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【崩壊する『マリシャ遺跡』】

薄暗い通路を進むエルゼ達。


崩落した壁の隙間からは、

まだ砂煙が漂っている。


先頭を歩くアグニードが足を止めた。


「……止まれ」


全員の動きが止まる。


その直後―


ギャギャギャギャッ!!


通路の奥から、

無数の鳴き声が響いてきた。


「来るぞ!」


暗闇の奥から飛び出してくる魔物達。


スカルウルフ。


ニードルウィング。


リドルスパイダー。


大量の魔物が通路を埋め尽くす。


「数が多すぎるわね…!」


ヘレナが杖を構える。


「入口付近に集まってるって話だったが

こっちにも流れてきてるみたいじゃのぅ」


アッシュが低く呟く。


すると―


ドゴォッ!!


先頭のスカルウルフが

アッシュの拳で吹き飛ぶ。


「リゼ!」


「うん!」


リゼが前へ飛び出す。


高速の蹴りが連続で炸裂し、

魔物達を壁へ叩きつけていく。


「すごい…」


思わず呟くイリア。


だが数が減らない。


むしろ奥から次々と現れてくる。


「キリがないわね…!」


ヘレナが魔法を放つ。


「ウインドショット!」


風弾が魔物を吹き飛ばす。


(悠人)


(あぁ やるぞ)


スキルを発動していく二人。


エルゼが剣を構えた。


〈短距離転移〉と斬撃で

魔物を次々と狩っていく。


(これで一気にいくぞ)


〈連魔紋〉と〈連魔陣〉で

一気に魔法を放つ悠人。


その凄まじい衝撃で

魔物の群れがまとめて吹き飛んだ。


「すごい…」


リゼが目を丸くする。


しかし。


アグニードの表情は険しいままだった。


吹き飛ばされた魔物達の残骸が

通路に転がる。


だが―


ギャギャギャギャッ!!


まだ奥から鳴き声が響いていた。


「……まだ来るのかよ」


アッシュが舌打ちする。


するとアグニードが、

通路の先を鋭く睨んだ。


「……光だ」


その言葉に全員が前を見る。


崩れた通路の先。


わずかに外の光が差し込んでいた。


「出口……!?」


イリアが目を見開く。


しかし次の瞬間―


ズズズズズ……


遺跡全体が大きく揺れた。


崩落の振動で、

天井の砂がぱらぱらと降り注ぐ。


天井から瓦礫が落ちてくる。


「まずい……

崩落が広がってる!」


ヘレナが叫ぶ。


さらに奥からは、

まだ大量の魔物の鳴き声。


「このままじゃ囲まれるぞ!」


アッシュが前方の魔物を殴り飛ばす。


「止まるな!

出口まで一直線だ!」


アグニードの声と同時に、

全員が駆け出した。


リゼが高速で前へ飛び込み、

道を塞ぐ魔物を蹴り飛ばしていく。


ヘレナは〈ウインドショット〉で

瓦礫を吹き飛ばし、

進路を確保する。


エルゼも〈短距離転移〉を織り交ぜながら、

次々と魔物を斬り伏せた。


(悠人、左!)


(わかってる!)


〈連魔陣〉を展開。


放たれた魔法が、

通路を埋める魔物達を一気に吹き飛ばす。


「今よ!」


全員が一気に駆け抜ける。


光がどんどん近づいていく。


そして―


眩しい陽射しが、

視界いっぱいに広がった。


「出口だ!!」


エルゼ達は遺跡の外へ飛び出す。


次の瞬間。


ズガガガガガァァァン!!


背後で遺跡の一部が崩落。


巨大な土煙が舞い上がった。


「はぁ……はぁ……」


肩で息をする一同。


しばらく誰も喋れなかった。


ようやく―

生きて脱出できたのだ。


冷たい遺跡の空気とは違う、

外の風が頬を撫でる。


崩れかけた『マリシャ遺跡』を見上げながら、

エルゼは小さく息を吐いた。


「……久しぶりの外の気がするわ」



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