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僕の友達はTS時間逆行拗らせ隠れ陰キャ幼馴染系巨乳美少女JKの前園さん  作者: ムラタカ


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57話  前園琴音の独白その2

あれから数ヶ月が過ぎた。

生徒会は相変わらずだ。

書記の女子も副生徒会長の九龍院もそのまま在籍している。

彼等をそのままにしておく事で現生徒会長である琴音の寛容な態度に感銘を打たれる生徒が現れる事を狙っての措置だが思っていたよりも効果があったらしく琴音の評価は現段階ではかなり良い方に傾いている。

もっとも身内のミスを尻拭いした程度の話でここまで称賛されるとは思ってなかったので些か意外に思っているのが本心だったりはする。

また一部の生徒からはまだあいつ等に生徒会任せてるのかよなんて声も上がっているが琴音がしっかり管理するから信じてあげて欲しいなんて言えばほとんどの生徒達は黙って頭を下げていた。



野球部の方はというとあれから目立った功績を挙げられていないのに加え部員の態度に明らかな惰性の色が多く見受けられ緩やかな下降傾向にあるという事だ。

餌でやる気を釣っていたがその餌がなくなった事で彼等のやる気に陰りが見えたのだろう。

中学生なんてそんなモノだ。

まぁ琴音には関係ないけどね…。

もともとその程度のモチベーションしかないなら彼等の能力もその程度なのだろう。



長い中学生活も終わり、あと数ヶ月で琴音も高校生になる。

最初の生徒会選挙に立候補し生徒会長にならなければならない。

1年が生徒会長になるのは難しい。

だからこそそれまでの間に校内での心象を作り上げなければならない。

人は第一印象をもっとも尊ぶ。

その点は問題無い。

琴音には持って生まれたこの美貌がある。

更に高校ではお姉様がいる。

琴音のお姉様なのだ。おそらく校内でカリスマ的な人気を誇っているはずだ。

その妹たる琴音が立候補すればそれだけでそれなりの得票を得られるだろう。

まさに出来レースだ。

こんな手段を使って嬉しいのか?卑怯者めが!

等と言われる未来も容易に想像出来るが言って来た奴はただの馬鹿だ。


生徒会長になるのに卑怯も何もない。

持つべき能力と手段は最大限活かしてこそ意味を持つ。

それらを取捨選択し行使するのもなるべきもののつとめなのだと琴音は思っている。


まぁ琴音は生徒会長になる事に喜びや生き甲斐を感じてるわけではない、なれといわれてるから、ならないと駄目だから、なるものだから…なるのだ。




「ただいま帰りました、お母様」


「あらおかえりなさい?琴音。今日も立派に学業に専念できたかしら?」


「滞りありませんよお母様」


「ふふ、流石は私とあの人の娘ね、貴方には期待しているわ」


「はい…」




部屋へと向かう最中に後ろから聞こえてくる独り言。

それが誰のものなのかなど論じる必要もないだろう。



「ふふ、明には失望させられたけど貴方がいてくれるならお母さんなにも悩み事なんてないわ、本当に出来た娘。」


「………。」



聞こえないふりをして部屋に入る

アレはワザと聞こえる声量で声を出している。

琴音に聞こえる様に……。



「明姉様の価値を理解出来ないなんて…我が親ながらその見る目のなさに絶望しそうだわ。」



明姉様がこの家から出ていって3年、姉様が出ていった理由は理解しているつもりだ。

その理由の一端に自分が含まれている事も理解している

つもりだ。

琴音の才能に嫉妬して、自分が琴音と比較されるのが嫌で逃げ出したと思っていた。

琴音は天狗になっていたのだ。

明姉様と離れて過ごしたこの3年間、姉様の偉大さが理解出来た、いや理解せざるをえなかったのだ。

学校という社会で凡人達と共に過ごす時間も琴音自身の驕り高ぶりを矯正する切っ掛けとなった。


以前までの琴音は全てを見下していた。

運動が不得手なお姉様と幼児レベルの学力しか持ち合わせない康太お兄様。

この二人を琴音はあきらかに見下していた。


態度に出てすらいたと思う。

我ながら可愛げに欠ける妹だったと。

姉様が琴音を嫌いなのも頷ける。

実の妹から見下されてその妹に愛情など注げる訳がないのだ。

それで明姉様が琴音を嫌ってるのはただの嫉妬や僻みによる醜い感情が原因だと思っていた。

勿論それもあるだろうが明姉様は純粋に琴音を嫌っている、それが理解出来てしまうからこそ悲しくなる。


琴音に出来る事など限られている。

琴音が明姉様に近づく。

自らの価値を貶める。

コレしか無い。

そのためにも琴音は完璧でいてはならない。

不完全な魅力的人間にならなくてはならない。



「琴音が生徒会長になったら康太兄様を生徒会に入れよう。ふふ、きっと毎日が楽しくなりますね…」



琴音はスマートフォンの中にあるゲームアプリを起動する。

康太兄様に勧められたゲームだ。

沢山のキャラクターがいてそれぞれ性格が異なり個別にその人間性が作り込まれている。

キャラクターにはゲームで使う上で欠かせない能力や性能、得意技や得意な属性などが細かく設定されていて奥が深い。

ネットなんかで使えない、無能などと叩かれているキャラクターにも一定の使い道が設定されている。

また各キャラクター同士の組み合わせ次第でその能力を強化したり派生させたりとゲームは考え方次第で無限の楽しみ方がある。

飽きさせないのが一ヶ月周期でメンテナンスが入って新ステージや新キャラクターが追加されやり込んでもやり込んでも底が見えないのだ。

それでもやっていれば必勝パターンがあるのがゲームという物だがこのゲームはやり込んでいる人に飽きを感じさせない為に運も大事な要素としてねじ込まれている。



「勉学はパターンの羅列…そのパターンを見抜くまでは楽しいけど見つけてしまえばそれまで…あとはただの作業だ。紐解いてパターンを見抜く、それだけで簡単に解けてしまえる数式よりもやりごたえがある。」



琴音にとっては勉強はただの暇潰しだ。

やることが無かったからやっていただけで別に楽しくてやっているのではない。

いや、ゲームに出会うまでは確かに趣味として楽しんでいた。

わからない難解な数式の解を紐解いたときは興奮したものだ。

しかしいくら難解でも定められた答えは必ず存在する。

それらを導き出すのは確かに楽しいが康太兄様から勧められたこのゲームアプリはそれ以上に奥深く楽しかった。

将来はこういったゲーム開発に携わるのも良いかもしれない。

しかし今の琴音の固定化された考えでは良いゲームは作れないだろう、琴音にはあからさまに経験が足りてないのだから…

それを気付かせてくれたのも明姉様と康太兄様だ。

あの二人は琴音に足りないもを教えてくれる

そうやって琴音が自己分析をしていると母親が呼ぶ声が聞こえる



どうやら夕食の時間のようだ。

随分と長い時間ゲームに熱中していたようだ。

アプリを閉じて琴音は両親のいる食卓へと付く。


目の前にはニコニコ笑顔の両親

父親と母親

最近琴音はこの二人とのやり取りが億劫でならない。


時間の無駄…。

そんな風にすら思えてしまうのだ。



「母さんから聞いたぞ琴音。流石は私と母さんの子だ。私もお前の将来が楽しみだ。」


「そうですね、明と違って貴方は大抵の事は何でも出来てしまう。まさに神童とは貴方の様な事を言うのでしょうね」


「お言葉ですがお母様…明姉様はとても優秀な人です、琴音と比べるのは違うと思います。」


「まぁ!なんて優しい子なのでしょ、お母さんは貴方が優しい良い子に育ってくれてとても嬉しいわ」


「琴音。お前は明と違って遥かに優秀だ。にも関わらず姉を思いやれる人間性が育まれているとは…これも私と母さんの育て方の賜物だな。」


「そうね…とても誇らしいわ琴音」


「………。」



明姉様がこの家を出ていったのは琴音が原因なのは明らかだ。

姉様にとってはこんなのでも親なんだ。

その親の愛情を全て奪ってしまった琴音のせいなのだ。

琴音は姉様を孤独にしてしまった。

だからこそ琴音は姉様と同じ土俵に立たなければならない。

完璧な自分を不完全におとしめて姉様と同等にならないといけないのだ、そのためにも琴音には康太兄様が必要なのだ。



「来年から琴音は高校生です。その時はお姉様の所に行ってお姉様と一緒に学校に行ってもいいのですよね?」

 

「駄目だと行っても聞かないのだろう?お前にはもっと相応しい学校があると思うのだがな?」


「琴音にとってはそんなのは些事です、良い学校を出ていても結局はその者の才能次第で如何様にも転びます、琴音は琴音の意志で進みたいです」


「お母さんとしては男がいる共学校より安全な女子校こそ貴方に相応しいと思うのだけど?」 


「社会に出ればその男性とお仕事する事になるのは避けようの無い事実です、夢絵空事だけで生きてはいけません。琴音は今の内に経験を積んでおきたいんです」


「全くこの歳で大したモノだ。どうだい?母さん…琴音にかけようじゃないか?」


「ええ、そうね、楽しみだわ。」



本当に愚かな人達だ…。

それっぽい言葉を羅列すれば簡単に流されてくれる。

単純で御しやすい。

しかし今の言葉は琴音の偽り無い本心であるのは本当だ。

お姉様と康太兄様のいる学校に行く。

間違っても別の学校になぞ行ってやるものか

女子校なぞ冗談ではない。

お母様の男嫌いを押し付けられて琴音の自由を蝕む権利なんて誰にもないのだ!



待っていてね

明姉様に康太兄様

琴音が行くその日まで。

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