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出力:賢者の憂鬱


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

悲しいかな、悲しいかな。

世界はもとより暗雲に包まれていた。

魔王が現れたあの日よりも、この国ができる前よりも、

すべてが始まった光が、すでに闇であったのだ。

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神による救いなどない。

すべては妄信。それらは迷信。

信じるものが「神」なだけで、

実際には何も手を下してはいないのだ。

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この部屋に散らばっているのは、

なんだかよくわからないことが書かれたメモだ。

自分には理解ができない。

僕はこの部屋の掃除を任されたから掃除をしている。



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敵がいるのなら武器を取れ。

それは剣でも弓でもない、言葉である。

奴らは心で動いている。心を斬りさく言葉を持て。

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例え私が死のうとも、知恵は残ることはない。

これらは痕跡を残すための悪あがきに過ぎず、

ここに書かれているのはただの落書きだ。

理解されることもなく、これらは捨てられるだろう。

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ここに居たであろう賢者は、数日前に処刑された。

なにがあったのかなんて僕には知らない。

でも、部屋を散乱させて死んでいくのは不満が溜まる。

一枚一枚、紙を丁寧に拾って束にしていく。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ああ、なぜ理解できないのだろう。

私のおかげで魔王討伐も王国の繁栄もできたというのに、

私のおかげで国民たちは豊かに暮らせているというのに、

いまさら私の話が聞けないだなんて。

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

我らが倒した数々、その怨念がやってくる。

命は命によってもみ消されていく。

命の繁栄は、命の消失によって成り立つ。

憎しみを向かい打たなければ明日はない。

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耳を傾けぬものに明日はない。

喜び、怒り、悲しみ、それらの声は必要なものである。

耳を塞ぐその手は、明日を作るためのものである。

消して受け入れぬためにあるものではない。

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コレを見ている者よ。

すぐさまここを立ち去ることを勧める。

そうすれば、死ぬことはないだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



僕は紙の束をまとめ終わった。

さて、今日の仕事はまだ残っている。

国王に仕えるのもの一苦労だ。



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