表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/90

鳴かぬなら、ジッとガマンの女の子 【25】

「申し上げた筈ですよ、レジェナ様。わたくしはレジェナ様に御仕えする従者ですと」


「__」


「レジェナ様がわたくしを召し放ちになられるまではこの先、ずっとレジェナ様に着いて参りますと」


「マニ……」



今一度、マニは澄み切った微笑みを見せた。

「約束いたします、レジェナ様」

「……」


「必ず戻ってまいります、レジェナ様の元に」

「マニ__」


わたしは、それでも何だか吹っ切れない表情でマニを見詰めた。

「判った」

わたしの言葉に、マニは小さく頷いたような気配があった。


「わたし__信じるよ」

「レジェナ様」


「マニの事、信じる」

マニは再び無言で頭を下げた。



しかし、判らない。

何でマニは、今になって出て行ったんだろ。何か目的でも有るのかな?まさか、あいつ、ホントに私の事放っぽらかして……いや、そんな事無い。あのヘラヘラと面の皮の厚い男が、少々居心地が悪いってだけの理由で愛するレジェナ様から手を引くとは思えない……多分……きっと……。


ええい、迷ったって仕方が無い。信じるって決めたんだ、マニの事。



その日の昼食時、わたしはマニがちょっと出かけた事を宿屋のみんなに告げると、予想できた事だが宿屋のおかみさん、つまりカスモさんの奥さんと男性陣は一様に、特にスピノはほっとしたような気配を見せ、彼の事を案じてくれるのは悲しいかなミアキス一人であった。


「マニさん、どうなされたんですか?」

ミアキスがわたしに聞いて来た。

わたしにも判らない。

だけど信じてるよ。

マニ、あんたは必ずわたしの元に戻って来るって。



そして、五日後。


「只今戻りました、レジェナ様」

「マニ__」


何で?

どうしてあ奴のニヤケ面見ると、こんなに安心できるんだよ?

わたしに気が有るのはアイツの方で、わたしにはお兄ちゃんが居るってのに。


「どこ行ってたのよ、アンタ」

マニは黙っていつもの微笑を浮べたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ