水を求めて4
「そろそろいいかな?」
果樹からも大分遠ざかっただろうし、あまり進むと西の森に入りそうだ。
その時、一際大きな大木が目に入った。
大木の根元は地面に行き場を無くしたのか立派な根が地上に這い出している。
根と根の隙間に体を滑り込ませると中はちょっとした空間になっていた。
これは丁度いいシェルターになりそうだな。
小石や砂を手で払い飛ばし果実を置くと、隣に腰を下ろした。
「はぁ~。」
自然と吐き出された息に自分が疲れていた事を実感する。
そういえば、全然休憩を取っていなかったな。
隣から果実の甘い良い香りがする。
思わず垂れそうになった涎を拭うと、1つ掴み取り表面を服で拭ってかぶりつく。
甘く爽やかな果汁が口いっぱいに広がり、喉を通って体中に染み渡っていく。
「これは美味い!アイツが夢中になるのも分かるな!食感は林檎で、味は桃といったところか。これだけ果汁を蓄えていれば水分補給に使えそうだ。」
綺麗に平らげると中から大きな種子が1つ出てきた。
種子は硬く食べられそうにないため残り2つの隣に転がすと、だんだん眠気が襲ってきた。
大の字で寝転がってみると分厚い根肌が顔に見える。
「静かだな。」
隙間々から入り込む光が夜空の様に美しく輝き、土の香りが干したての布団の香りと重なって、疲れた体と怯える心を包み込んでいった。




