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国で一番の魔女、などと呼ばれていても生活は豊かにならない
魔法の研究をして新しい魔法を創り上げても、あまりにも突飛なその技術は便利だと説明しても中々民衆に受け入れられず、何もかも上手くいっているわけではないからだ
それでも目をかけてくれる王子夫妻のおかげで、研究員たちを含め皆食べるのには困らない程の収入はある
こんな平和な世の中の、そして国民の大半が簡易な魔法は使えるこの国だからこそ役に立つ便利な魔法を研究所で日々生み出していた
かつて王子の近衛だった夫は、相変わらずの外面でサックリと自警団の副団長になった
最近は少し周りの人を信じて素直になり本音を見せるようになった彼だが、むしろ人間味があって良いと益々周りの人々に気に入られている
相変わらず物語に出てくる王子様のような見た目の夫だ
そんな彼に対して、と鏡の中に映る顔に溜め息をつく
この国では珍しくも何ともない青色の小さい目は吊り上がっていて鋭く、これまた珍しくない金色の髪は艶も無く生まれながらにしてくるくると捻じ曲がっている、まるで自分の性格のようだ
お世辞にも白いとは言えない肌に痩けた頬、頑張って笑ってみようという気持ちにもならない不機嫌そうな口元
それでも外見じゃない場所に自分の魅力があることを今は知っている
友人のように結婚して隠居することは無理だと思っていた
それは半分当たって、半分外れた
理想の人と結婚はできた、けれど今は手放せない大切な研究所がある、隠居をするつもりはない
神は類まれなる魔法の才能を与えてくれた、そのことにはずっと感謝している
魔法の研究は楽しいし、新しい魔法が創れた時の達成感は愛する人々と出会えた時に次ぐほどだ
愛する夫と息子、それからかけがえのない友人たちがいれば、きっと死ぬまで生きていける
もう孤独は襲ってこなくなった
自分は一人ではないのだから、周りの人を大事にして生きていこう
それが、国一番の魔女と呼ばれるメテル・ソルデストが齢三十にして落ち着いた結論だった
これにて完結です!!
ここまでお読みいただきありがとうございました!!




