涙の真相、ドンデン返し 【12】
わたしの言いたい事は、充分に判って居る筈なのに。
「お兄ちゃん__」
それでもお兄ちゃんは答えなかった。
「好きな人が、いるの__?」
お兄ちゃんは矢張り黙って顔を伏せたままだった。
「どのように御解釈あそばしても不都合は御座いません、ただ__」
その先は聞きたくない。
「そうか__」
わたしは静かに、勤めて明るく言った。
「そうだよね。テリジノお兄ちゃん、素敵だもんね、彼女の一人くらい居たって__」
声が震えてるのが自分でも判る。
「レジェナ様……」
お兄ちゃんが思わず顔を上げようとすると、目を合わせるのが辛くて反射的にわたしは顔を伏せた。
「レジェナ様__」
わたしは固く目を閉じた。
床に滴が落ちたのが判る。
「う__」
「レジェナ様」
わたしは顔を手で覆って床に座り込んでしまった。
「レジェナ様……レジェナ__」
お兄ちゃんはわたしの肩に手を置いて、優しく支えてくれた。
「うわあん__」
わたしは、思わずお兄ちゃんの胸に飛び込んだ。
「ゴメン、レジェナ」
わたしを抱きしめたまま、お兄ちゃんは静かにわたしの名を呼んだ。
「君を悲しませてしまったのは、僕のせいだよね」
お兄ちゃんはわたしを慰めてくれた。
泣きじゃくるわたしを抱きしめたまま、頭を撫でてくれた。
あの頃のように、小さい頃、何度もそうしてくれたように。
「王女である前に、君は一人の女の子なんだ」
「お兄ちゃん……」
「いきなり、王女様として振舞うなんて無理だよね、レジェナ」
「お兄ちゃん……」
「君は僕の妹__」
違う。