第12話 謎の吊り飾り
手の中のペンダントが突然、微かな光を放った。
幽玄な青い光が、夜空の下で異様に目立つ。
レオンは呆然とした。
これは……
あれ!
光は一瞬で消えてしまった。
レオンは慌ててペンダントを目の前に掲げ、この五年間ずっと身につけてきた謎の物を仔細に眺めた。
拳ほどの大きさのペンダントは、全体が精巧な六角柱の形をしている。まるで縮小された水晶の塔のようだ。透明な水晶の中には深い青色の液体が封じられている――母が言っていた「星辰の血」だ。
だが今は、表面に自分の血がべっとりとついている。
手の傷口から流れ出た血液が、水晶の表面に薄く広がっていた。
レオンは手で水晶の表面を拭った。血痕が拭き取られると、ペンダント本来の姿が現れた。
全体が深い青色を呈しており、まるで真夜中の星空のようだ。表面には精緻な銀色の星辰紋様があり、これらの紋様は単なる装飾ではなく、複雑な幾何学模様を形成している――六芒星、円環、そして理解できない古代文字。
触ると凸凹した感触がある。一つ一つの紋様はまるで水晶の内部に刻まれているようで、表面に描かれたものではないようだ。
手で重さを量ってみた。とても重い。だがこれは明らかにレオンが知っているどんな金属でもなく、どんな陶器でもない。手で触ると温潤な触感があり、冷たくも熱くもなく、まるでそれ自身の温度を持っているかのようだ。
レオンは仔細に観察した。
これは母エララが自分に残した唯一の遺品だ。
五歳の誕生日に貰ってから、ずっと身につけている。
魔力が消えた後、このペンダントは時々微かに光るような気がしていた。
気のせいかもしれない。
だが――
今夜の光は、確かなものだった。
レオンは首を振った。
考えても無駄だ。
ペンダントの頂部を仔細に見ると、精巧な回転式の蓋がある。
蓋自体も六角形で、各角には微小な符文が刻まれている。蓋の縁には細密な螺旋状の紋様があるが、普通のねじ込み式の接続には見えない。
むしろ何らかの……ロック機構のようだ。
蓋の中央には、凹んだ六芒星の図案がある。深さ約二ミリ、まるで何かが嵌め込まれるのを待っているかのようだ。
中に何か入っているのだろうか?
レオンはペンダントを耳元に持っていき、軽く振ってみた。
音はしない。
だが内部の液体がゆっくりと流動しているのを感じる。まるで水銀のように重く滑らかだ。
手を蓋に置き、力を込めて回してみる。
びくともしない。
レオンの好奇心はさらに膨らんだ。
蓋の中央の六芒星の凹みを押してみる。
反応なし。
今度は反時計回りに回してみる。
やはり動かない。
六つの角の符文を同時に押してみる。
依然として何の変化もない。
次の動作に移ろうとした時、突然手から激しい痛みが伝わってきた。
しまった!自分はどうして忘れていたのだ。手にまだ怪我をしているのを。
この怪我のせいで、今日は色々と面倒なことに遭った。
だが、このペンダント……必ず何か秘密があるはずだ。
このまま諦めるわけにはいかない。
そう考えて、レオンは他人に見られないよう、血痕がついたままのペンダントを懐に仕舞い込み、振り返って戻ることにした。
◇
帰り道でレオンはあまり人に会わなかった。通りかかった数人の召使いが彼の慌ただしい様子を見て少し驚いたようだが、特に何も言わなかった。どうやらこの四男坊にはあまり注意を払っていないようだ。
自分の居室に戻ると、手の痛みがさらに激しくなった。レオンは急いでベッドの縁に腰掛け、そっと包帯を解いて傷の様子を確認した。
やはり痛い。
手のひらの傷口からまだ血が滲んでいる。
レオンは急いで手をベッドの木枕に伸ばし、枕の下から小さな薬瓶を取り出した。これは邸の医師が精心に調合した外傷薬で、打撲、腫れ、出血にまで効果がある。
蓋を開けると、濃厚な薬の香りが部屋中に広がった。そっと薬の粉を傷口に振りかけると、すぐに清涼な感覚が伝わってきた。さすがは邸の医師秘伝の傷薬だ。すぐに効果が現れた。
レオンはまた清潔な布を探してきて、怪我をした手を大きく包み込んだ。これでようやく包帯を巻き直せた。
うん!良かった。痛みがだいぶ和らいだ。
彼はゆっくりと何歩か歩いてみて、自分の手早い処置に満足した。
今度はあの謎のペンダントに取り組む時だ。
レオンは懐からペンダントを取り出し、また布を探して綺麗に拭き取った。この時ようやくペンダントの全貌が完全に目の前に現れた。
このペンダントの大きさはそれほど大きくなく、片手で完全に握れる。
全体は標準的な六角柱で、高さ約五センチ、各側面の幅約一・五センチ。
六つの側面には、それぞれ異なる図案が刻まれている:
第一面は満月で、周りを無数の星が囲んでいる。
第二面は古木で、枝葉が繁茂している。
第三面は炎で、激しく燃えている。
第四面は荒波で、激しく打ち寄せている。
第五面は連なる山脈。
第六面は吹き荒れる疾風。
どの図案も生き生きとしており、まるで水晶から飛び出してきそうだ。
ペンダント全体が深い青色を呈しており、まるで夜空の色のようだ。だが仔細に見ると、青の中に微細な銀色の光点が混ざっているのがわかる。まるで星辰が内部で瞬いているかのようだ。
頂部の蓋は完璧な六角形で、直径約二センチ。
蓋自体も深い青色の水晶材質だが、色はペンダント本体より深く、ほとんど黒に近い。
六つの角にはそれぞれ銀色の符文があり、レオンは一つも見覚えがない。これらの符文は何らかの古代文字のようで、筆画が複雑で優美だ。
蓋の縁には細密な溝があり、螺旋状の紋様を形成しているが、この溝の配列は不規則だ。深いものもあれば浅いものもあり、広いものもあれば狭いものもある。まるで何らかの暗号錠のようだ。
蓋の中央は凹んだ六芒星で、六芒星の各頂点は蓋の縁の符文の一つを指している。
レオンは指先でその六芒星の凹みをそっと触った。
凹みはとても滑らかで、深さ約二ミリ、ちょうど指先が入るくらいだ。
指先で押してみる。
反応なし。
今度は時計回りに蓋を回してみる。
びくともしない。まるで蓋とペンダント本体が一体鋳造されているかのようだ。
反時計回りに回してみる。
やはり動かない。
レオンは眉をひそめた。
ペンダントの重さを手で量ってみる。とても重い。約半斤はあるだろう。
こんなに小さいのに、こんなに重いなんて、絶対に普通の材質ではない。
それに内部の深い青色の液体……
レオンはペンダントを目の前に掲げ、半透明の水晶壁を通して内部を仔細に観察した。
液体は静止していない。
ゆっくりと流動し、微小な渦を形成している。
そして液体の中心に、何かが浮遊しているようだ。
もっと小さな……水晶?
いや、違う。
それは一粒の種だ。
「星辰の血」の中に封印された一粒の種。
レオンは目を見開いた。
この時、彼はある細部に気づいた。
蓋の縁のあの不規則な溝……
上から見下ろすと、それらが形成する図案は、ちょうど螺旋銀河だ。
まるで……星空の俯瞰図のようだ。
そして蓋の上の六つの符文を線で結ぶと、ちょうど六芒星を形成する。
これは単なる装飾ではない。
これは一つの……仕掛けだ。
特定の方法で開ける必要がある仕掛け。
レオンの心臓の鼓動が速くなった。
前世で機械エンジニアだった経験が教えてくれる――
この種の精密な構造には、必ず開ける論理がある。
特定の順序で符文を押す必要があるかもしれない。
特定の角度で回転させる必要があるかもしれない。
あるいは……魔力が必要かもしれない。
だが自分の今の魔力値はたった3だ。
レオンはさらに十数回回してみたが、腕が疲れてしまった。それでも成功する様子がないので、止めることにした。
腕を振り、手首を回す。さっき力を入れすぎて、少し傷めてしまった。
ペンダントを目の前に持ってきて、もう一度仔細に検査した。残念ながら、これらの細部を発見したものの、やはり開け方がわからない。
これでレオンは困ってしまった。蓋を開けなければ、中の種が何なのかわからない。このペンダントはこれほど特異で、こんなにしっかり密封されているのだから、内部のものは必ず極めて貴重なはずだ。
それに……
母は何故種を「星辰の血」の中に封印したのだろう?
この種は、一体何なのだろう?
レオンはペンダントをしっかりと握りしめ、それを見つめながらしばらくぼんやりしていた。
ついに、彼は決断を下した。
明日エヴィルを探そう。
エヴィルは星相系の天才で、魔力値は測定不能、SSSランクだ。
もし誰かがこのペンダントの秘密を見抜けるとしたら、それは必ず彼女だ。
それに……
彼女は今日自分を助けてくれた。
人の恩を受け続けたくはないが、このペンダントの秘密は本当に重要すぎる。
決意を固めたレオンは、ペンダントをテーブルの上に慎重に置き、自分はテーブルの端に突っ伏して、両目でペンダントをじっと見つめた。
月光が窓から差し込んできて、ペンダントを照らしている。
その深い青色は、月光の下で格別に神秘的だ。
六つの側面の図案――月、木、火、水、土、風――はまるで月光の下で微かに光っているようだ。
内部の深い青色の液体が、ゆっくりと流動している。
あの種は、液体の中心で静かに浮遊している。
レオンは見つめ続けているうちに、瞼がだんだん重くなってきた。
今日は色々なことがありすぎた。
魔力鑑定の失敗。
父の失望。
ヴァレンのいじめ。
エヴィルの救援。
そしてこの謎のペンダント……
いつの間にか、レオンはテーブルに突っ伏したまま眠ってしまった。
そして彼が眠った後――
ペンダントが再び微かに幽玄な青い光を放った。
今回は、光が六つの側面の図案から発せられる。
月の図案が最も明るく、続いて木、そして火、水、土、風と、順に光っていく。
六つの図案が循環を形成し、光がそれらの間を流れていく。
そして蓋の上の六つの符文も、微光を放ち始めた。
まるで何かに応えているかのように。
内部の種が、「星辰の血」の中で軽く震えた。
光は長い間続いた。
そして、ゆっくりと暗くなっていった。
すべてがまた静寂に戻った。
ただ月光だけが、依然としてペンダントを照らし続けていた。
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