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ジャッキング・フォース  作者: まるマル太
第4章 ZZZZZ(ファイブゼッツ)社からの刺客
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#第24話 あの日の痛み

#第24話 「あの日の痛み」




時柳宋じりゅうそう 衛久守えくすがSASを纏い変身した

シュヴァイツァー・XDAYエックスデイ


対するは地球外生命体、

エンシュージアスティック・タウラス。

それに加えて、ZZZZZファイブゼッツ社の最新人間兵器、

すめらぎ 慧仁具真えにぐまが変身する

狂乱滅帝きょうらんめっていキュリアス・トゥデイ。




「くっ!!」

「君のその動き、完全に読めるんだよ。」

シュヴァイツァーは使用者の圧倒的身体能力を活かした高速移動を得意とし、

なおかつ、両手に備えた禍々しい槍“アドジュ”を用いた

強力な槍撃そうげきを繰り出す。


しかし、キュリアス・トゥデイの計算速度は尋常ではないレベルであり、

その攻撃は全て計算内に収められていた。


しかもトゥデイは

神速の闘牛の如きタウラスを自分の意志通りに使役することができる。




「さっきから貴様は一歩も動いていない。

 ナメられたものだな?」

シュヴァイツァーは目にも止まらぬスピードで

トゥデイの側面から回り込んで、槍の突きを繰り出す。


その時、不意に現れた闘牛の突進を受け、

シュヴァイツァーは両足でアスファルトを滑走し、噴水の縁で静止した。

すかさず、闘牛がシュヴァイツァー目掛けて突っ込む。

彼はすんでのところでそれを回避。

タウラスは勢いを殺しきれずそのまま噴水を破壊し、突き抜けた。




「甘いよ!」

シュヴァイツァーが回避した先には、

トゥデイの背中から生える伸縮自在な爪が迫っていた。


「そのくらい計算済みだ!!」

シュヴァイツァーは体をまるでフィギュアスケートのように回転させながら、

2本の槍で華麗に爪を断ち切った。


が、次の瞬間、彼は背中に強い衝撃を受け、

うつぶせの姿勢のまま地面を滑走した。




「油断しない方がいい。

 僕の爪は7本もあるのさ。」

相変わらず、トゥデイは両腕を組んだまま

最初の位置から動かず、倒れた敵を見据えている。




シュヴァイツァーは瞬時に起き上がり、

敵の位置取りを把握する。




「・・・さすがに、最新兵器というだけある。

 自身の爪の操作に加えて、闘牛まで四肢の如くコントロールしている。」


衛久守えくす、君の“偏差へんさレベル”は

 そのSASを纏った状態で75、6というところだね。」


「偏差レベルだと?」


「あぁ。ZZZZZファイブゼッツがここ最近用いている

 ”戦闘能力の指標”だよ。

 ZZZZZファイブゼッツの人間兵器をほぼ50として算出する。

 つまり、優性遺伝子を取り入れた通常被検体を50とするならば、

 戦闘手段を持っている一般人はせいぜい35から40ほどになる。」


「そうなると、俺様のその75っていう数値は

 相当高いという解釈で問題なさそうだな?」


「あぁ、その通りだね。

 でもね、今はそんなもの無意味さ。

 なんていっても、僕単体の“偏差レベル”は・・・」


そこまで言うと、トゥデイは背中の残り7本の爪を一斉に標的へと構えた。




「“100”、だからね?」

次の瞬間、爪が一斉に襲い掛かる。

目に見えないほどの高速ステップで

次々と回避したは良いものの、

その先には闘牛、タウラスが待ち構える。



タウラスは前屈みになり、頭部の頑丈そうな二本角を繰り出した。


シュヴァイツァーは持っていた槍の1本を投げ捨てると、

タウラスの角に直撃しない角度で、

全体重を乗せ、もう片腕の槍を突き出した。

それは正確にタウラスの頭部を貫いたのだった。




「ヴォオオオオオオオオ!!」

タウラスは激しく叫ぶと、その巨体を地面へと突っ伏した。

どうやら、弱点を突かれ、絶命したようだ。

それを見ると、冷酷に死体から槍を引き抜き、

投げ捨てた槍を拾い上げた。




「ふーん、お見事だ。

 さすがは最高傑作を誇るだけのことはある。」


トゥデイはまだ余裕らしく、腕組みを崩さないばかりか、

最初の変身位置から一歩も動く様子はない。




「貴様は確かに性能では勝っているようだが、

 油断は命取りだぞ?」


「寝言は寝て言ってくれ。

 僕を倒すなんて夢のまた夢だ。」


再び、7本の爪が一斉にシュヴァイツァー目掛けて迫る。




シュヴァイツァーは次々とそれらを避ける。

爪はアスファルトをまるでケーキのスポンジのように容易く抉っていく。




・・・俊敏性は明らかにシュヴァイツァーの方が上だった。


しかし、トゥデイは計算能力が異常に高く、

敵が加速した後の行動をすべて読めるため、戦闘において遅れを取ることがない。


なおかつ、強力な背中の爪型触手で

自身の機動力の低さをカバーできる。






「面白い・・・ここまで俺様と対等に戦えるのは

 貴様が2人目だ。」


「ってことは、僕の他にも君ほど強いヤツがいたと?」


トゥデイの声が少し低く、鋭くなる。




「フッ・・・。

 宿敵であり、同時に

 その者を殺すことが今の俺様の生きる目的の一つでもある。」


「・・・あぁ、そう言えば、

 ZZZZZファイブゼッツの人たちから聞いたな。

 その者の名は”伊集院いじゅういん 雷人らいと”。

 違うかい?」


「すべてお見通しか。その通りだ。」


衛久守えくす、君は記憶の大半を失っているだろうから教えてあげるよ。

 伊集院いじゅういん 雷人らいとは・・・もう死んだ。

 それも、5年前、君との戦いの直後にね。」


「・・・やはり、そうであったか。」




衛久守えくすことシュヴァイツァーは

何も取り乱す様子はなく、静かに天を仰いだ。




「喜べ、衛久守えくす

 君はおそらくではあるが、伊集院いじゅういん 雷人らいと

 相打ちに終わった。

 だから、君が生きる意味なんてとっくの昔に無くなっているのさ。

 せっかく無理やり生き返させられたというのに、哀れな人だね。」


そう言い、トゥデイは冷笑した。




「いや、ヤツの排除など、“浄化”という使命の一部でしかなかった。

 これで安心して責務を続行できるというものだ。」




シュヴァイツァーは2本槍を構え、前方の敵を凝視する。




「言うことだけは随分と立派だね。

 でも、僕を倒すことと浄化に何の関係があるのかな?」


「ブルートを操る能力を乱用するヤツを野放しにする訳にはいかないからな。」


「なら、もはや戦うしか道はないようだね。

 でも、このまま続けたら僕が君を倒しちゃうよ?」


言うが早く、トゥデイの爪型触手は既に

目の前の獲物目掛けて放たれていた。




シュヴァイツァーはそれを華麗に避けていくが、

先ほどとは爪の動きが明らかに違う。




「僕が学習しないとでも思ったかい?」

「何!?」


次の瞬間、シュヴァイツァーの腹部を前後から挟むように

爪が突き刺さる。




「ぐはあああっ!!」


爪は彼が腰に巻いていたバックルを突き抜くように腹部を貫通し、

そのまま素早く引き抜かれた。




シュヴァイツァーチップには

”アーマー表面部の自動再生機能”

および

”装着者のスタミナ回復機能”

があり、

致命傷を受けない限りは圧倒的な耐久性を誇る。


しかし、一撃でアーマーを貫くような威力の攻撃を食らった場合、

それを無効化するような機構は備えていない。


つまり、単発で致命傷を負うと対処できないのである。




「君が以前の“ノウベタザン”に変身できたのであれば、

 少しはましな戦いもできただろうけど、

 SASでは君自身の性能を活かし切れないようだね。」

「くっ・・・情けないものだ・・・」

シュヴァイツァーはベルトを破壊されアーマーの変身が解け、

そのまま衛久守えくすは膝をつくように崩れ落ち、

うつ伏せで倒れ込んだ。


「あぁ、本当に君は情けないよ。

 ・・・君にはこのまま死んでもらう。

 何か、言い残すことはあるか?」

トゥデイは相変わらず腕組みをしたまま、

先ほどの場所から一歩も動いていない。


「・・・ここで死ぬのは・・・ごめんだな・・・。」

「ん?なんて?」

「俺様が・・・こんなところで死ぬわけがないだろう!!」

衛久守えくすはそう叫び、立ち上がる。


「へぇ、まだそんな元気残ってたんだ。」

「俺様自身・・・これほど死を恐れているなんて

 自分でも気付かなかった。」

するとその瞬間、彼の足元に落ちているベルトの破片から

シュヴァイツァーのチップのみが飛び出し、

彼の手に吸い付くように握られたのだった。


「・・・そうか・・・お前も死の経験者という訳か。

 なら、もう少しだけ力を貸せ。」

衛久守えくすはそれを思いきり腹部の傷口へと突き付ける。

と、あろうことかチップはそのまま衛久守えくすの体内へと

溶けるように吸い込まれ、

衛久守えくすの体はみるみるうちに黒い表皮に包まれていく。




「何が起きているんだ?」

トゥデイは咄嗟の反撃を恐れ、様子を観察している。


衛久守えくすの頭部には

額から前方に伸びる30cmほどの黒い突起が2本生える。

大きなインカムのような装甲が口を覆うように広がり、

その先端は頭頂部まで伸びて、そこで3本目の角を形成する。

体はシュヴァイツァーアーマーをベースにしたような

シンプルなフォルム。

同様に水色に発行するXを模したラインが体のサイドを覆う。

はち切れんばかりに盛り上がった両手両足の筋肉が、

彼の前形態である“ノウベタザン”を彷彿とさせる。




「・・・ワイズブルート。」

それは人間でありながらブルートの性質を持つ者の総称。

その制作過程は不明であったが、

チップの共鳴によって傷口から体内にそのチップを埋め込むことで

変身可能だということが判明した瞬間だった。


「ほう、これがブルートをアーマードライバーなしで身に纏った形態か。」

衛久守えくすは自らの体を見回し、感覚を味わうように

指を開閉させている。


「“XDAYエックスデイオブディスペイン”とでも名付けようか。

 この力の試運転として貴様を実験台に使わせてもらう。」

「実験台?僕が?

 フザけないでもらいたいね。

 使用者の戦闘スタイルなんてそう変わるものじゃない。

 偏差レベルの差は簡単には埋められないよ?」

「ならば、あらためてその偏差レベルとやらを測ってもらおうか。」

XDAYオブディスペインは言うが早く、

戦闘ででこぼこになったアスファルトを蹴り放ち、

1秒と立たずにトゥデイの目の前へと移動した。


すかさず、トゥデイは7本の爪を一斉に作動させ、

襲い掛かる。

ディスペインを捉えたと思った次の瞬間、

トゥデイは腹部に痛みを感じ、その場から左足1歩だけ後退したのだった。


ディスペインの両腕には扇のように広がる槍のような突起が5本ずつ、

計10本生えており、

突如繰り出される攻撃にトゥデイは反応できなかった。




「この体に吸い付く感じ、無駄な反動のないスペック、もはや言うことはない!!

 俺様が求めていたものだ!!」

「僕を・・・この僕を動かしたな・・・?」

トゥデイは素早く体勢を整えるとすかさず爪を突き刺すように

攻撃を放つ。

しかし、ディスペインはそれを難なく避けながら

100mほどの距離を取り、足を止めた。




「僕の予測を超えるパワーアップだ・・・。」

トゥデイの先程までの余裕は明らかに消えていた。


だが、XDAYオブディスペインと化した衛久守えくすとて、

余裕がある訳ではなかった。

トゥデイの適応能力は非常に高い。

その証拠に、ろくなデータもないシュヴァイツァーと互角以上に戦い、

不意打ちに近い攻撃にも完璧に対処できていた。

アンチ人間兵器として生み出された慧仁具真えにぐま

自分を処理するだけの能力がある。

衛久守えくすはそれを理解している。


衛久守えくすに勝機があるとすれば、

自身の新たな力に敵が適応する前に始末する、それしか方法はない。



「偏差レベルは・・・現時点で90程度、といったところだね。

 確かに僕以外にここまで高い偏差レベルを誇る人間は初めてだ。

 だが、しょせん90は90。100には勝てない!!」

「さぁ、どうだかな?

 互いに全てを賭け、死ぬまで戦うとしようじゃないか。」


人間兵器同士の壮絶な戦いが、幕を切ろうとしていた。





#第24話 「あの日の痛み」 完結






お読みいただきありがとうございます。

久しぶりの更新となりました。


”最高傑作”VS”最新兵器”

勝つのはどちらか?

次回、決着が着きます!!


※私事ですが、Macbook Proを購入して

小説の執筆を行なっております。

キーボードが新感覚で思わず触りたくなる感じ、最高ですね(^-^)

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