涙の真相、ドンデン返し 【28】
「……」
わたしは、訥々と話を続けるマニの顔を、ボンヤリと眺めていた。
「そうして、いつしか星霜も過ぎ、わたくしは心身を鍛え上げる事に己を埋没させ、何とか一角の修行者として認められるようになりました。一通りの行を経て、術も修めたものの、修行とはそのような浅はかな物では有りません。求道に生涯を捧げようと、覚悟などと言う大それたものでは有りませんが、そう言った生き方が自分には合っているような気がして__正直、他にする事も無いだけなのですが、兎も角もその為に寺院を離れてわたくしは樹下石上を寝床とする雲水に身を委ねたのです」
はあ、リッパだねえ。
「方々を回って気楽な渡世を営んでいたわたくしですが、ある時、そうですね、旅に出て四年くらいでしょうか、何となく、自分が生まれた地方に赴いてみようと思い立ったのです」
「__」
「初めの頃は、流石に足を向ける気にはなれませんでした。それだけ、わたしが未熟だったと言う事でしょう。しかし、もう拘りも無くなったかと判断し、言ってみれば自分を試すような気分で生まれ故郷のサウロロフスに赴いたのです」
それじゃ__
「そうやって、どれだけ拘りを捨てられたのか、自分を試してみようと思いました。そんな風に思うこと自体に拘りが有るのだ、等と自分を省み、ならば一つ自らの未熟を試してやれなどと思い立ちました。そして、その途中の道すがら、お遭いしたのが」
それじゃ、マニ__
「レジェナ様だったのです」