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ルーキーヒーロー〈プロローグ・1話〉

初めての作品です!

ご感想などがあればどんどん書いてくださるとうれしいです‼

※このお話には死や殺すなどの単語が含まれます。

~プロローグ~

この世界では国が認めているヒーローが存在する。災害や事件が人々に襲い掛かる時、ヒーローは身を挺して国民を助ける。ヒーローは憧れの存在である。しかし、年間で数千のヒーローが殉職している。ヒーローの人気は一定なものではなく、世界中を通しヒーローを志望するものは年々減少していっている。こうした問題は、現在起きている凶悪犯罪増加やヒーローの過労死問題へと繋がっていっているのである。


~一話 黒くなる世界~

「パトロールの報告書お願いします」

「おいといて~」

ピコピコとゲーム音が流れるこの部屋には、二人のヒーローが横になっていた。

「部屋に戻ってもいいっすか?」

「あとちょっとしたら特訓してあげるから待ってなさいよ」

「はぁ……」

教室一個分の広さしかないこの部屋には重たい空気が流れていた。

「やったぁ~!」

ゲームのクリア音と女性の元気いっぱいの声がこの狭い部屋に響き渡る。

「うるさいですよ、リンカさん」

「クリアしたぞ~‼」

先程からゲームをしている女性ヒーローのリンカはソファで横になっていたが起き上がり、両手を広げている。

もう一人のヒーローアレンは、もう一度ため息をついた後、力のない拍手をしている。

「さぁて、特訓だぁ~☆」

「ちょ、待っ」

そのままのテンションでリンカは、アレンの腕を引っ張りながら訓練場へと走っていった。

陽気な鼻歌と、絶望に満ちた悲鳴が入り交じり、不協和音を奏でている。

〈特訓場〉

学校の体育館の広さほどの特訓場には特別なネットが張られている。

「さぁて、ルーキー君☆」

「はい」

「やさしくて、つよ~いお姉さんとの特訓の時間だよ☆」

「どこがやさしいんだよ」

「ん?何か言ったかなぁ~」

リンカの満面の笑みがアレンに降りかかる。

「何にもありません」

先程からアレンはリンカの顔を見ていない。声のトーンやテンポなどで代替の表情が想像できるからだ。

「私にダメージを与えることができたら一緒にスイーツを食べに行こうか☆」

その言葉を聞き、アレンは顔を上げた。

彼の眼はいつもより大きく開いており、とてつもなくキラキラした瞳であった。

彼はスイーツ男子であるのだ。

絶対に勝つと心の中で叫び、アレンは特訓の準備を始めた。

その姿を見たリンカはニヤリと笑い、待ち構えている。

アレンの服からはおもりが外れ、床にゴトゴトと落ちていく。

「準備は大丈夫だ‼」

「おっけ~、じゃあ……」

「変身‼」

「変身☆」

二人の声が場に響き渡りすさまじい光を放つ。

段々と光が消え始め、二人の人影が見える。

先程とは違う美しいメタリックスーツを着た二人の姿が現れた。

「行くぞ‼」

「ルーキー君、今日も鍛えてあげるからね☆」

スイーツのために戦う男性と、育成ゲームをしているかのような女性がすさまじいオーラを放ちながら勝負を始める。

アレンの素早いパンチがリンカに向かっていく。

しかし、リンカはすべてのパンチをよけながら鼻歌を歌っている。

まるで、すべての動きが見えているように。

アレンが蹴りを入れてみるも、リンカはひょいとジャンプして蹴りを交わす。

「ちっ」

「いつになったら、当てられるの~」

リンカは煽りながらアレンの額にデコピンをする。

「っ‼」

このデコピンでアレンは特訓上の網まで吹っ飛ばされ、そのまま網に引っかかった。

「ふっふっふ、デコピンつよいでしょ☆」

リンカは腕を組み堂々と構えている。

「身体が動かん……」

アレンは網に引っかかったまま目の前の世界が真っ暗になった。

気を失ったアレンを見て、リンカは今日の一日を思い返してみた。

今日は町の見回りから始まりレポートや報告会資料の作成などかなり疲労がたまる作業ばかりであった。

「明日はお休みにしよっか」

リンカはアレンを網から解き、部屋に運んで行った。

「部屋の鍵わかんないから、部屋の前でいっか☆」

アレンは部屋の前で横になり、そのまま朝を迎えることとなった。

〈トウキョウ 午後十一時〉

街中の光で夜も明るいこの場所。

光ある場所に、影あり。

明るい道とは対称な、暗い路地裏のような道。

一人の男が血を流し倒れていた。

「任務は完了」

倒れている男の横には、フードを被った少年のような人が立っていた。

「……」

倒れている男は、ピクリとも動かない。

「助かる見込みはないね」

フードの少年はその場から去っていく。

男は死んだ。

〈翌日〉

「なんで部屋の前なんですか⁉」

「部屋の鍵わかんないし~」

「いいでしょ、事務所で‼」

「あ~確かに」

朝から怒号が飛び交う事務所内。

リンカはソファに寝転んでいる。

そんな怒号を一つのニュースが打ち消した。

「昨夜未明、都内で何者かがヒーロー五名に対し、無差別に襲い掛かりました」

二人が一斉にテレビに視線を向けた。

「三名のヒーローが亡くなり、二名が重症の状態です。狙われたヒーローランクは全員ノーマルランクであり、パトロール中を狙われえたと考えられています」

アレンは自然とメモを取り、リンカはスマートフォンのSNSで情報を収集している。

「いよいよヒーローがヒーローじゃなくなったね」

リンカはぽつりとつぶやいた。

「どういうことですか?」

「ヒーローがヒーローを殺めたのよ」

アレンはリンカの言っていることを想像できなかった。

「ヒーローがヒーローを……」

「給料だけはいいのよヒーローって」

「でも、それだけじゃ」

「自分の野望を叶えられる資金源の調達くらいできるの」

「でも、だからって」

「これはこれは~」

リンカはニコニコしながらSNSも海を泳いでいる。

「何か見つかったんですか?」

アレンは気になり、リンカのスマホをのぞき込む。

「このヒーロー、あの五人と同じ時間帯にパトロールしてたんだぁ~」

「でも、昨日は二十人が都内でパトロールしてましたし、場所が全然違うじゃないですか」

「雇ったのよ、ヒーローがヒーロー暗殺隊を」

部屋中がとてつもなく凍り付いた。

「だから、どうしてそんなことわかるんですか‼」

「こいつのスーツに隠しカメラ仕掛けてたし、裏垢で妙な事言ってるからさ~」

「うそでしょ」

「ほんとだよ☆」

かわいい満面の笑みでこちらを見てくる。

「まじか、こいつ」

「とりあえず本部に連絡してと」

「てか、今日は何するんですか?」

リンカは手を止め起き上がった。

「最近頑張ってるから、ご褒美を上げよう‼」

先程と同じかわいい満面の笑みでこちらを見てきた。

「こんな事態になってるのにですか」

「こんな事態になってるから、小さな幸せを大切にしたいんだよ私は」

そういってリンカはアレンの肩をポンと叩いた。

「先月からこのようなヒーロー暗殺事件は発生しており……」

そこで、テレビの電源が落ちた。

〈???〉

モニターだけが光っている謎の部屋。

その部屋の中には五人ほどの人が集まっている。

「依頼料だ」

依頼主が札束を床にポンと投げ捨てた。

「自分が上に上がれるように、かつての仲間も殺すのか」

「まぁ、お金もらえるからいいじゃん」

「ねぇ、次はダレ?」

「ただ任務を果たすだけだ」

依頼主以外の四人は口を開き、依頼主の方を見る。

「またそのうちな」

そういって、依頼主は暗黒の中へと消えていった。

数秒後、モニターの光も消え、完全な暗闇の部屋が広がっていた。

「ヒーローは俺が殺す」

どこかで声が響いた。

どうだったでしょうか?

続きも読んでくださるとうれしいです‼

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