第08話 幻の絆
モンマスが〈ピコン!〉と光を放つ。
【目の前のスライムが、あなたに興味を示しています。仲間にしますか?】
「……仲間に?」
タケルは息を呑んだ。
(俺に……? こんな俺に……?)
小さなスライムはぷるぷると震えながら、じっとタケルを見つめていた。
その目は──「君でいい」と告げているようだった。
「俺で、本当にいいのか……?」
タケルの声は震えていた。だが、答えるようにスライムは光をまとい、ぽんと跳ねる。
〈ピコン!〉
【契約成立──スライム「モチ」が仲間になりました】
「……モチ……」
タケルは思わず笑みを浮かべた。
「俺の相棒だ!」
その瞬間、モンマスに新しい表示が現れる。
【称号獲得:ミラモンに初めて土下座した少年】
【効果:親和性+1】
「……うわ、なんだこの称号……!」
タケルの顔が真っ赤になる。サクラはクスクス笑い、アキラは肩をすくめた。
「お前らしいな」
―――
「そうだ、モチのステータスを確認してみよう」
タケルはモンマスを操作し、光のタブレットを開いた。
【ステータス表示】
名前:モチ
種族:スライム
ランク:G(幻)
属性:なし
特性:ぷるぷる(衝撃吸収/打撃に強いが斬撃に弱い)
状態:タケルに興味を持っている
備考:G(幻)のため、通常の進化ルートは不明。記録上でも稀。
「……ランクG(幻)!?」
タケルは驚きに目を見開く。
「俺と……同じだ……!」
サクラが目を丸くした。
「幻のGって、そんな偶然あるの?」
アキラも低く唸る。
「……偶然じゃないのかもしれないな」
モチは小さく跳ね、タケルの足元にすり寄ってきた。
タケルは拳を握りしめる。
(……弱くてもいい。俺は、このモチと一緒に強くなる!)
―――
三人と一匹が並んで歩き出す。
タケルは横で跳ねるモチを見ながら、ふっと笑った。
(……やっぱりかわいいな)
〈ピコン!〉
突然、モンマスから大きな光の画面が現れる。サクラもアキラも思わずのぞき込んだ。
【タケル、よかったな。初めてのミラモンおめでとう! ワシはタケルが一生ひとり者だと思ってたわ】
「うっさいわ……でも、ありがとな」
タケルが真っ赤になって答えると、サクラは吹き出し、アキラも肩を震わせた。
「はは……モンマスにまでいじられるなんて、お前らしいな」
―――
「さて……始まりの町は、こっちで合ってるのか?」
タケルが首をかしげると、アキラがモンマスを掲げる。
「リード!」
本型に展開され、空中に地図が広がった。
街道の先、城壁都市が光で示される。
「……あれが始まりの町か」アキラが小さく頷く。
三人と一匹は顔を見合わせ、同時にうなずいた。
「行こう!」
しばらく歩くうちに、街のシルエットが少しずつ大きくなっていく。
「もうすぐだね!」サクラが弾んだ声を上げる。
その時だった。
――ドォォォンッ!!
地響きのような爆音が、遠くから響き渡った。
空に黒煙が立ちのぼり、鳥の群れが一斉に飛び立つ。
「な、何……!?」サクラが息を呑む。
「爆発……?」アキラが険しい目を向けた。
黒い影が煙の中から、ふわりと飛び立つ。
それが何なのか、この時点では誰にも分からない。
ただ、胸騒ぎだけが三人を突き上げていた。




