出力:賢者の憂鬱
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悲しいかな、悲しいかな。
世界はもとより暗雲に包まれていた。
魔王が現れたあの日よりも、この国ができる前よりも、
すべてが始まった光が、すでに闇であったのだ。
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神による救いなどない。
すべては妄信。それらは迷信。
信じるものが「神」なだけで、
実際には何も手を下してはいないのだ。
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この部屋に散らばっているのは、
なんだかよくわからないことが書かれたメモだ。
自分には理解ができない。
僕はこの部屋の掃除を任されたから掃除をしている。
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敵がいるのなら武器を取れ。
それは剣でも弓でもない、言葉である。
奴らは心で動いている。心を斬りさく言葉を持て。
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例え私が死のうとも、知恵は残ることはない。
これらは痕跡を残すための悪あがきに過ぎず、
ここに書かれているのはただの落書きだ。
理解されることもなく、これらは捨てられるだろう。
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ここに居たであろう賢者は、数日前に処刑された。
なにがあったのかなんて僕には知らない。
でも、部屋を散乱させて死んでいくのは不満が溜まる。
一枚一枚、紙を丁寧に拾って束にしていく。
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ああ、なぜ理解できないのだろう。
私のおかげで魔王討伐も王国の繁栄もできたというのに、
私のおかげで国民たちは豊かに暮らせているというのに、
いまさら私の話が聞けないだなんて。
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我らが倒した数々、その怨念がやってくる。
命は命によってもみ消されていく。
命の繁栄は、命の消失によって成り立つ。
憎しみを向かい打たなければ明日はない。
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耳を傾けぬものに明日はない。
喜び、怒り、悲しみ、それらの声は必要なものである。
耳を塞ぐその手は、明日を作るためのものである。
消して受け入れぬためにあるものではない。
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コレを見ている者よ。
すぐさまここを立ち去ることを勧める。
そうすれば、死ぬことはないだろう。
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僕は紙の束をまとめ終わった。
さて、今日の仕事はまだ残っている。
国王に仕えるのもの一苦労だ。




