第12話 オープンの実演!? キララの暴走講座
カードショップの空気は、Sランクカードの騒動とコミック団の乱入劇でまだざわついていた。
そんな中、カウンターの上に仁王立ちする少女が、まるで舞台の主役のように声を張り上げる。
「はぁ〜い☆ 改めまして! ここからはキララちゃんの“オープン講座”でーす!」
「……やっぱり続けるんかい」タケルが思わず突っ込む。
店主は深いため息をつきながら頭を抱えた。
「だから勝手に進めるなと言ってるだろ……」
だが新人たちの視線は、もうキララに釘づけだった。
サクラは目を輝かせて「がんばれー!」と拍手。アキラは「嫌な予感しかしねぇ」と腕を組む。
◇◇◇
キララは胸を張って、モンマスを目の前に掲げた。
「まずは、こうやって“オープン”! バインダー型に切り替えるの! ここにカードが整理されて保管されてるから、使いたいカードを選んでね」
モンマスが光を放ち、バインダー型に展開される。そこには彼女のカードがずらりと並んでいた。
「はい、ここで超大事なポイント☆ カードを発動するには“トリガー”と“カード名”の二段階が必要なの!」
「まずは使いたいカードを選んでね」
キララは人差し指を立てて続ける。
「ここからテストに出るから、よーく聞いてね!」
「えっ……これ、テストに出る?」サクラが目を丸くする。
「冗談冗談☆ でも覚えておかないと大変だからね!」
キララは笑顔で指を振り、場を和ませた。
◇◇◇
①安定型:発動スロットにセット
キララはカードを一枚取り出し、バインダーの発動スロットに置いた。
「まず置いてから『セット!』」
カードが淡い光を帯びる。
「それからカード名を宣言!──『フラワーダンス!』」
光が弾け、花びらが一斉に舞い散った。新人たちから歓声が上がる。
「これが安定型。安全に発動できる方法だよ☆」
◇◇◇
②スピード型:宙に投げる
「でも戦闘中に余裕がないときは──」
キララはカードを宙に投げて宣言した。
「『フラワーダンス!』」
花びらがさっきよりも速く広がる。
「これがスピード型! ただし失敗も増えるから、慣れないうちは安定型がおすすめ☆」
〈ピコン!〉モンマスが補足を表示する。
【安定=発動スロットに置いて『セット!』+カード名】
【スピード=宙に投げる+カード名】
【カード名を言わなければ発動しません】
◇◇◇
「なるほどな……」アキラが腕を組んでうなずいた。
「じゃあ、俺もやってみるか」
タケルは店先に並べられていた“練習用カード”を一枚手に取る。
バインダーにセット……せずに、いきなり高く掲げた。
「フラワーダンス!」
……シーン。
何も起こらない。
「す、すごい! 必殺技みたいだったよ!」サクラがきらきらした目で感嘆する。
「いや、全然発動してねぇから!」アキラが即ツッコミ。
「お、おかしいな!? 声のトーンは完璧だったのに!」
タケルは真っ赤になって抗議した。
〈ピコン!〉
【警告:操作が雑です】
「勢いは100点! でもね〜、スピード型は“慣れてから”!」
キララが慌ててフォローする。
「みんなは真似しないでね☆」
新人たちの笑いが起こり、空気が和んでいく。
◇◇◇
新人の一人が手を挙げた。
「でも……カードって、どんな種類があるんですか?」
「はいっ、いい質問〜☆」
キララは指を立てて、アイドル調で説明を始めた。
「カードは大きく分けて6つ! これテストに出るから覚えてね!」
「またテストかよ……」タケルが顔をしかめる。
〈ピコン!〉
【冗談です】とモンマスが補足。
◇◇◇
「さて! ここでカードの種類もざっくり教えちゃうよ☆」
キララは指を折りながら解説を始めた。
1.戦闘カード
「剣とか盾、攻撃や防御! ミラモンの動きを強化したり、戦闘を補助するカードだよ☆」
「おぉー!」新人たちから声が上がる。
2.支援カード
「回復薬とか光、探索用の便利効果! さっきの『フラワーダンス』も支援カードね」
「地味だけど役立ちそうだな……」と誰かがつぶやいた。
3.アイテムカード
「旅の道具や食料をカード化したもの! 耐久度が切れたら消えちゃうから大事にね!」
4.特殊カード
「地図やトラップ、謎解き要素が入ってるの! 解放条件があるやつも多いんだよ☆」
タケルの【伝説の地図】に視線が集中し、タケルは慌てて胸に隠す。
5.種族カード
「これはちょっとレア! ミラモンの力を一時的に借りられるカードなんだよ☆」
「おおっ!」再び歓声が上がった。
6. ミラモンカード(専用スキル)
「所有ミラモンだけが使える技や強化カード! 絆を深めたり、レベルが上がったりすると、新しい技が解放されていくんだ☆」
◇◇◇
「はいっ! ここまでで“カード講義パート1”は終了〜☆」
キララはポーズを決め、拍手と笑い声が広がる。
◇◇◇
カード講座が一段落すると、三人はギルドへ戻ることにした。
道すがら、サクラが口を開く。
「ねぇねぇ、やっぱり最初は薬草採取がいいよね! 無理せずに安全に!」
「は? いや戦わなきゃ意味ねぇだろ。俺は討伐一択だ」アキラが即答する。
「ちょ、ちょっと……!」タケルはオロオロしながら二人の間を行き来する。
〈ピコン!〉
【完全にタケル、のりおくれましたね】
「うるさいわ!」タケルが即ツッコミした。
◇◇◇
ギルドの受付に到着すると、落ち着いた声が迎えてくれる。
「依頼の受付はこちらになります。……初めての挑戦ですね? 応援していますよ」
受付嬢は柔らかく微笑んだ。
〈ピコン!〉
【やっぱり現実世界より丁寧ですね】
「だから比べなくていいって!」タケルが突っ込むと、周囲の新人たちがくすくす笑う。
◇◇◇
そして、問題の瞬間。
「薬草採取がいいの!」サクラが主張する。
「いや、ミラモン討伐だ!」アキラが譲らない。
二人の言い合いが激しくなり、タケルはますます居場所をなくす。
「どっちも大事じゃない? って思うけど……」
〈ピコン!〉
【タケル、完全に蚊帳の外ですね】
「うるさいって言ってんだろ!」タケルは頭を抱えた。
二人の声が飛び交う中、タケルは小さくため息をつく。
(俺たち……ちゃんと冒険できるのか?)
場は収まらず、次回へ──。




