表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/47

第39話 タヌキ衆の秘密拠点、です!です!

 薄暗い通路の先に、いくつもの道が枝分かれしていた。

「うわ、どこ行きゃいいんだよこれ!」タケルが頭を抱える。


 すると、どこからともなく元気な声が響く。

「ようこそ! タヌキ衆秘密拠点へ!」


 次の瞬間──壁が回転し、目の前に広がったのは奇妙な空間だった。

 ドラム缶や提灯で飾られた、やけに賑やかな“秘密基地”。


 その中心には、ちびっこサイズのタヌキ衆たちが十数匹たむろしていた。

 壁際には、手作りの“スイッチらしき何か”がずらりと並んでいる。


「こっちは落とし穴ボタンです!」

「こっちは……たぶん爆発しません!」


「たぶん!?」タケルのツッコミが響く。


「なんだここ……遊園地?」

「いや、“やかましい洞窟”って感じだな」アキラが冷静にツッコむ。



 子分タヌキ衆のリーダーが──天井から吊り下げられていた。

 逆さまのまま、もがきながら必死に声を張り上げる。


「オイラたち、清掃ボランティアです! 幻影迷宮の安全点検中です!です!」


「……って、まずお前が危ないだろ!」タケルがツッコむ。


「くっ……罠のテストをしています! 現在、絶賛点検中ですぅ!」

「それ、本当に点検か⁈」


 足だけがバタバタと動くその姿に、サクラは目を輝かせた。

「ちっちゃくてかわいい〜!」


「いや、言葉づかいも仕草も完全に悪党見習いだろ」アキラが突っ込む。

「どう見ても悪そうな顔してるけどな!」タケルが警戒を緩めない。


 リーダータヌキは動揺して、逆さのまま帽子を押さえた。

「なぜバレた?です!です! じつは」



 チビっ子タヌキリーダーが胸を張る。

「親父タヌキ殿の命令で、侵入者を惑わせる訓練中です! ……だったのですが!」


 タケルが眉をひそめる。

「なるほどな。でも今のお前ら、どう見ても惑わせる側じゃなくて迷ってる側だろ」


「くぅ……返す言葉がないです!」リーダーが涙目でジタバタ。


 よく見ると、リーダーは天井から吊り下がった網にすっぽり絡まっていた。

 足だけがバタバタと動いている。


「くっ……罠のテストをしていたら、オイラが引っかかったです! 脱出できないです! 助けてくださいですぅ!」


「おい、自分で試して自分で捕まるなよ!」タケルが叫ぶ。



 仕方なく、タケルたちは救出に協力することにした。

 リリーフェアがふわりと舞い、淡い光で周囲を照らす。アキラが仕掛けを分析。

 モチがプルプル震えながら小石を拾い上げると、幻術の壁がパーン!と消えた。


「解除成功!」

「助かったです!ですぅ〜!」


 感極まった子分タヌキたちが一斉に抱きつく。

「うわっ、ちょ、毛が多いっ!!」タケルが悲鳴を上げる。


「ふふ、かわいいじゃない」サクラが笑う。

「いや、これはもはや毛玉地獄だろ……!」タケルがもがいていた。



 ようやく解放されたリーダーが、肩で息をつきながら言った。

「恩に着ます! 助けてくれたお礼に……ヒントをあげますです!です!」


「お、正解の道を教えてくれるのか?」タケルが身を乗り出す。


「それは──教えられないです!」

「ですよねー!」タケルがズッコケ。


 が、後ろの子分が素直に指差した。

「あっちの道です!」


「お前、正解言うなです!です!」リーダーが頭を叩く。

「だってリーダー、困ってる人は助けるっていつも言ってる!」

「ぐぬぬ……墓穴掘ったです……行っていいです!」


「ありがとな」タケルが笑うと、サクラが優しく微笑んだ。

「なんか、いい子たちね」


 タヌキ衆リーダーは涙目で敬礼。

「次こそは、立派な悪党になりますです!ですっ!!」

「目指すとこそこなの!?」



 こうして、騒がしくも憎めない子分タヌキ衆との邂逅を経て、

 タケルたちは再び奥の幻影迷宮へと足を踏み入れる。


 ──待つは、親分タヌキとの本戦。


 そのころ、迷宮の最奥。

 親分タヌキは鼻をぴくりと動かし、にやりと笑った。


「ほう……子分どもが、やらかしたようじゃのぅ。

 ふふ、上出来じゃ。これで退屈せずに済みそうじゃな」


 静かな笑い声が、迷宮の奥へと溶けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ