孤独なワイバーン6
このまま放って逃げたらアイツらと同じになる、それだけは死んでも御免だ。
これだけ弱ってはいるが、さっきの今で恐怖感じ無いのには無理がある。
半歩ずつ慎重に近づいていく。
全く、側から見たら自殺願望のある馬鹿にしか見えないだろうな。俺ならそう思う。
何とか傍まで来た。生きた心地がしないし、呼吸1つ気を配らないとするのを忘れてしまいそうだ。
取り敢えず身体中を見て回ったが、酷い傷だな。出血も止まる様子が無い。これは縫うくらいしないと無理だな。だが医療の知識など何一つ無い俺が事もあろうにワイバーンの手当てなど出来る筈もない。
「はぁ〜。」
ため息で少し緊張が和らぐのを感じる。
ん?さっきまでと空気が違う気がする。
何だ?何が違う……音だ!
辺りは何も聞こえない静寂が包み込んでいた。
慌てて警戒の体制に入るが、ワイバーンはピクリとも動かない。
「何だ、気の使いすぎか。」
改めてワイバーンに近づく。
動かない奴にビビるなんて流石に…
「動いてない!」
急いでワイバーンの顔を覗き込むと、
スーー……スー……
辛うじて開いた口の隙間からか細い空気が出ている。
そうか、コイツの呼吸音が小さくなっていたんだ。
ワイバーンのツルリとした頭を持ち上げて下に膝を突っ込む。
「おい!大丈夫か!?まだ死ぬなよ!もう少し俺に時間をくれ!!」
ワイバーンは瞼を震わせながら薄っすらと瞳をこちらに向けている。
意識はまだあるみたいだ。
あ〜あ、人生初膝枕の相手がまさかワイバーンになろうとは。
って、そんな事考えてる場合じゃ無かった!




