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**最強!? モンスター×マスターズ  【モンマス】 Gランク落ちこぼれから始まる、 世界最強の相棒育成譚**  作者: 心瑛タケハル


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第13話 はじめての依頼! 薬草採取とカレーの香り

 翌朝、ギルドの広間は朝早くから冒険者たちの活気で満ちていた。


 しかし、その一角だけは、朝の空気に似合わない火花が散っていた。


「だからアキラ! 私たちはまだ昨日カードの使い方を習ったばかりの新人なんだよ!? まずは安全第一で薬草採取から始めるのが鉄則でしょ!」


「ハッ、ぬるいことを言うなサクラ。低ランクミラモンの討伐で実戦経験を積んで、カードの力を試す方が効率がいいに決まってる」


 腕を組んでジト目を向けるサクラと、ツンとそっぽを向くアキラ。


 昨日から続く二人の平行線な口論に、タケルは板挟みになって苦笑いするしかなかった。


「おいおい、朝っぱらから威勢がいいじゃねえか!」


 地響きのような大声と共に、二人の間に巨大な影が割り込んできた。


 ギルド長のガロスだ。


 ガロスは豪快に笑いながら、タケルたちの背中をパチンと叩いた。


「よーし分かった! なら順番に両方やれ!」


「「えっ?」」


「まずは薬草採取だ。安全な依頼で外の空気に慣れろ。戻ってきて、まだ元気があるなら、そのとき討伐依頼を見ればいい!」


 有無を言わせぬギルド長の裁きに、サクラとアキラは顔を見合わせる。


 タケルの手元で、モンマスが小気味よい音を立ててテキストを表示した。


〈ピコン!〉


【本日の方針:薬草採取 → 余力があれば討伐】

【新人パーティのわがまま、いったん整理されました】


「誰がわがままだ! ……いや、ちょっとわがままかもしれないけど!」


 タケルは反射的にツッコんだが、ガロスの言うことには反論できなかった。


 こうして一行は初めての依頼として、町外れの森へと向かうことになったのだった。


◇◇◇


「うーん、全然見つからないね……」


 森に入って、しばらく。


 サクラが草むらをかき分けながら、ため息をついた。


 見た目はただの雑草ばかりで、どれが目的の薬草なのか素人目にはさっぱり分からない。


「よし、さっそく試してみるよ!」


 サクラは意を決したように息を吸い込むと、昨日キララから教わった通りにモンマスを構えた。


「オープン!」


 サクラのモンマスがバインダー型にスライド展開し、その中央から淡いピンク色の光を放つカードが浮かび上がった。


「セット! フラワーライト!」


 サクラが凛とした声で宣言すると、カードが光の粒子となって弾けた。


 直後、柔らかな光の波が周囲の草むらを優しく照らし出す。


 すると、ただの緑一色だった視界の中で、葉先が綺麗に二股に分かれた草だけが、まるでホタルのように淡く輝き始めた。


「わあ、すごい! 本当に見える!」


「おお、これがカードの力か……! さすがサクラ!」


 タケルが感心して声を上げると、サクラは少し得意げに胸を張った。


 その様子を見ていたアキラが、自身のモンマスに手をかける。


「なら俺も使う。成長する刃で一気に――」


「待ってアキラ! 薬草を斬ったら素材にならないから!」


「……斬っちゃダメなのか」


「採取だからね!?」


 アキラは本気で惜しそうに手を離し、サクラの鋭いツッコミが森に響く。


 彼の戦闘脳は相変わらずだったが、ひとまずはカードの暴発を防げてタケルは胸をなでおろした。


「よし、これで見分けるのはバッチリ……って、うわっ!?」


 一方、タケルは地面にへっぴり腰でしゃがみ込んでいた。


 サクラの光を頼りに抜いてみたものの、どうにも手元の草は形が怪しい。


「サクラ、これが薬草か?」


「ちがーう! それただの雑草!」


「やっぱりか!」


 タケルがガックリと肩を落としたその時、足元でぷるぷると揺れていたモチが、タケルが落とした本物の薬草の葉を一枚だけ、ぺろりとなめた。


「こらモチ、食うなって! それ、依頼で集めてるやつだから!」


〈ピコン!〉


【簡易解析:グリーンリーフの特徴を記録しました】

【識別補助:似た葉との判別精度が少し上昇します】


「……え、今ので覚えたのか?」


 タケルが目を丸くすると、モチは何事も分かっていなさそうな顔で、ぷるんと気の抜けた音を立てて跳ねた。


 すると、タケルの視界の端で、本物の薬草の輪郭がほんの少しだけ強調されて見えるようになった。


 確信までは持てない。


 それでも、この頼りない相棒が、ただのスライムではないような気がしていた。


◇◇◇


「はい、そこまで! 採取競争終了ー!」


 サクラの掛け声で、初めての採取作業が締めくくられた。


 結果は一目瞭然だった。


 1位:サクラ(『フラワーライト』による的確な発見)


 2位:アキラ(クロウルガーの嗅覚と俊敏性を活かした物量作戦)


 3位:タケル(モチの解析で盛り返すも、スタートダッシュの遅れが響く)


「というわけでタケル、罰ゲームね」


 サクラがニッコリと微笑む。


「うう……」


 最下位となったタケルは、三人が集めた大量の薬草を、両手いっぱいに抱える羽目になった。


 あごで薬草の山を抑え、前がほとんど見えない状態でよろよろと歩くタケル。


 その横を、サクラとアキラは手ぶらで涼しい顔をして歩いていく。


「おいタケル、遅れるなよ」


「無茶言うな! これ、地味にめちゃくちゃ重いんだからな……!」


 ふらふらと町の門をくぐると、通りを歩く人々がその姿を見て、くすくす笑った。


「見ろよ、抱えてる抱えてる」


「新人っぽいなぁ」


 タケルは耳まで真っ赤にしながら、よろよろとギルドへ向かった。


 命からがらギルドへと帰り着いたタケルは、受付のカウンターにドサリと薬草の山をぶちまけた。


「はーっ、死ぬかと思った……。受付のお姉さん、確認お願いします……!」


 汗だくのタケルを見て、受付嬢は不思議そうに小首をかしげた。


「お疲れ様です。……あの、どうしてカード化せずにそのまま持ってこられたのですか?」


「へ?」


 タケルの動きがピタリと止まる。


「実は、モンマスの“アクセス”設定に〈アイテム自動カード化〉の項目があるんです。それをONにしておけば、手に入れた素材は自動でカードに変換されてバインダーに収納されるんですよ?」


「……え?」


 タケルはロボットのような動きで振り返り、サクラとアキラを見た。


 二人とも、完全に「初耳だ」という顔で目を丸くしている。


「もっと早く言えよおぉぉぉぉ!!」


 ギルドの天井が震えるほどのタケルの絶叫が響き渡る。


 アキラがそっとタケルから目をそらし、ぼそりと呟いた。


「つまり、お前のその執念の筋トレは、全部いらなかったってことか」


「言うなぁぁぁ!!」


 ひとしきり騒いだ後、受付嬢から正式な報酬が手渡された。


〈ピコン!〉


【報酬:銅貨300枚(合計300ミラ)を獲得しました】

【一人あたり:100ミラ】


「新人の薬草採取なら、普通は一人50ミラ程度なのですが、今は新人応援の特別補填中ですからね。一人100ミラ……そうですね、カレーなら一人二杯分くらいになりますよ」


 笑顔で説明する受付嬢の言葉を聞いた瞬間、タケルの腹がぐう、と大きな音を立てて鳴った。


 緊張が解けた途端、猛烈な空腹が襲ってきたのだ。


 タケルは苦笑しつつ、ふと昨夜の祖父の言葉を思い出した。


「そういえば……おじいちゃんが言ってたな。始まりの町には、隠れた名物のカレー屋があるぞって」


「えっ! カレー!?」


 サクラの目が、今日一番の輝きを放つ。


「……もう完全にカレーの口だな」


 アキラが呆れたように肩をすくめたが、その口元もどこか緩んでいた。


「よし、今日の初依頼達成を祝して、そのカレー屋ってやつに行ってみようぜ!」


 タケルの呼びかけに二人が頷き、三人は意気揚々と町の裏通りへと足を運んだ。


 果たして、祖父が絶品だと熱弁した“ミラカレー”の味とは……!?


──つづく。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


初めての依頼、いかがでしたでしょうか。

こういう“少しずつ冒険者になっていく感じ”を楽しんでいただけたら嬉しいです。


モチや三人のやり取りを応援したいと思っていただけたら、

★いいね、ブックマークで応援していただけると励みになります。


次回はカレーです。

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