待ちぼうけと特上ハンバーグ
I start adventure for now - Souji Yamato
午前10時‥‥クリスとブラッドは、ハーシェル伯爵邸を訪れました。
ハーシェル伯爵家は、ブラッドの実家で、今回のクエスト依頼主です。
けれども、門番も、使用人たちも、ブラッドが依頼を受けると知ると、声を上擦らせながら、慌てていました。
どうやら、ブラッドは、招かれざる帰省客のようです
しかも、ブラッドの奴は、いつも通り、周りの空気が読めていません。
正午の待合室‥‥クリスとブラッドは、早くも、2時間も待たされています。
この上、この邸宅の使用人たちは、何やら、ひどく慌てるばかりで、クリスたち二人への『食事の提供』すらも忘れていました。
そのため、クリスたちの食事は、40分遅れで、サンドウィッチだけです。
おまけに、ブラッドが、不満を口にします。
「中身が、レタスとタマゴだけなど!」
すると、クリスたちの前に、特上ハンバーグ・ランチが出現しました。
システムウインドウ内から、侍女Xrokが告げます。
『生産スキルで、二人分の食事を用意しました。
よろしければ、お召し上がりください』
「ありがとう」「うまそうだな!」
クリスは、素直に礼を言い、ブラッドの方は、食事の見た目を褒めました。
そこで、早速、二人は、食事を摂り始めます。
午後2時‥‥やっと、クリスたち二人は、応接室に案内されました。
そこには、ブラッドの父『ハーシェル伯爵』が居ます。
しかし、ハーシェル伯爵は、頭を抱えて、あからさまに悩んでいました。
それでも、伯爵が、気丈にも言葉を発します。
「よりにもよって、依頼を受けたのが、役立たずのブラッドで‥‥
その仲間は、裸よりの半裸のバニーガールだと?
‥‥何故、こうなった!」
「父上、わたしが、その有能なブラッドです」
「お前、私のボヤキを、聞かなかったのか?
まあ、良い‥‥あとは、執事のハワードに任せる」
程無くして、クリスもブラッドも、別の場所へと追い払われます。
そして、クリスたちが退室すると、すぐさま、伯爵は、溜息を吐きました。
クリスたちが向かう先は、別館‥‥いわゆる離れの空き部屋です。その別館は、古めかしい、と言うよりも、まるで使用人の住まいでした。
クリスが、ブラッドに問います。
「ここは?」
「見ての通り、使用人の寮だ‥‥」
「‥‥こんな所で、詳しい話って?」
「気を付けろ、この件には‥‥きっと、裏がある!」
ブラッドは、いつに無く、シリアスな表情です。
そこで、クリスが、ブラッドに告げます。
「大丈夫、単なる厄介払いだと思う♪」
「クリス‥‥君は、貴族の社会を、知らなすぎる」
ブラッドからは、哀れなほど、クッキリと‥‥滑稽な香りがします。誰が如何見ても、ブラッドは、勘違い道化師です。
こうなると、クリスは、表情に出るほど、呆れ返る他に無いです。
どう考えても、ブラッドは、招かれざる客‥‥おそらくは、役立たずの厄介者でしか、あり得ません。
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