第4話(第三者視点)
今回は第三者視点から本筋の裏側で起きていた出来事を書いた補足エピソードとなります。災についての説明もありますので、今回のエピソードで世界観をより理解して頂けるかと思います。
「まさか、鬼型の災とはな。既に討伐されたとはいえ、遺族への説明にマスコミへの対応、被害を受けた各インフラの復旧とやることが多いな」
政府直轄の役所の一角では、事後処理に追われる政府所属の役人術者たちが休憩がてら、役所内の自販機の缶コーヒーを片手に一息つきながら、今回の被害をもたらした災について話していた。
「鬼型といえば、あの龍型にも匹敵する力を持っているっていうからな。一時はどうなることかと思ったが、今回は本当に幸運だったな」
「ああ。現場付近に五大名家の麟堂天真さんが居合わせていたおかげで早い段階で討伐されて被害は最小限に抑えられたらしい。さすがは名家の麒麟児だよ」
役人術者たちは誇らしげに語り合いながら缶をゴミ箱に捨て休憩を終えると、業務へと戻っていく。
後に桐刃も知ることになるが、今回の事件で何台もの救急車が出動し、院内が大騒ぎになるほどの物的および人的被害をもたらし、祖母に呪いをかけて死に追いやった元凶――。それは、一体の鬼型の災が出現したことで引き起こされたものだった。
基本的に裂け目から頻繁に出現する災はベースが人型か獣型という実在する生物と似た姿であり、体の一部を武器化させたような異形の姿をしているものがほとんどだった。しかし、稀に出現する龍型や鬼型のように架空の存在がベースになっているものは並大抵の攻撃では傷ひとつ付かない強靭な肉体と何かしらの能力を有している。
これらを討伐するには同等の実力を有した術者が必要となる。
それほどまでに龍型や鬼型は強大であり、もたらす被害は大規模だった。そのため、それらの出現は自然災害と同等以上の危険な事態として認識されている。
彼らにとってはそれほどの脅威が出現しながらも最小限の被害という形で済んでいることは幸運だった。だが、それでも未だに多くの巻き込まれた人たちが重軽傷を負い、病院で治療を受けている。そして、一人の老婆が鬼型の呪いに蝕まれ、人知れず息を引き取っていたことを彼らが知ることになるのはずっと後だった。
しかし、彼らでもその老婆の孫娘である少女が自らの祖母を救いたい一心でその呪いをすべて自身の体に取り込んだことまでは知る由もなかった。
一方で、呪いを取り込んだ桐刃自身も今現在、自身の体内で暴れ回る禍々しい力がかつて自分を地獄へと突き落とした龍型に並び立つ存在――最強格と目される鬼型が放った最期の呪いであるということは知る由もなかった。
龍型と鬼型。二つの強大な災による呪いが一人の少女の肉体の中で蠢き、お互いに反発し、喰い合っている。
そして、それは少女にも呪いをかけた災たちにさえ予想できない、思いもよらない結果をもたらそうとしていたのだった。
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