涙の真相、ドンデン返し 【6】
「あなたは……?」
「お初にお目にかかります、わたくし、マニ・ツェンガと申します」
「あなたが、マニ・ツェンガ殿__」
お兄ちゃんも、今のわたしの事を色々知らされてはいるようだった。
「貴公には、レジェナ王女の事で大変お世話をお掛けしたと聞いておりますが」
そう言う言い方しないでくれる?多分世間並みの修辞のつもりなんだろうけど、マニに随分世話掛けたのはハッキリ言って事実なんだから、言われた方としては余計にイタイのよね。
「如何にマルディール王家の一族とは言え、貴公には縁もゆかりも無いこの王女様を今日までお守り頂き、誠に感謝の言葉すら御座いませぬ」
「滅相も無い__」
頭を下げながら丁寧に謝辞を述べるお兄ちゃんに、マニも穏やかに叩頭した。
「仮にも亡きサウロロフス国王の忘れ形見と知っては見捨てては置けますまい」
判っちゃいたけど、実際マニも相当人が悪い。この時の彼の台詞を私たちは誰一人、気にも止めずに一様に聞き流したのだが、それが実は重大な含みを持っていた事を知らされるのはすぐ後の事だった。
「兄君様も長旅でお疲れでありましょう。挨拶も宜しかろうが、一先ずはお寛ぎになられた方がよろしいかと存じます」
言いながらマニが立ち上がると、膝を付いていたお兄ちゃんも釣られて極自然に立ち上がった。
「レジェナ様も__」
何かを促すような佇まいで、マニが私とお兄ちゃんの間を目に見えない呼吸で取り持ってくれた。今まで身を強張らせるように平伏していたお兄ちゃんと目が合うと、何だか言葉にならないリラックスが辺りに漂っていて、わたしはちょっと決まりの悪そうな、でも温かい気持ちの笑顔を見せてあげた。




