最後の再会と別れ
智嫁
『傷付け様と思えば出来る…。
大我を目にして気持ちが揺れ動きそうなのは…
どうして?』
大我
「人間性や性格?」
智嫁
「叩かれた衝撃で床に座る様に
倒れた時は、彼方はパニックになって
何をして良いか…分からなかったんじゃない?」
大我
「俺がした事を恨んでるんだろ…
でも何で、俺の事を考えてくれるんだ?」
大我は不思議そうに尋ねた。
智嫁
「愛情は無くても情はある…。
恨んでるけど、一緒に過ごした時が
私に情って感情を残したの。」
智嫁は大我に対して
一方的に精神的に追い詰めるのを止めて
最後に智嫁はこう言った。
智嫁
「最後ね。
彼方は元恋人、友人としてでもない。
最後の言葉の意味はこう言う事よ。」
大我
「この話し合いが終わったら…
もう、ただのクラスメイトなのか?」
智嫁
「それは…少し違う。
私は苺鈴を辞めることにしたの、
校内でも私と一緒にいるの辛いでしょ。」
大我
「そうか…。
何度も叩いて見捨てたの心から謝るよ…
ごめんな。
自主退のことは…ありがとう。」
智嫁に深く深く頭を下げた。
智嫁
「………。」
大我
「俺には夢も捨てられない…
それには苺鈴の卒業歴が必要なんだ。」
この大我の言葉は
最大の強がりにも聞こえたし
大我の心の本心とも智嫁には聞こえた。
智嫁
「それと…1つ変わった事がある。
私には好きな人が居るの…。」
大我
「…いつから?」
智嫁
「…大我が飲み物を持ってきた日に
運命的に出会って、好きになってたの。
言っておくのは最後の復讐よ。
私に合ってる人は蒼希なの。」
大我は蒼希がどんな人かも
追求出来ない位に
気力が残っていなかった。
智嫁も大我も無言になり
暫く沈黙が流れていた時に
急に声が聞こえてきた。
智嫁はびっくりして声のした方に
身体ごと振りかえった。
大我も同じくびっくりして声のした方に
目を向けた。
智嫁がそう言ったら
教室のドアの右側から
涼しげに歩き、智嫁の後ろに立った。
蒼希
「智嫁に付きまとってるのは、君か。」
大我
「お前には関係ないだろう!」
蒼希
「そうかな?
智嫁が僕の名前を出したから
関係無くはないよ。」
大我
「お前が蒼希…。
お前の様な軽そうな男に智嫁を
幸せに出来て、養えるのかよ!」
怒鳴り声を上げた。
蒼希
「見た目で判断されるのは心外だなぁ。
本人が合ってるって言ったろ、
智嫁は俺と居るのが幸せなんだ。」
大我は何も言い返す言葉が
見つからずに蒼希を睨みつけている。
蒼希
「智嫁、家に帰ろう。」
そう言って智嫁の腕を引いて歩いて
教室の出口で止まってこう言った。
蒼希
「僕、一般より養えると思うようよ。
だってホストだもん。」
大我の目を見て笑顔でそう言った。




