涙の真相、ドンデン返し 【4】
そんなわたしを見詰めるお兄ちゃんの目は、なんと言うか、不意打ちを食らったように戸惑っていた。
「まあ、テリジノ殿は、レジェナ様が幼き頃より兄とお呼びして育った間柄__」
何と言うか、どうにか納得しようという気分がアリアリの、困惑しきった声音のカスモさんが苦笑いしながら私達を眺めていた。
「そうなんですよね」
ハイになったわたしは、務めて明るく爽やかに、全く問題ナッシングという笑顔を強引に作りながら先手を打つような気持ちで言った。
「ホントは、兄妹じゃないんですよね、わたし達__」
その声音は、多分不自然なくらい明るくて、テンション高く上ずっていたかも知れない。カスモさんがまたまた苦笑いを見せた。
「レジェナ……」
わたしを見詰めるお兄ちゃんの眼差しは、あきらかに戸惑って、と言うより迷惑を感じています、という目付きだった。何だか、嬉しくないみたい。
ううん、違うよね、お兄ちゃん。
嬉しいよね、きっと。
只、人目があるから周りを慮って正直になれないだけだよね。照れ臭いって言うのもあるし、やっぱり、王女様に対する、色々な気遣い、他の人への配慮とか。
「失礼致しました」
お兄ちゃんが、私を引き離すといきなり膝を折って、形式ばった口調で言った。
「お、お兄ちゃん?」
「如何に兄妹として育ったとは言え、臣下たる自分が王女様を名指しで、増してや呼び捨てに致しましたる事、誠に不心得の至り、テリジノ・トイデス、謹んでお詫び申し上げます__」