涙の真相、ドンデン返し 【11】
「あ__」
ミアキスが、凄く申し訳無さそうな顔でお兄ちゃんを見た。
「す、すいません、すぐおいとまします__」
慌てて頭を下げるミアキスを見ていると何かわたしの方が申し訳なく思えてきちゃう。
「いいえ__」
お兄ちゃんも、ミアキスに言葉通りすまなそうな顔を見せた。
「それでは、レジェナ様」
「あ__う、うん」
お兄ちゃんに促されるまま、わたしは返事をかえした。
「ゴメンね、ミアキス__」
「い、いいえ、とんでもない」
ミアキスが慌てて両手を振って見せた。その、ちょっとオマヌケな仕草が、わたしに不思議な温もりを感じさせた。
「そ、それじゃあ、その、そう言う事で……」
わたしたちの方に顔を向けたまま、二、三歩後退ると、クルッと方向転換して、逃げるような足取りでミアキスは去って行った。
「レジェナ様__」
お兄ちゃんと二人っきりになったわたしは、何故か取り残されたような寂しさを抱えながら部屋に入って行った。
二人で室内に入り、ドアを閉めた。
やだ、どうしよう。
ドキドキしてきちゃった。
わたしが目を向けるとお兄ちゃんは素早く視線を反らして気を外す。
どうして……?
ぼんやりと、未解決な疑問に感情を委ねようとするとやおら身を翻し、お兄ちゃんはまたもやわたしの前に平伏したのだった。
わたしは無言だった。
どうして?
どうしてそこまでして私を拒むの?
わたしの事が嫌いなの?
立場があるって言うの?
近衛隊長の息子と王女では結ばれてはならないって言うの?
「どうして……?」
お兄ちゃんは無言だった。