涙の真相、ドンデン返し 【10】
どうしよう__
翌日、朝食の後、お兄ちゃんの部屋の前でわたしは迷い続けていた。一晩空けてもお兄ちゃんの態度は変らず、相変わらず慇懃で他人行儀だった。そんなお兄ちゃんとまともに言葉を交わす事も出来ず、居た堪れないわたしは、何とか二人っきりでお話しようとこうしてやって来たのである。
ドアをノックしようとした手を、何度も止めて溜息をつく。
なんで?
どうしてこうなるのよ__
折角、折角こうしてお兄ちゃんと会えたって言うのに、どうして……?
「レジェナ様__」
そんなわたしに、昨日と同じように、ミアキスが声をかけて来た。
わたしは無言のまま、どうしたらいいの、とミアキスに訴えていた。
ミアキスは困った顔でわたしの方を見詰めたまま、人差し指をこめかみに当てて首を傾げていた。凄く判り易い意思表示のポーズだった。彼女にも何て言ったらいいか判らないんだよね。当たり前だよ。
わたしが再び溜息をつくと、ミアキスが両手を組んで俯いてしまった。
そこへ__
「あ__」
「__」
部屋の戸が開いて、お兄ちゃんが姿を現した。
何て言ったら良いのか判らず、硬直したように戸惑うわたしたちにお兄ちゃんは、何か意思を込めた目線を送ってきた。
どうやら、何か用事が有って他所へ出て行くつもりでドアを開けた訳じゃ無さそうだった。
「レジェナ様、中へ__」
え?
あ、あの……
「すみません」
ミアキスの方に軽く頭を下げると、お兄ちゃんが静かに、しかしハッキリと意思を伝える声音で言った。
「レジェナ様と、二人だけにして頂けないでしょうか__」




