孤独なワイバーン5
『そんな事言ったってお母さんが怒るに決まってるだろ、どうしようもないんだ。』
『…でも、助けてあげたい。』
『他に拾ってくれる人がいるかもしれないだろ?その人が助けてくれるさ。』
『…………。』
ウゥウウゥーーーーーーーー
遠くでサイレンの音が聞こえる。
『ほら、早く帰らないとお母さん心配するぞ。』
『やだ、帰らない。』
『ワガママ言うな!早く帰るぞ!!』
『いやぁ!私この子とここに居るぅ!!』
『〜ったく、仕方ないな!泣くなって!さっさと抱っこしろ、早く帰るぞ!』
『…うん。』
『おかえりなさい!遅かったわね。ちょっと、何それ!コウジ!!何なのこれは!!』
『違うの!私が連れてきたの!』
『ダメよ!生き物のお世話は大変なの!それにどうせ殆どお母さんがお世話する事になるんだから!』
『でぇも!!このままじゃ、この子死んじゃう…かわいそう……』
『も〜仕方ないわね!預かるだけよ。この子を飼ってくれる飼い主が見つかるまでだけですからね!分かった!?』
『はぁい!よかったね…トト。』
『も〜そんなずぶ濡れで!さっさと皆んなでお風呂に入ってきなさい!!!!』
今回は子供の頃の記憶か。あの犬は前に死んでいた犬と色柄がよく似ていた。
あれは俺の家か?母親ともう1人は妹…か?顔がボヤけてよく分からなかった。
全く、関係の無い記憶ばかりで肝心な記憶はちっとも思い出せない。
俺は何者で、ここに来る前は何をしていた?
何故、どうやってここに来たのか。
いくら考えても出てくるのは頭痛の痛みだけだ。
記憶と共にもれなく付いてくるこの頭痛、いい加減やめて欲しいものだな。
頭を押さえつつ落とした果実を拾い直し、軽く土を払う。
「はぁ〜、仕方ないな!」




