。バウムクーヘン始め、シュトーレンとか、レープクーヘンとか…やけにドイツ菓子の割合が大きかった。類はその品揃えを見て、命に尋ねた。

「環さんって、ドイツが好きなんですか?」

すると、茶をゆっくりと注いでいた命の顔が上がり、少し間を置いた後、一旦茶を淹れ終わるまで待たせて、それから椅子に座って

「はい…いや!」

命は類の質問を一度は肯定したもののすぐに首をブンブンと振ってキャンセルした。

「あの….私の…お母さんがドイツ人のハーフで….それと…ドイツ料理店…やってて…」

命は少しおどおどしながらも、どうやら会話は出来るようだ。そのクマのぬいぐるみを持っているからなのか、それともたださっきは驚いていただけなのだろうか。命は服の袖に触れながら言葉を続けた。

「….この制服も….ドイツの国旗をイメージして…..オーダーメイドしたんです」

類はそれを言われて初めて、命の服の袖を見たら、確かに黒赤黄色の順の横線が入っているじゃないかと、少し自分の目がそれを見落としたことも含めて、感情に浸った。その後特に大した話もせず、ただいっぱいの紅茶と、一切れのバウムクーヘンを食べて、類は命に手を振ってから、また今度は山の奥に歩き始めた。緑の生い茂った山道を、道にはみ出てる草をかき分けながら、険しい山道を登っていった。登り始めてから30分ほど経とうかという時、そこには謎の祠があった。明らかに怪しげな祠だが、一体何を祀ってあるのだろうかと思って、類はその祠に近づいて観察してみることにした。そうしていると、どこからともなく女が耳打ちしてきた。

「君もおっぱいに触れてみる?」

急な耳打ちに類は飛び退るように数メートルほど距離をとった。

「エロいことだけはしないでくれ!てかお前誰だよ!」

類はそう叫んだ。そりゃそうだ。知らない女に突然耳打ちされて、しかも第一声が”おっぱいに触れる”だなんて、邪な考えを持っているに違いない。

「….エロい?いえ….愛よ 私は….夏の夜に納める二つの実り….何その顔..冗談よ 私の名前は納富栞 栞って呼んでも、おっぱいって呼んでもいいわ。私の体なんて6割がおっぱいだから」

類はその発言を聞いて、その体に目を向けた。自分より背は低いけれど、その身長の割に出るところは出て、特に胸が大きい、グラマラスな…いや、母性に溢れる体だった。そして、類が切り返す間も与えずにこう付け加え始めた。

「これはね….おっぱいの神様よ こんな夜中に、こんな場所に来るなんて、豊実教に入信したいのかしら?いいわ、大歓迎よ」

類はそのやばすぎる考え方に動揺して、すぐに逃げ出した。きっとこれはあれだ。痴女とかいうやつに違いないと思って、急いで逃げた。そして、山道を降りていくと、しっかりとした道路にでて、俺はそのまま家にまで帰った。もう少しで鳴瀬家に到着しそうというところ、角から曲がってきた紬とばったり顔を合わせた。

「あ…あの時の….」

類は昨日のことを思い返した。特に川に不安定なことがあるはずもない時に、水量調査と言いながら、類を追っ払ったあの人だ。

「….何…まだいたの?」

紬は少し眉を顰めて、また体全体で拒絶の意を示した。その後、独り言を言うかのようにぼそっと言葉をこぼした。

「早く帰ればいいのに」

「なんか言った?」

「何も。さっさと鳴瀬さんちに帰ったら?待ってるんじゃない?」

類はそれもそうだと思って、紬に手を振って、そのまま鳴瀬の家の門を開けて帰った。

「おかえりなさーい 遅かったですねー」

凪沙がひょこっと顔を出して、類の姿を確認するなりなんなり、玄関まで出迎えてきてくれた。すると、凪沙はじっと類の顔を見た後、様子を伺ったが、特に追求せずにそのまま晩御飯を配膳してくれて、類は手を洗ってそれを食べた。ここで1人で食べるのは久しぶりであった。そして、風呂に入った後、髪を乾かしながら布団に潜って、紬のことを考えていた。

「…….あの子….なんであんなに素っ気ないんだろう…」

類はそのままゆっくりと眠りについた。

こうして、類のここでの生活の3日目が終わった。

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