涙の真相、ドンデン返し 【5】
「あ、あの……」
紋切り型の口上を、何やら威圧的なほどの口調で述べるお兄ちゃんの声調子はまるで壁を作って私を拒絶し、君臣たる立場を明確に誇示しているかのように強張っていた。
そんなお兄ちゃんを見詰めるわたしや、それを更に見守るマニやカスモさんたちの、息を殺して様子を窺うような気分が部屋中に満ちていた。
平伏して臣下の礼を取るお兄ちゃんを前に、私は何をどうして良いか判らず、立ち竦むばかりだった。
「テ、テリジノ殿__」
何やら取り成すような調子でカスモさんがお兄ちゃんに声を掛けた。
「折角、レジェナ様とこうして再会なされたのですから、そこまであらたまらずとも__」
「いえ__」
お兄ちゃんの声調子は飽くまで頑なだった。
「自分は、姫君がご自分の出自を知らされる前に旅に出たゆえ、一度もこうして君臣の礼を尽くした事が御座いませぬ。王女様への御配慮であったとは言え、その越階沙汰は今思い返しても身の縮まる想いで御座います。久方ぶりの再会を機会に、是非、レジェナ王女様への忠誠を表したいと存じ__」
お兄ちゃんの口調は、全く親しみとか柔らかさの感じられない、わたしの個人的な受け取り方かも知れないがまるで判決文でも読み上げているように冷たかった。
「兄君様__」
平伏するお兄ちゃんに、上から見下ろすような形では失礼だと思ったのか、自分でも身を伏せながらマニが声を掛けた。




