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過労死OL、魔性のメロンに転生したので絶対働きません〜無口な狼執事が私の光合成生活を守りすぎます〜   作者: 月神世一


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9/15

EP 9

ついに【完熟メロロン】に進化! 〜ただ挨拶しただけなのに、お世話係たちが次々と倒れていきます〜

「ふふっ。我が主、今日の土のブレンドは最高傑作です。東の森の腐葉土に、微細な魔力結晶を練り込みました」

「甘いな執事。私はさらに、アバロン城の専属錬金術師に作らせた『究極の日焼け止め(UVカット)魔力ミスト』を持参したぞ」

「ふはははっ! ガキ共が細かいことで争っておるわ。俺は西の山を削って、雫専用の純金製パラソル(自動追尾機能付き)を建ててやったぞ!」

私の花壇の周りは、今日も今日とて大騒ぎだった。

冷徹執事のリバロンさん、インテリ魔族のルーベンスさん、そして最強のイケオジパトロンこと竜王デュークさん。

この超絶ハイスペックな男三人が、朝から晩まで「いかにメロンを快適に甘やかすか」で熾烈なマウント合戦を繰り広げているのだ。

(あぁ〜、快適すぎる。三人がかりで貢がれる栄養と愛情……これ、間違いなく私のメロンボディに還元されてるわ)

最近、自分の体に変化が起きているのを感じていた。

毎日極上のお水と魔力、そして古代竜の魔宝石クーラーによる完璧な温度管理を受けたことで、私の中にエネルギーがパンパンに満ち溢れているのだ。

「すぅぅぅぅ……んんっ……!」

私は、朝の光を全身で浴びながら、大きく、大きく深呼吸(?)をした。

その瞬間。

――ぽふんっ!!

弾けるような音と共に、私の体がひとまわり大きくなった。

ただ大きくなっただけではない。

まん丸だったボディは、より艶やかに、なめらかに。触れると『ぽよんっ、ぽよんっ』と極上の弾力を返すような、豊潤な形へと変化したのだ。

そして。

私自身も驚いたのは、その『香り』と『声』の変化だった。

「……ふわぁ、よく寝たわぁ。おはよう、みんな」

「「「ッッッッ!!??」」」

挨拶をした瞬間、男たち三人がビクゥッ! と肩を震わせ、同時に後ずさった。

これまでの舌足らずな「ベビーメロロン」の声ではない。

耳元で囁かれるような、甘く、とろけるような、大人の女性(お姉さん)の極上ボイス。

それが、私のちんまりとした口から放たれたのだ。

同時に、私のボディから周囲10メートルに広がる、濃厚で甘美な香り。

それは、ベビー時代の「庇護欲をそそる匂い」とは次元が違う。脳の理性を直接ショートさせ、思考をフワフワの綿あめに変えてしまう『究極の魅了チャーム』だった。

そう。

私、蒼井雫は、転生してたった数週間で、魔植物の第二形態――**【完熟メロロン】**へと進化を遂げてしまったのである。

(おっ。なんか体も軽くなったし、声も出しやすくなった! これなら相槌打つのも楽ちんね!)

自分の恐るべき変化(フェロモン爆発)に全く気づいていない私は、前世の『優秀なOLの気配り(※基本は適当)』を発動させ、三人に優しく語りかけた。

「朝から私のお世話、ありがとうね。ふふっ、三人とも、今日もすっごく頑張ってて偉いわ♡」

ぽよんっ、と体を揺らしながら、極上の甘い声で労う。

「無理しちゃだめよ? 疲れたら、私のそばで全部忘れて……甘えていいのよ……♡」

――ドサッ!!

――バタッ!!

――ガクンッ!!

「「「…………っっっっ(声にならない叫び)」」」

見ると、さっきまでいがみ合っていた最強の男たち三人が、全員仲良く地面に膝をつき、胸を強く押さえて悶絶していた。

「な、なんという……甘美な声……。脳髄が、溶けそう、だ……っ!」

リバロンさんが、震える手でメガネを外しながらうわ言のように呟く。その狼の尻尾は、もはや千切れそうな速度でプロペラのように回転している。

「あぁ……っ、この香り……。城の公務などどうでもいい……今すぐ、私の領地をすべて売り払って、彼女の肥料を買わなければ……っ!」

ルーベンスさんが、白目を剥きかけながら国家への反逆(横領)を口走っている。

「ふ、ふははは……っ! 竜王たるこの俺の闘気が……一言で、霧散するだと……? たまらん……もっと、もっと俺を褒めてくれ……っ!」

イケオジのデュークさんに至っては、地面に額を擦り付けて謎の悦びに打ち震えていた。

(えっ。なにこれ、どうしたの?)

私がただ「おはよう」と挨拶して労っただけなのに、ハイスペック男たちが揃いも揃って畑の土に這いつくばっている。

「ちょっと貴方たち!! 何を雫ちゃんに近づいてるんですの!!」

「スアイさん、雫ちゃんの香りがヤバいです! これ、【完熟】になってますぅぅ!!」

そこへ、買い出しから戻ってきたキャルルちゃんとスアイさんが、物凄い勢いで飛んできた。

二人は手になぜか『鼻栓』と『耳栓』を握りしめている。

「貴方たち、早くこれをつけなさい! 完熟メロロンの香りと声を直接浴びたら、男は社会生活に戻れなくなりますわよ!」

スアイさんが男たちに耳栓を投げつける。

しかし、男たちは――全員、それを手で払いのけた。

「……断る! 我が主の極上の労いを遮断するなど、執事の恥だ!!」

「そうだ! この声と香りを浴びるためなら、私は魔皇国を捨てても構わん!!」

「この俺に鼻栓をつけろだと? 笑わせるな、俺は死ぬまでこの甘い空気を吸い続けるぞ!!」

(えぇ……なんか急に三人が結束して、謎の反抗期迎えてるんだけど……)

「あぁっ! もう手遅れです! 完全におじさん達の脳が《キャバクラに来た常連客》みたいになってますぅぅ!」

キャルルちゃんが頭を抱えて絶望の叫びを上げる。

私はふぁぁ、と色気たっぷりの(?)欠伸を一つして、ふかふかの土に身を沈めた。

(なんかよく分からないけど、皆が喜んでお世話してくれるなら、それが一番よね)

完熟メロロンに爆誕した私。

どうやら私の『無自覚キャバ嬢無双』は、ここからさらに加速していくらしい――。

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