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【Sランク撃破、そして新たな敵】

初めてのSランクの魔物との戦闘


魔王となったことで、

エルゼの肉体は

かつてとは比較にならない領域へ到達していた。


賢者だった頃は、

膨大な魔力を持ちながらも、

肉体は人の域を出なかった。


一瞬でSランクの魔物の懐へ入り込むエルゼ。

そこに竜の爪が振り下ろされる。


以前なら反応すら出来なかった一撃。

だが今の身体は、当然のように追いついていた。


琴音なら、

視覚強化中なら反応できたはずだ。


だが今は違う。


魔王となった今の肉体は、

琴音の反射速度にすら近づいていた。


全身に浮かぶ強化スキル『魔導紋』が淡く発光する。


竜系相手に

中途半端な近接戦を挑むつもりはない。


至近距離から魔法を放つエルゼ。

『シャドウランス』


闇の槍が竜の巨体を貫通する。


だが『ヴォイドドラグ』は止まらない。


直後、エルゼの身体に鈍い痛みが走った。


魔王化した肉体は強大だ。

だが『鎧の男』との戦闘で負った傷は

まだ完全には癒えていない。


『ロイヤルヒール』を発動する。

だが傷口へ触れた光が、

黒い靄に喰われるように消えた。


「……治らない?」


「…長引かせる訳にもいかないな」


竜の咆哮と共に、

闇のブレスが大地を呑み込む。


エルゼは即座に

『アースバリア』を展開する。


着弾した瞬間、

凄まじい爆音と共に地面が抉れた。


『魔装』が衝撃を相殺する。

バリア効果もありダメージは浅い。


「一気に決めるぞ」


『フォトンアーク✕20』


空を覆うほどの光陣。

幾重もの魔法陣が竜を包囲し、

無数の光条が降り注ぐ。


『ヴォイドドラグ』は

断末魔すら残さず、

巨躯が光の中へ崩れ去る。


光が消えた頃には、

竜の姿は跡形もなく消えていた。


「……終わった、か」


エルゼの意識が薄くなる。


ーーーー


時は遡り

リヒータ王国ギルド


冒険者と王国騎士が

魔物と交戦中だった。


そこへ現れる『ロイヤルデーモン』Aランク。


「こんなの俺達じゃ無理だ…」


「ギルマスは?」


「わかんねぇ」

と冒険者達が騒いでいる。


そこへ駆けつけるリゼ。


「リゼちゃん?!」


「来てくれたのか!」


「みんな大丈夫?

ここは私に任せて!」


『ロイヤルデーモン』と向き合う。

「Aランクはちょっときついかな」


全身へ強化スキルを纏い、

リゼの身体能力が一気に跳ね上がる。


『ロイヤルデーモン』の巨大な腕が唸りを上げて迫る。


リゼは横へ跳ぶ。


地面が爆発したように弾けた。


地面を蹴り、そのまま懐へ潜り込む。


「はぁぁっ!!」


強化された拳が

『ロイヤルデーモン』の脇腹へ叩き込まれた。

重い打撃音が響く。


巨体は僅かによろめいただけだった。


拳がじわりと痺れる。

「やっぱAランクは甘くないね!」


そこに上空から黒い影が落下してくる。


着地の衝撃と共に、

新たな『ロイヤルデーモン』が姿を現す。


一体じゃない。


『ロイヤルデーモン』が更に4体現れた。


「えぇ、うそでしょ…」


横から振るわれた巨腕に、

リゼの身体が吹き飛ばされる。


五体の『ロイヤルデーモン』が、

リゼへゆっくり歩み寄る。


「はぁ、流石にこれは無理ー」


「ここにも魔物がおるのか!」


『ロイヤルデーモン』の上半身が爆散する。


「ギルマス!」

と冒険者の歓声があがる。


しかし『アッシュ』の体は

既に満身創痍だった。


「すまんのぅ 王国中魔物だらけじゃ」


「おじいちゃん!」


「リゼ、帰ってきてたのか!」


「後はワシに任せてギルドの方を頼めるか?」


「大丈夫?」


「伊達に『拳聖』名乗っておらんわ」

と笑うアッシュ。


「うん、無茶しないでね」


アッシュは四体の『ロイヤルデーモン』を相手に拳を振るう。

満身創痍の身体では、

徐々に押され始めていた。


「はぁ… 全盛期ならこんな奴ら…」


そこへ現れるさらなる敵。


誰も声を出せなかった。


『ロイヤルデーモン』達ですら、

道を開けるように後退する。


黒い鎧を纏った男が、

ゆっくりと歩み出た。


『鎧の男』を思わせる禍々しい男が立っていた。


「何じゃお前は?」


問いかけるアッシュ。


「お前には何を言っても理解できまいが、

死ぬ前に名だけ教えてやろう」


我は『アルディオン・ラグネイド』


名乗るなり両手に武器を出現させる。


右手には大斧。

左手には大剣。


どちらも人一人では持ち上げることすら困難な巨武装。

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