水を求めて3
満を持して取りに行く事に決めた。
ワイバーンとは果樹を挟んで反対側で少し距離を取って地面に降りた。
幸い食事に夢中でこちらに気づく気配はない。
今のうちに距離を詰めておこう。
周囲の草木に隠れながら後1メートルという距離まで近づいた時、思いもよらない問題に直面する。
「あれ、絶対届かないよな。」
近くで見ると案外背丈がある果樹で果実は上の方にたわわに実っている。
登れば簡単に取れるが、確実にワイバーンに気づかれるだろう。
クソ~、ここまできて諦められるかよ!
そうしているうちにもワイバーンは実を貪りながら上へ上へと登っていく。
「アイツ、マジで全部食べるんじゃないか?そんなに食ったら腹下すぞ!何個か残して損は無いって!」
ギシッギシギシ
ん?あの木さっきより低くなってないか?
そうか!!ワイバーンの重みでしなってるのか!
これなら取れるかもしれない!
ギシギシギシ
ほらほら、上の実の方が赤く熟れて美味そうだぞ~。
いい子だ、登れ~、登れ~。
ギシギシガサガサッギシ
もう少し…もう少し…。
薄桃色にふっくら膨らんだ実が今にも落ちんばかりにフワリフワリと揺れている。
パキ、ガサガサガサガサ、ギシシッ
「今だ!!」
草陰から飛び出ししなり曲がった木の枝葉に隠れつつ、頭くらいある果実を3つ摘み取り、すかさず草陰まで戻る事が出来た。
「ありがとな、お前について来て正解だったぜ。」
果樹に夢中なワイバーンに別れを告げて森の奥へ身を隠す事にした。




