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創造主――ベンダリウスが創ったとされるこの世界『デルミア』は、誕生してから長い年月をかけ、流星がぶつかったり地殻変動が起きて地面が動いたことで、広大な海とそこに浮かぶ8つの大陸ができたと言われている。

大陸にはそれぞれダンジョンがあり、見事攻略を果たした者には、ベンダリウスからの祝福が与えられるという。その祝福とは、どんな願いでも、ひとつだけ叶えてもらうことができる――と。

だが、8個あるうちのダンジョンで、攻略された場所はたった一つだけ。しかも攻略を果たしたパーティーはそのまま姿を消してしまったため、ベンダリウスの祝福が本当なのかも定かではない。


それなのに、何がそこまで冒険者を惹きつけるのか。

いつからあるのか、どうやって出来たのか、踏破したその先に何があるのか、誰一人として分からない。そんなダンジョンに冒険者たちは祝福を求め、今日も攻略を進めているのだ。


「久しぶりに来たなー、イルミナイツ学園!」

「ルルカ、あまり大きな声を出さないように」

「へーい!」


デルミアにある大陸のうちのひとつ、俺たちが暮らすビビア大陸にも、例に漏れずダンジョンが存在していた。15の国がある中で、大陸1、2を争う大きさを誇るこ『イルミナイツ王国。そのほぼど真ん中に、『第3ダンジョン』がある。

そして、ダンジョンの隣に位置する広大な建物は、『イルミナイツ学園』――ここは冒険者を目指す者が通う、言わば冒険者育成機関である。小等部から高等部まであるが、スキルを付与され、実際にダンジョンに入れるようになるのが高等部から。


……まぁ、俺はスキル付与された途端、ダンジョンの深部に飛ばされちまったけど。


実力が見合ってない者が、ダンジョンの奥深くに潜ることは命を捨てることと同意なので、学園に通う生徒としてはほぼ違反行為である。


「……やはり来られましたか、ナタ」

「オルンディーヌ氏、お久しぶりですね。……ではやはり、ディアはこちらにいるのですね」

「えぇ、今は学園の者に治療をさせております。ご案内いたしましょう」


ナタの言った通り、俺と入れ替わったのはディアという男で間違いないようだ。その後はルルカとカラメルも話に入り、近況報告などを行っているようだ。冒険者になるためには学園に通う必要があるので、あの3人……ディアも含めて4人とも、イルミナイツ学園の卒業生とちうことになる。


「それにしても災難じゃったな、リードルよ」

「……オルンディーヌ校長」

「スキルについて説明する前に、まさかスキルが発動してしまうとは……迂闊であった」

「いや、そんなこと……」


話に一段落ついたらしいオルンディーヌは、後ろを歩いていた俺の横に並び軽く頭を下げる。確かに、とても危険なスキルであるし、1歩間違えれば死んでしまってもおかしくないスキルだ。そのことはオルンディーヌも重々承知なのであろう、表情は固く暗かった。


「さぁ、着きましたぞ、関係者しか入れぬ部屋じゃ。安心してくつろいでくだされ」


どれくらい歩いただろう、ある扉の前で立ち止まったオルンディーヌは、小さく何かを呟き、大きなその扉を静かに開けた。


「……かなり激しい戦いだったと見受けられる」


今は眠っている、と示された先には、顔を顰め苦しそうに唸る、1人の男だった。きっとこれが、俺と入れ替わったディアという男……。


「……ふむ。私の方でも回復魔法をかけましょう」


ディアの様子をちらりと見たナタは、その額にそっと指を乗せ、そして呪文を唱え始めた。その瞬間、ディアの周りがキラキラと輝きはじめ、初めてきちんと見る魔法に思わず感動してしまう。


「さて、リードル……このような時ですまないが、改めてスキルの説明をしておかんとな」

「すんません……お願いします」

「あ、そっか、詳しくはまだ分かんないんだっけ!あたしも知りたーい!」

「これルルカ、静かにするんじゃ」


魔法で治療を続けるナタを横目に、オルンディーヌはそう話し始める。


「そなたに付与されたスキル――『サクリファイス・チェンジ』とは、ある条件が満たされた際に、その対象の人物と場所が入れ替わってしまうスキルじゃ……ここまでは、おそらくナタに聞いていると思うが、問題はその条件じゃ」

「条件……」

「あぁ。そなたの場合は……『半径500m以内』におる『能力合計値がSランク冒険者』に命の危機が迫った際、『強制的に』位置が入れ替わってしまうスキルじゃ」

「命の危機が迫ったとき……」

「入れ替わりでこちらに来たディアは、かなりの傷を負っておった。つまりは、命の危機が迫っていたのじゃろう」


では、あの時に俺のスキルが発動していなければ、ディアという男はそこで命が尽きていたかもしれない……それを、俺と入れ替わることにより安全な場所へ強制移動することで、危機を回避する。


じゃあ、入れ替わってしまった、俺は?




――なるほど、ナタの言う通り、これは『生贄』と呼ぶに相応しいスキルのようだ。

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