罪無き地
僕は呟き、扉を開けた。
ある夏の日だった、夏休みが終わろうとしていた。都会なのに外では鈴虫が泣いていた。9月1日、今日で夏休みが終わる。そんな事を考えながら布団の中で動画サイトで動画を見ていた。
溜息をつきながら僕は動画サイトを閉じた。
僕の夏には可愛い彼女と夏祭りに行った思い出や仲の良い友人と旅をした思い出も家族と墓参りをした思い出もない。
天井を見上げると暗いけど、僅かな蛍光色の光が見えた。蛍光色をした光を見ていると、ふっと何かが体を通り過ぎた。僕は知らない星にいた。厳密には僕の想像上の宇宙にある星だ。
その星を僕は歩く。そこでは美しい星々が浮かんでいた。星の滝が流れている。花までもが星の様だった。星の草原を歩き坂の前まできた。
坂を前に、僕は思った。
綺麗な世界だ、心地の良い場所だ。まるで天使が奏でいるかの様な音楽も流れている。と。
この広い地球の何処にもここを体験できる場所はない。僕はそう感じた。
宇宙には青紫と赤紫、紫色が混ざっていた。あっちを見ると青紫の世界に星々が煌めいていて、そっちを見ると赤紫の空間に星々が輝いている。
人とは不思議で、空想力さえあれば何処へでも行ける。どんな国へも行ける。そうだなイギリスに行こう。そう考えただけで想像上のイギリスに人は行ける。リアリティにディティールを加えたいならマップサイトで、そこを旅すると良い。良くその場所が分かる。
だか、それすら超える世界が、人の創る宇宙だ。この神秘だけは誰にもまだ、解き明かす事ができていない。
想像上の宇宙は誰にも否定できず、完璧な世界なのだ。
気がつくとアラームが流れ、時計が僕に朝を告げた。僕の今までの夏休みのどの思い出よりも、この夢は勝っていた。
学校に行くと、僕は夢の話をした
クラスの友人は僕をからかった。ロマンチストなんかじゃない。ただ皆にもこの美しく素晴らしい世界を見てもらいたいと思っただけだった。
僕はいつも通りの一日を終え布団に入った。
そして空に浮かぶ扉に手を触れながら呟いた。
「おやすみ。いってきます。」と




