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異世界帰還者イッチちゃんねる〜異世界も魔法もあるんだよ!〜  作者: mitsuzo
第一章

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5/9

005「初配信から一夜明け⋯」



(昨日は楽しかったな〜)


 初配信から一夜明けた日曜日。

 俺は昨日の初配信について色々と考えていた。


(思ってた以上に反応、よかったな)


 そう、配信前は「異世界にガチ転生した俺の話なんてすぐに大バズりだろ?!」な〜んて考えていたが、あの配信前日の『オカルト板』での配信告知でスレ民とやり取りをしたことで俺はかなり不安になった。

 なぜなら「嘘乙」やら「別に嘘でも面白ければ観るよ」という声が多かったから。

 オカルト板スレ民の反応をまとめると「単に妄想配信をするだけだろうが暇だし釣られてやるよ」という感じ。

 それは詰まるところ俺の言っていることなどはなっから信じてなどおらず、あくまで「俺が妄想を垂れ流すだけの配信を楽しむ」という反応だった。


 配信前、俺は「異世界から帰還した人の話とか誰でも聞きたいだろうからすぐにバズるだろ!」と思っていた。しかし現実は視聴者からすれば『ただの妄想者のたわごと』に過ぎなかった。

 考えてみれば、スレ民の反応は至極真っ当。言わずもがなだが、しかし俺はそのことにすぐには気づけなかった。


(ついこの間まで異世界で生活していて1週間前に戻ってきたばかりだから感覚が麻痺している⋯⋯?)


 普通に考えれば『異世界転生』なんて現実で絶対にありえない話だし、俺だって誰かが「俺は異世界に転生して帰ってきた」と言われても真に受けないだろう。

 でも不思議と最初「配信を始めよう」と思った時は、そんな当たり前のことが考えも及ばなかったんだよなぁ。


「うわぁ、俺ってめっちゃ痛い奴じゃ〜ん」


 いや本当マジで。


 さて、そうなってくると当初の予定が変わってくる。


 最初は「すぐにバズって収益化で悠々自適ライフ」の予定だったが、それはどうも難しいことがわかった。実際初回配信でのチャンネル登録者数はたったの33人。

 一応、個人勢の初配信にしては良い数字だとネットで見つけた記事でそう書いてあったが、しかし元々俺の計画では初回配信で一気に収益化条件である1,000人は軽く超えると思っていただけにショックは大きかった。


 ていうか、俺舐めすぎな?


「ああぁぁぁやっぱ仕事しないとダメかぁぁ!!!!」


 一応、貯金はまだ少し残っている⋯⋯がしかし、パソコンやカメラなど配信のための機材に結構な額を使ったので残りはあとわずか。

 仮に今月バズって収益化条件を満たしたとしても、その収入が入るのはそれから1ヶ月後というのも今調べてわかった。


「つまり、お金が入ってくるのは最短でも2ヶ月後。食費を切り詰めれば2ヶ月持つか⋯⋯?」


 ここで俺にとって最大のターニングポイントが訪れた。


——————————————————

「このままバイトせずに配信を続けますか?」


・YES

・NO

——————————————————


「答えは⋯⋯YES! その分、配信の時間と数を増やして最短での収益化を目指そうズ!」


 ということで、俺は配信をもっと増やして何としてでも今月中に収益化できるよう動くと決意する。


 けっして仕事をするのが嫌だからとか、面倒くさいとか、そういうことではない。ないったらない。


(とりあえず、第2回配信は告知どおり来週の土曜日に行うとしてそれまでに今後の方針を決めておこうかな)


 さて、早速収益化に向けていろいろと考えてみたのだが、


「うん、特に何をやるとかわっかんねーわ」


 ということで、すぐに匙を投げた俺は、


「さて、とりまこの5年で積み上がったアニメでも消化しますかね」


 積みアニメの消化に精を出すのであった。



********************



——???


「何なの、この子? 異世界とか何言ってんの?」


 昨夜、いつもの『オカルト板』周回をしていると妙なスレに出会った。


——————————————————


【告知】異世界帰還者イッチちゃんねる〜明日19時より初回配信!〜【告知】


——————————————————


 どうやらスレを立てたイッチは明日Yo!Tube(ヨーチューブ)で配信をするということで『オカルト板』に宣伝に来たとのこと。


「ていうか異世界帰還者? は? それって異世界に行ってたってこと? え? それを配信で話す?」


 このスレを見た私は次の日——そのイッチのチャンネル『異世界帰還者イッチちゃんねる』の初回配信を観た。


「へ〜面白いわね。本当かどうかはわからないけど、でもこの子の話、妙に引き込まれるわ⋯⋯不思議な子ね」

「歳は20歳前後くらいかな? 結構かわいい顔してるから女性受け良さそう!」

「あ、話すと意外と男の子ってしゃべりなんだ! かわいい顔してる分ちょっとギャップがあっていいんじゃない?!」


 私は現在3人のライバーを抱えるライバー事務所を手掛けている。とはいってもまだまだ駆け出しも駆け出しで設立してまだ2年しか経っていない。

 現在抱えているライバーで登録者数100万人超えのライバーは存在しないけど、でも一番のチャンネル登録者数を持つ子で66万人、残りの2人も34万人と11万人とそこそこの数字を持っている。ちなみにこの3人は私が直接スカウトした。

 設立2年目とはいえ中堅入口程度には数字を持っている事務所だと自負している。


 そんな私だが今度事務所から新たに新人ライバーをデビューさせたいと思っており、その『原石』を探すべくネットの海を回遊していた。

 しかし、特に惹かれる子に出会えることなど早々なく疲れ果てた私はいつもの趣味である『22(にじゅうに)ちゃんねる』の『オカルト板』へ足を運ぶ。



 そこで私は《《彼》》を見つけた。



 彼⋯⋯イッチが明日Yo!Tuber(ヨーチューバー)デビューするということで当然、私は次の日イッチの配信をリアタイで視聴。

 配信は雑談配信のような感じでイッチがフリートークで異世界で体験した話をするというもの。

 当然、彼の《《作り話》》なのだが、しかしそれはそれで中々惹きつけられた。


「イッチの話し方がうまい? いや違う⋯⋯喋り方だけじゃない、雰囲気も含めてイッチというキャラクター自体が引き立っているんだわ!」


 まだこれは初配信。しかも何処の馬の骨かもわからないような奴の妄想を語るだけの配信。なのに、そんなイッチに妙に心が惹きつけられる。


「⋯⋯この子良いかも。それに顔出ししてるってことはやる気もありそうだし。ていうかそもそも『異世界帰還者』ってのがパワーワード過ぎるっての!」


 とはいえ、配信は素人っぽかったから本当に初めてだったのだろう。

 だからこそもしかしたら次の配信で「ただの妄想でした〜、釣りでした〜」などとなっていなくなってもおかしくはない。


「とりあえずは様子見⋯⋯ね」


 明日からは「火・金・日」の「週3投稿(8:00)」となります。

 よろしくお願い致します。


 mitsuzo

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