第16話:敵幹部『ヌル』の絶縁プロトコル
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飛鳥創(So Asuka)と申します。
普段はITやAI関連の本なども書いているのですが、今回は「もしも現実世界がコードで動いていたら?」というサイバーSF小説に挑戦してみました。
どうぞ気軽に、肩の力を抜いて楽しんでいってください!
スイスCERN地下の暗黒サーバー前。
「死ね、デバッガー共。お前たちの『絆』という非効率なデータ参照から消去してやろう」
ヌルが手を掲げた瞬間、漆黒の絶縁フィールドが僕と冴先輩、そしてアリスの間を切り裂いた。
┌───────────────────────────────────
│ // ヌルの絶縁プロトコル:DisconnectAll()
│ foreach (var connection in KanzakiRen.Relationships) {
│ connection.Reference = null; // 感情・信頼・記憶の切断
│ connection.Dispose();
│ }
└───────────────────────────────────
——ズバババババッ!!
「ぐあああぁぁぁぁっ!!」
僕の脳内に、耐え難い激痛が走った。
頭の中から、冴先輩の顔が、声が、一緒に戦ってきた記憶が急速に薄れていく。
「神崎……! おい、神崎! あたしの顔が分からねえのか!?」
冴先輩が必死に叫んでいるが、その声が遠く歪んで聞こえる。
さらに——僕の脳内で、ずっと僕を支えてくれたアリスの姿が消えかけていた。
『蓮……! ダメ……! 私たちの同期シグナルが……切断されていくわ……!』
「アリス……!? 冴先輩……!? 嫌だ……忘れたくない……!」
「無駄だ神崎蓮」
ヌルが冷たく言い放つ。
「人間関係や信頼など、ただの過剰なポインタ参照に過ぎない。参照を切断すれば、人間はただの孤独な孤立オブジェクトだ。誰もお前を助けないし、お前も誰も救えない!」
僕の膝が、冷たい金属の床についた。
視界が真っ黒に染まり、孤独の暗闇が僕を飲み込もうとしていた。
(僕は……また一人になるのか……? あの頃みたいに……誰とも繋がれず……冷たいデバッグ機械として……)
その時だった。
暗闇の向こうから、冴先輩の怒声が響き渡った。
「ふざけるなよ……新参のクソクラッカーがぁぁぁぁっ!!!」
冴先輩が、自身の脳内ネットワーク帯域を全開にして僕の手を強く掴んだ。
「神崎! お前は冷血な機械なんかじゃねえ! あたしの最高の相棒で、世界一のデバッガーだ!! 忘れさせてなるかよぉぉぉっ!!」
冴先輩の手の温もりが、僕の麻痺した脳神経に電撃のように走った。
「冴……先輩……!」
『蓮……! 立ち上がりなさい!!』
脳内で、アリスの光が力強く再点火した。
「そうだ……! 僕たちの絆は……そんな一行のコードで消せるほど、安っぽくない!!!」
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