表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/20

第14話 はじめての討伐前夜!三代目カレーと新たな依頼

 三人は意気揚々と、町の裏通りにある食堂へ足を運んだ。

 看板には大きく──《三代目福ちゃんの味》と書かれている。


「ここかぁ……思ったより古びてるね」タケルが首をかしげる。

「外観はボロいけど……いい匂いする!」サクラの鼻がぴくぴく動く。

「ほら行くぞ。腹減って死にそうだ」アキラが先に扉を押し開けた。


 中に入ると、スパイスの香りがふわりと広がる。

 店内はがらんとしていて、客はほとんどいない。

 カウンターの奥に立っていた青年が、元気よく声を上げた。


「いらっしゃい! 三代目の福です!」


 浅黒い肌にターバン風の布を巻き、笑顔が爽やかな青年だ。

 年は二十代前半ほどだろうか。

 彼が差し出したメニューは、一枚の紙切れに「カレー(50ミラ)」としか書かれていなかった。


「……潔いな」アキラがぼそっと呟く。

「えー! 一種類しかないの!?」サクラが驚きの声を上げる。

「でも、うまそうだ……!」タケルはもうよだれを垂らしそうになっていた。


 三人が席につくと、間もなく大皿のカレーが運ばれてきた。

 香辛料の香りが立ち上り、食欲を直撃する。


「いただきますっ!」

 サクラが一口食べて目を輝かせた。

「おいしい! でも……なんか、あと一歩?」

「確かに味は悪くないな。けど“絶品”って感じじゃない」アキラも分析するように言う。

「うん……おいしいのに、完成しきれてない感じがする」タケルはスプーンを止めて首をひねった。


 すると、カウンター越しに三代目が苦笑した。

「……やっぱり分かっちゃいましたか」


 三人が顔を上げると、彼は少し声を落として語り始める。

「一年前までは“スパイスボア”の肉を使ってたんです。あれがうちの看板だったんですけどね……」

「スパイスボア?」タケルが聞き返す。

「はい。山に群れで住むイノシシ型のミラモンです。臆病なやつらで……一匹でも危険を感じると、すぐ群れごと姿を消してしまうんです」


 福の表情は少し寂しげだった。

「一年前、見慣れない奇妙なミラモンが現れてから、スパイスボアはぱったりと消えてしまって……。肉がなくなってからは、客足も遠のいて……」


 三人は無言でカレーを見つめた。

 美味しいのに、完成していない味──その理由がわかった気がする。


 サクラはスプーンを握ったまま目を輝かせる。

「絶対スパイスボア、見つけたい!」

 アキラはふっと鼻で笑った。

「ふん……なるほどな」

 タケルはため息まじりに呟く。

「肉がなきゃ……完成しないよな」


 やがて、福は気まずそうに笑った。

「すみません、お客さんに愚痴っちゃって。でも……もし山に行くことがあったら、スパイスボアを見つけてやってください」


 三人は顔を見合わせ、言葉を交わさずにうなずいた。

 心の中で、どこか引っかかるものを感じていたからだ。


「……よし、腹も満たされたし、ギルドに戻るか」アキラが立ち上がる。

「スパイスボア……いつか絶対見つけたいね!」サクラは拳を握る。

「とりあえず今は、次の依頼だな……」タケルは胸を高鳴らせながら扉の外へ歩き出した。



 再びギルド。

 受付嬢が依頼票を差し出すと、モンマスが〈ピコン!〉と光り、画面に文字が浮かぶ。


【新規依頼:町外れに出没するリーフラット討伐】

【対象:草食系ミラモン(群れで作物を食い荒らす)】

【推奨:新人パーティ】


「リーフラット……なんだそりゃ?」アキラが依頼票を読み上げる。

「名前は可愛いけど……やっかいそうだね」サクラが首をかしげる。


〈ピコン!〉

【リーフラット:草ウサギ型ミラモン。群れで行動し、畑を荒らすため農家から討伐依頼が多い】


「いよいよ……初めての戦いか」

 タケルは無意識にモンマスを構え直し、仲間たちと視線を交わした。


「……行くぞ!」アキラが歩き出す。

「うん!」サクラも笑顔で続く。

「俺たちの初バトルだ……!」タケルの胸は高鳴っていた。


 そして三人は、胸の奥に小さな緊張と大きな期待を抱きながら──次の冒険へと歩みを進めた。


次回「はじめての討伐! 三人の連携なるか!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ